神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第213話 戦い終わって

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「大王、終わりましたな」

近寄ってきた范増に、項羽は静かに頷く。

「これでひとつ、俺たちは『過去の因縁』から解き放たれたのかもしれぬ…」

項羽の言葉に、范増は静かに頭を下げる。

「「「大王様―!ご無事で!」」」

各方面を制圧した、項羽の家臣も戻ってきた。

「大王様!『馬超孟起(ばちょう・もうき)』只今戻りました!」

西涼軍を率いた総大将・馬超が、副将の馬岱と共に挨拶をする。

「馬騰殿の加勢のお陰で、無事咸陽を陥落させることができた」

項羽は馬超に礼を言う。

「お、お待ちくだされ!」

「もとはと言えば、大王様が我らの『隷属解除』と『進化』を行ってくださったお陰です!」

馬超は慌てて拱手をした。

一緒にいた副将『馬岱(ばたい)』が、報告を行う。

「現在、『龐徳(ほうとく)』率いる部隊で、漢中を制圧いたしましたので、残るは『オウセン』たちが率いる秦の主力部隊だけとなりました」

「今後は、私たち二人に、龐徳・『韓遂(かんすい)』と、『羌族(きょうぞく)』騎兵2,000で、大王様の覇業の手助けを行わせて頂きます!」

馬超はそう言い終え、馬岱と共に再び拱手をした。

「そうか、お前たちが仲間になってくれるのであれば、俺も少しは楽ができると言うものだ」

「これからもよろしく頼むぞ!」

項羽は馬超と握手をし、軽く肩を叩いた。

「さて、これでこちらの方面は『魏』と『オウセン』のみとなりました」

范増の言葉に、陳平が答える。

「オウセン軍は、昌王様が話をするとの事ですので、そちらの方は任せておきましょう」

「それよりも、これから戦う事になる『魏』は、一筋縄ではいきません」

「今までの、魔族による隷属支配と違い、以前の王のやり方を『ピレネッタ』公が踏襲して治めている為、領民と魔族が共存して住んでいても、争いが起きていません」

「また、先代から丞相を務めております『ソウソウ』が、人材を幅広く集めていることもあって、知恵袋の『カク』をはじめ、古今東西の智将・猛将が多く揃っております」

「そして、ピレネッタ公は今、現在空席と言われる『魔王』の座に、一番近い男と呼ばれております」

陳平の説明を終え、范増が私見を話す。

「これは戦い辛うございますな。要は領民すら敵であるという事ですからのぅ」

「間もなく始まる『魏』との最初の戦に向けて、こちらも準備をせねばなりますまい」

そんな中、城内の警備と補修を行っている、馬超の部下から連絡が入る。

「大王様、お話し中申し訳ございません」

「咸陽の領民を代表する者たちが、大王様にお礼を申したいと面会を求めておりますが?」

「そうか…ここへ通せ」

「ハハッ!」

兵はそう返事をし、間もなく10人程の住民の代表が入ってきた。

「大王様、我々を悪魔たちからの支配から解放して下さり、真に感謝に堪えません!」

「城の領民を代表致しまして、御礼に参らせて頂きました」

領民の代表たちは、皆一斉に頭を下げる。

「それで、我々は多くの『秦兵』を倒したのだが、家族に恨まれているのではないのか?」

項羽の言葉を、皆は慌てて否定する。

「いえ、それはありませぬ」

「此度ここに残っておりましたのは、趙高の『親衛兵団』で、魔族兵と悪魔を崇拝する者たちで編成されておりましたので、咸陽の者たちは感謝こそすれ、恨むものなど誰一人としておりません!」

「どうか、このままこの『咸陽』を治めて下さりますよう、領民を代表しお願い申し上げます」

「そうか、お前たちの気持ちは分かった」

項羽の言葉に、嬉しそうに顔を上げる咸陽の領民たち。

「俺は…」
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