神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第217話 帝の赤子

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大広間での話が終了し、再び『虎の間』に集まった、ピットと思たる人物たち。

コの字に造ったテーブルの上座に、ピットと明帝。

三候から松平春嶽と、伊達宗城。

西郷・大久保・桂・高杉・横井・坂本・中岡。

空軍隊長の坂井三郎。

そして、長州の小男が一人。

護衛の半蔵が空間断絶を唱え、空間は遮断された。

「明帝、先ほどは失礼致しました」

三候の一人・伊達宗城が頭を下げる。

「そちには、『間者』のようなことをやらせてすまなかった」

「しかしそのお陰で、慶喜と久光の真意を知ることができた」

「先日、豊臣秀頼たちが御所を襲撃した際に、ある手紙を残していたのじゃが、それがよっとるから、わらわにあてた手紙と判明してのう」

明帝は、先日ピットに話した内容を皆に話す。

「つまり、我が国は日ノ本の権力争いに巻き込まれていると?」

「そういう事になるのう」

明帝により初めて明かされる真実に、皆は驚きを隠せない。

「我が国の方針は『日ノ本の撃退』決まったが、この場ではどのようにしてそれを行うかの話し合いを行いたい」

春嶽侯の言葉を聞き、小男が皆の前に立つ。

「皆様初めまして、長州で町医者をやっていました、村田蔵六改め、『大村益次郎(おおむら・ますじろう)です」

「この度は、この亜人共和国の作戦指揮をやらせて頂きますので宜しくお願いします」

深々と頭を下げる益次郎。

「皆も御存知とは思うが、彼は前世の明治政府で『陸軍元帥』を務めておった」

「今、この国で、彼以上の戦略家はいないと思う」

「皆、彼の指示に従って動いてほしい」

桂の言葉に、皆も賛同する。

「それで大村先生…この戦争勝てそうですか?」

「いえ、このままでは九分九厘勝てません!」

桂の言葉に、益次郎は即答する。

「しかし、それは『わが国の力』だけであればの話です」

「今回はピット様の国より、『技術』『兵器』『兵』の提供を受けておりますので、この部分はかなりの有利材料です」

「また、宋国を韓王が抑えていることにより、日ノ本の援軍は限られています」

益次郎は、ここまで有利な点を話す

「しかし、敵は土佐を要塞化し、補給基地を造っています」

「ここを拠点に『艦隊戦』に持ち込まれたら、我々に勝ち目はありません」

益次郎は、敵の新鋭艦隊にはこちらの旧式艦隊では勝ち目はないと読んでいた。

「制海権を取られると、陸地が艦砲射撃を受け続けますので、勝つためにはなんとしても土佐を取り戻さなければなりません」

「そこで、この攻略に適任の人物を、私の部下に向かわせております」

「適任者?」

「そうです」

中岡の質問に、相槌を打つ益次郎。

ここで益次郎は、各兵配分を話す。

「そうか…やはり敵が上陸してからの戦い方になっと?」

「はい、敵の上陸を前提に作戦を考えています」

大久保の言葉に返答した益次郎は、話を続ける。

「日ノ本の戦力は相当な物と考えられます」

「情報によれば、大型艦数隻と小型艦多数、その一部はすでに土佐へ向けて出港したとの事」

「皆さん、この戦いは多くの犠牲が出ることを、覚悟しておいて下さい」

そう言って周りを見渡す益次郎。

「それには心配に及びませんよ!」

桂は席を立つ。

「それは覚悟のうえで集まった者たちだ!」

その声に合わせて、西郷もゆっくりと腰を上げる。

「ああ!ここにおっ皆は、こん国ん未来を託して戦う者たちじゃ!」

「こん西郷も、最後まで戦わせてもらう!」

中岡と龍馬も立ちあがる。

「大村先生!わしと勤王党の奴らは、是非土佐で戦わしてくれ!」

「そして、友であるハンペンを救出するがよ!」

「よし!僕らで日ノ本の奴らを追う払うて、明帝とピット王の結婚に花を添えようじゃないか!」

「「「おう!!!!」」」

晋作の掛け声に、沸き立つ虎の間。

明帝は静かに席を立つ。

「皆の者、礼を言う」

「わらわは、そちたちのような家臣をもって、幸せ者じゃ」

「そして、わらわは帝として、非常なことを言わねばならぬ!」

『皆の全てを、この国に住む民の為に捧げてくれ!』

明帝は、皆へと頭を下げる。

「「「ははっ!我ら国民の為に!最後まで戦わせていただきます!」」」

全員が一斉に頭を下げる。

「それではこれより、各方面作戦の説明を行います」

大村の言葉で、実に300年ぶりの『作戦会議』が始まった。
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