神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第224話 韓王、今後の方針を話し合うのこと

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宋国の宰相『蔡京』は、政務室の席の後ろにある窓から、雨が降る外の景色をじっと眺めていた。

不意に扉のノックが鳴り、了承を得て男が入ってくる。

「神行太保か…お前が来たという事は、童貫の奴は出港したという事か」

「はっ!日ノ本との『相互共闘同盟』により、援軍として宋国海軍艦隊出港いたしました」

神行太保の報告に、そうかと返事をする蔡京。

神行太保はそのまま退出し、蔡京はまた窓の外を眺める。

(相互共闘同盟…日ノ本と結んだこの契約が、まさか我が国をここまで苦しめる事になろうとはな)

ため息をつく蔡京。

(こうなっては仕方がない)

(できるだけ早く日ノ本に勝ってもらい、韓の国を挟撃に持っていくようにせねばな!)

(だが、万一敗れる事になったとき…その時は…)

蔡京は、その後もじっと外を眺め続けていた。

場所は変わり、『韓』の首都・建康府。

会議室にて作戦会議を行う幹部たちのもとに急報が入る。

「韓王、宋軍の主力艦隊が西の港『興元府』より出航したようです」

「…わかりました」

兵の報告に、韓信は短く答えた。

「本当に、敵の援軍を見逃して宜しかったのでしょうか?」

「そうですね、私の意志としては阻止したいのですが、ラビット国…孔明殿の考えは違うようです」

質問をした林冲同様に、韓信も孔明の考えを計りかねていた。

「正直に申しますが、孔明殿の考えは我らですら計りかねます」

「ただ一つ言えることは、彼の考え通りに物事が進んでいるという事でしょうか」

張良の言葉に、会議室は静まる。

「それで、韓王はこれからどう動くかを決められたという事ですな?」

「はい晁蓋(ちょうがい)殿、我々もこの機を逃さず、一気に宋国に攻勢を仕掛けます」

「梁山泊軍も、この機に乗じて東昌府・徐州の開放をお願いします」

韓信は梁山泊軍へ、簡単な指示を出す。

韓は既に、梁山泊軍および付近に存在する強者や反乱軍を取り込んでいた。

「なるほどわかりました。それでは我々も、呼吸を合わせて攻撃を行います」

晁蓋の軍師・呉用は、口元に羽扇をあてながら笑みを浮かべる。

「しかし宋国も、西の大規模な反乱軍を抑えるのに手一杯の上、日ノ本に援軍を送らねばならないとは…」

「悪魔の契約とは破ることが許されないゆえに、ここでは大きな足枷になりましたな」

蕭何は敵のこととはいえ、同情的に話す。

「まあ、その反乱を纏めて起こさせたのも、蒯通先生の策略なのだがな」

「…韓王のところには、権謀術数の士が数多におられますな」

人材が少ない梁山泊軍から見れば、韓の人材の豊富さは羨ましい限りである。

「あとは攻撃軍・守備隊・援軍の割り当てを行い、時機を見て攻め込むだけです」

「それと、モンゴル国の動向が気になるところです」

「モンゴルがこの国を狙っているのですか?!」

韓信の言葉に驚く、晁蓋たち梁山泊軍。

「はい、チンギス・ハーンが敵対勢力のジャムカを倒し、モンゴルを統一したとの事です」

「そのモンゴルが、次は南下を狙っていると?」

「間違いないでしょう。宋国の大混乱を見逃すほど、『蒼き狼』の目は優しくないでしょうから」

モンゴルの参戦は、この宋国にとどめを刺すどころか、更なる戦乱の世を起こすことを皆には分かっていた。

「何としても、彼の野望を止めねば…」

会議室にいるもの達は、まずは当面の敵である『宋国』の開放に全力を向け、会議を続けた。
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