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群雄進撃編
第214話 仲間の為に
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昌王とオウセン率いる(元秦軍)は、終戦締結の為、江陵城の前で会談を開いた。
オウセンはオウホンと、昌王は項梁が、共に主の後ろで立っている。
「昌平君…いや、今は楚の王・昌王であったな?」
「オウセン将軍、どちらでもいいですよ」
二人はふっと笑う。
「正直に申すとな、お前からこの話を聞いた時、成功せぬであろうと思っておった」
「そうですね、私が逆の立場でも、貴方と同じように信じなかったでしょう」
「しかし…まさか、『6人』で10,000以上が守る咸陽を制圧し、皇帝と趙高を討ち取ったなど、一体何の夢物語を聞かされたのかと思いましたよ」
「ああ、これでやつらの為に、苦しめ殺された多くの領民たちの無念も、少しは晴れたであろう」
「まったく…あの『項羽』の連中には、兵法の常識が、全く通用しないとはな…」
「同感です」
二人が話しているところへ、ボウイと陳平がやってきた。
「お二方とも、待たせましたな!」
「いえ、我々も話し込んでおりました」
昌王は二人を見て質問する。
「それで、項羽殿は?」
「それが、師匠(項羽)が言うには『秦の事は、統治するもので決めてくれ!』との事だ」
ボウイの言葉に二人は驚く。
「どういう事だ?秦の領土は『項羽』が治めるのではないのか?」
「まったく訳が分かりません!彼には何か別の考えがあるのですか?」
困惑する二人に、ボウイが説明する。
「何でも、『俺たちは世界の悪魔族を殲滅するので、悪魔族を殲滅した土地は要らぬ!』って言ってたぜ!」
「なっ?秦の領地は要らぬと申すのですか?」
昌王は驚く中、オウセンは笑い始めた。
「ワハハハハハ!」
「何がおかしいのだ!オウセン?!」
昌王の質問に、オウセンは答える。
「昌王よ!そりゃおかしいに決まっておる!」
「魔族に乗っ取られた国とはいえ、これまで俺は、その秦国に命を捧げて尽くしてきたのだぞ!」
「その国を滅ぼした男が、『悪魔が居なくなったので、秦はもう要らぬ』とあっさり言い捨てたのだ!」
「これが笑わずにいられるものか!」
困惑と憤慨の入り混じった二人に、陳平は拱手して答える。
「お二方とも、それは覇王を誤解しております」
「御史大夫(陳平の役職)殿、どういう事だ?」
「覇王は知ってしまったのですよ」
「国や領土を獲るよりも、解放した民衆に感謝される『達成感と満足感』に!」
「覇王は新たな『達成感』を得るために、更なる『魔族退治』を行いたいようです」
陳平の説明に、項梁はぽつりと呟く
「そうか…項羽は変わったな…」
「そうですね、昔の項羽なら、きっと咸陽で略奪や虐殺を行っていたでしょう」
陳平も同意する。
「さて、では項羽殿が統治を放棄した『秦国』はどのように致しましょうか?」
考え始めた昌王に、オウセンは笑って話す。
「ならば、お前が統治すればよいではないか?昌王よ」
「私が?!」
驚く昌王に、オウセンは説明する。
「お前は元々、秦国に長く住んでいたし、国の内情にも詳しかろう」
「それに、お前さえよければ、俺たち『秦の五将軍』が配下に加わろう」
「本当か?!オウセン将軍!」
「ああ、気心が知れたお前のもとなら、俺たちも全力で戦えるからな」
「私も、父上と同じ考えです」
オウセンの言葉に、オウホンも同意する。
少し考えこむ昌王。
「そうか…また皆と共に『中華統一』を目指すのも、悪くないかもしれませんね!」
「ああ、しかし、あとはもう『魏』しか残っていないがな!」
二人は顔を見合わせて笑い出す。
「それでは、城内に宴席を設けておりますので、皆で今後を話し合いましょう!」
昌王に誓った二人は無事進化し、『王翦(おうせん)』大将軍・息子の『王賁(おうほん)』将軍
となり、後日合流する『蒙武(もうぶ)』『蒙恬(もうてん)』『李信(りしん)』と共に、今後の楚を盛り立てていく事となる。
同じ時刻の咸陽。
「大王、このまま咸陽を統治しなくても宜しいのですか?」
亜父の質問に、項羽は笑う。
「亜父よ!ここにいては、まだ見ぬ世界の『強者』と戦えぬではないか!」
「俺は、自分の領地を治めて生きるような、そんな退屈な生涯を送りたくないだけだ!」
項羽の言葉に、龍且たちと馬超たちは歓喜する。
「がはははは!流石は我らの大王様だ!」
「世界を股にかけての『遊牧』ですな!」
「皆簡単に言うが、補給問題とか大変なんじゃぞ…」
盛り上がる武将たちに対して、前途多難の范増。
(まあ良いか。陳平ももう少しいてくれるようだし、大王の行く先を見てみたいしのう)
なんだかんだ言っても、范増は大王の『予想できない未来』に魅かれているのだ。
「さて亜父よ、次はどこへ行こうか?」
項羽の質問に、范増は笑って答える。
「その様な事、私があえて申し上げる必要もありますまいて!」
他の家臣たちも、一斉に頷く。
「フフッ…聞くまでもないな」
