神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第221話 大空の志士たち

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武州金沢藩にある街・横浜。

この横浜には、『横浜空軍基地』があり、今ここの作戦会議室に、亜人連合全ての空軍部隊が集結していた。

「以上をもって、今回の作戦会議を終了する」

「解散!」

空軍参謀長『源田実(げんだ・みのる)』の号令で解散するパイロットたち。

坂井達は席を立つと、数人が源田参謀に呼び止められる。

「お前たち、ちょっといいか?」

源田参謀へ一斉に敬礼する、呼び止められたパイロットたち。

「諸君は空が飛べることが理由で『空軍』となった」

「しかし、空軍と言っても全員で20人程しかおらず、現状で戦局を変えるほどの力とは言い難い」

「さらに、現状での戦い方が、『ライフル銃』による狙撃や投石、『刀』などによる斬り込みしかないので、今までは『偵察』程度のことしかできなかった」

「参謀長!俺たちは刀だけでも奴らを全滅させますぜ!」

源田参謀の説明に待ったをかけるパイロット。

「『菅野直(かんの・なおし)』大尉、君ならそれで十分戦えるだろうが、他の兵たちはそうもいかん」

「第一、貴重な空軍戦力を失くすことは大変な損失になる」

「まあ、俺と坂井さん以外はそうですな!」

菅野の言葉に、皆大笑いをする。

「更に、敵の空戦力も不明なために、こちらの戦い方も現地点では流動的だ」

「要は、行き当たりばったりって事ですか!」

「『関行男(せき・ゆきお)』大尉、まさしく君の言う通りだ!」

「このままでは、我々空軍は前世の力を発揮することも出来ずに、肉弾戦をやる事になる」

源田参謀も困った顔で話す。

「空軍と呼ばれている者同士が、空で石を投げ合う姿など見たら、前世のパイロット志願者たちならば、皆陸軍に転籍希望を出すでしょうな!」

坂井の言葉で、会議室は一気に笑いへと包まれた。

そこへ一人の男が入室し、全員が一斉に敬礼する。

「『今村均(いまむら・ひとし)』空軍司令官!お戻りになられましたか!」

「会議には、ちと間に会わなかったようだな」

今村指令は笑みを浮かべながら輪に加わる。

「いまラビット国から戻ったところでな、皆にとびっきりの『朗報』がある」

「朗報?と言う事は、遂にあれが完成したのですか?!」

源田参謀の問いに、頷く今村司令。

「正直、あの国の技術力はすごい」

「更に、転生した技術者『堀越二郎(ほりこし・じろう)』技師の監修のもと、魔法を取り入れたことにより、面白いものになっておるらしい」

「そいつは楽しみだ!」

「数日以内にこちらに運び込まれるので、皆には開戦までの間『訓練』を徹底してやってもらう事になる!」

この言葉に、場にいるパイロットたちは歓喜した。

「ついに!俺たちが本当の空軍として戦う日が来たのだ!」

「一体どれだけこの日を待ち望んだことか!」

「よし、これで儂も『実戦デビュー』だ!」

最後の言葉に、皆が一斉に注目する。

「え?源田参謀も戦闘に参加されるのですか?」

「当たり前だ!前世では立場上出させてもらえなかったが、現世では戦闘に参加させてもらうぞ!」

「いや、現世でも『参謀長』なのですが?…」

「いいや!誰が何と言おうと参加するぞ!」

源田参謀は、新兵器に乗りたくてウズウズしていたのだ。

「分かった、私が許可しよう」

「源田君、あまり無理はしないでくれよ?」

「はっ!ありがとうございます!」

今村指令の言葉に、源田参謀は敬礼後小さくガッツポーズをする。

「それで、新兵器の名前は何というのですか?」

坂井の質問に、今村司令官は頷きながら答える。

「今は試作型で正式な名前はなく、『PROTO-0』と呼んでいるとの事だ」

「なるほど、『零式』ですか!」

「そうだよな!やはり俺たちには『ゼロ戦』だよな!」
皆、感慨深く頷く。

こうして三日後に、6機の『零式』が横浜空軍基地に配備され、後に亜人連合の切り札となっていく。
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