神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

文字の大きさ
上 下
220 / 317
群雄進撃編

第218話 それぞれの考え

しおりを挟む
「将軍!本当にあれで宜しかったのですか?」

二条城の政務室で、徳川慶喜と島津久光は椅子に座り話していた。

「久光公、私はもう将軍ではないよ」

「いいえ!誰が何と言おうと、あなたは私の将軍です!」

(本当に私は将軍職をやりたくないのだがな…)

心の中で呟く慶喜。

「我が兄・島津斉彬侯も、引退して私に家督を譲っておきながら、兵権を手放そうとしない!」

「私は早く力をもって、将軍様の力になりたいというのに…」

興奮して話す久光に、辟易と返事する慶喜。

「久光公、そのようなものは要らない」

「私は本当に、戦争をやってほしくなかっただけだ」

「一体なぜ、勝てない戦争をやろうとするのか…たとえ降伏しても、生きてさえいれば未来があるだろうに…」

自分への重たいほどの久光公の思いに、慶喜はため息交じりに話す。

「久光公よ...私は静かに暮らしたいのだ」

「別にこの国を誰が治めようが、それで血が流れないのであれば、国民が死なずに生きてさえいれるのなら、それでいいのだ」

「誰が治めてもよいですと?」

久光は動揺する。

「ならば…あなたを信じて動いた、私はどうすれば宜しいのですか!」

「信長には『協力者が助けてくれる』と報告しておきましょう」

笑みを浮かべながら話す慶喜。

「協力者だと?!」

「ふざけるな!私はこの国を救うために、貴様が将軍になるよう協力したのだ!!」

「誰が侵略者の統治など認めるか!!」

これまで、慶喜を将軍としてこの国を治めてもらう為に、人一倍協力をしようと考えていた久光だったが、慶喜の本心は自分とは全く違う方向を向いていた。

「もういい!さらばだ慶喜様!」

久光は怒って二条城を後にする。

一人残った慶喜は呟く。

「はぁ…なぜ奴らは勝ち目のない戦いをしたがるのか」

「まあいいです…皆にはちゃんと伝えましたから…」

慶喜は席を立ち、旅支度をして二条城を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

インフィニティ•ゼノ•リバース

タカユキ
ファンタジー
女神様に異世界転移された俺とクラスメイトは、魔王討伐の使命を背負った。 しかし、それを素直に応じるクラスメイト達ではなかった。 それぞれ独自に日常謳歌したりしていた。 最初は真面目に修行していたが、敵の恐ろしい能力を知り、魔王討伐は保留にした。 そして日常を楽しんでいたが…魔族に襲われ、日常に変化が起きた。 そしてある日、2つの自分だけのオリジナルスキルがある事を知る。 その一つは無限の力、もう一つが人形を作り、それを魔族に変える力だった。

聖獣達に愛された子

颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。 普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は..... 捨て子の生き様を描いています!! 興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

処理中です...