『全軍!亜人連合に向けて出陣するぞ!!』
「「「応!!!」」」
項羽の掛け声とともに、『項羽軍』は一斉に飛び立った。
盟友・ピットの危機を救うために。
オウセンはオウホンと、昌王は項梁が、共に主の後ろで立っている。
「昌平君…いや、今は楚の王・昌王であったな?」
「オウセン将軍、どちらでもいいですよ」
二人はふっと笑う。
「正直に申すとな、お前からこの話を聞いた時、成功せぬであろうと思っておった」
「そうですね、私が逆の立場でも、貴方と同じように信じなかったでしょう」
「しかし…まさか、『6人』で10,000以上が守る咸陽を制圧し、皇帝と趙高を討ち取ったなど、一体何の夢物語を聞かされたのかと思いましたよ」
「ああ、これでやつらの為に、苦しめ殺された多くの領民たちの無念も、少しは晴れたであろう」
「まったく…あの『項羽』の連中には、兵法の常識が、全く通用しないとはな…」
「同感です」
二人が話しているところへ、ボウイと陳平がやってきた。
「お二方とも、待たせましたな!」
「いえ、我々も話し込んでおりました」
昌王は二人を見て質問する。
「それで、項羽殿は?」
「それが、師匠(項羽)が言うには『秦の事は、統治するもので決めてくれ!』との事だ」
ボウイの言葉に二人は驚く。
「どういう事だ?秦の領土は『項羽』が治めるのではないのか?」
「まったく訳が分かりません!彼には何か別の考えがあるのですか?」
困惑する二人に、ボウイが説明する。
「何でも、『俺たちは世界の悪魔族を殲滅するので、悪魔族を殲滅した土地は要らぬ!』って言ってたぜ!」
「なっ?秦の領地は要らぬと申すのですか?」
昌王は驚く中、オウセンは笑い始めた。
「ワハハハハハ!」
「何がおかしいのだ!オウセン?!」
昌王の質問に、オウセンは答える。
「昌王よ!そりゃおかしいに決まっておる!」
「魔族に乗っ取られた国とはいえ、これまで俺は、その秦国に命を捧げて尽くしてきたのだぞ!」
「その国を滅ぼした男が、『悪魔が居なくなったので、秦はもう要らぬ』とあっさり言い捨てたのだ!」
「これが笑わずにいられるものか!」
困惑と憤慨の入り混じった二人に、陳平は拱手して答える。
「お二方とも、それは覇王を誤解しております」
「御史大夫(陳平の役職)殿、どういう事だ?」
「覇王は知ってしまったのですよ」
「国や領土を獲るよりも、解放した民衆に感謝される『達成感と満足感』に!」
「覇王は新たな『達成感』を得るために、更なる『魔族退治』を行いたいようです」
陳平の説明に、項梁はぽつりと呟く
「そうか…項羽は変わったな…」
「そうですね、昔の項羽なら、きっと咸陽で略奪や虐殺を行っていたでしょう」
陳平も同意する。
「さて、では項羽殿が統治を放棄した『秦国』はどのように致しましょうか?」
考え始めた昌王に、オウセンは笑って話す。
「ならば、お前が統治すればよいではないか?昌王よ」
「私が?!」
驚く昌王に、オウセンは説明する。
「お前は元々、秦国に長く住んでいたし、国の内情にも詳しかろう」
「それに、お前さえよければ、俺たち『秦の五将軍』が配下に加わろう」
「本当か?!オウセン将軍!」
「ああ、気心が知れたお前のもとなら、俺たちも全力で戦えるからな」
「私も、父上と同じ考えです」
オウセンの言葉に、オウホンも同意する。
少し考えこむ昌王。
「そうか…また皆と共に『中華統一』を目指すのも、悪くないかもしれませんね!」
「ああ、しかし、あとはもう『魏』しか残っていないがな!」
二人は顔を見合わせて笑い出す。
「それでは、城内に宴席を設けておりますので、皆で今後を話し合いましょう!」
昌王に誓った二人は無事進化し、『王翦(おうせん)』大将軍・息子の『王賁(おうほん)』将軍
となり、後日合流する『蒙武(もうぶ)』『蒙恬(もうてん)』『李信(りしん)』と共に、今後の楚を盛り立てていく事となる。
同じ時刻の咸陽。
「大王、このまま咸陽を統治しなくても宜しいのですか?」
亜父の質問に、項羽は笑う。
「亜父よ!ここにいては、まだ見ぬ世界の『強者』と戦えぬではないか!」
「俺は、自分の領地を治めて生きるような、そんな退屈な生涯を送りたくないだけだ!」
項羽の言葉に、龍且たちと馬超たちは歓喜する。
「がはははは!流石は我らの大王様だ!」
「世界を股にかけての『遊牧』ですな!」
「皆簡単に言うが、補給問題とか大変なんじゃぞ…」
盛り上がる武将たちに対して、前途多難の范増。
(まあ良いか。陳平ももう少しいてくれるようだし、大王の行く先を見てみたいしのう)
なんだかんだ言っても、范増は大王の『予想できない未来』に魅かれているのだ。
「さて亜父よ、次はどこへ行こうか?」
項羽の質問に、范増は笑って答える。
「その様な事、私があえて申し上げる必要もありますまいて!」
他の家臣たちも、一斉に頷く。
「フフッ…聞くまでもないな」
『全軍!亜人連合に向けて出陣するぞ!!』
「「「応!!!」」」
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