215 / 317
群雄進撃編
第213話 戦い終わって
しおりを挟む
「大王、終わりましたな」
近寄ってきた范増に、項羽は静かに頷く。
「これでひとつ、俺たちは『過去の因縁』から解き放たれたのかもしれぬ…」
項羽の言葉に、范増は静かに頭を下げる。
「「「大王様―!ご無事で!」」」
各方面を制圧した、項羽の家臣も戻ってきた。
「大王様!『馬超孟起(ばちょう・もうき)』只今戻りました!」
西涼軍を率いた総大将・馬超が、副将の馬岱と共に挨拶をする。
「馬騰殿の加勢のお陰で、無事咸陽を陥落させることができた」
項羽は馬超に礼を言う。
「お、お待ちくだされ!」
「もとはと言えば、大王様が我らの『隷属解除』と『進化』を行ってくださったお陰です!」
馬超は慌てて拱手をした。
一緒にいた副将『馬岱(ばたい)』が、報告を行う。
「現在、『龐徳(ほうとく)』率いる部隊で、漢中を制圧いたしましたので、残るは『オウセン』たちが率いる秦の主力部隊だけとなりました」
「今後は、私たち二人に、龐徳・『韓遂(かんすい)』と、『羌族(きょうぞく)』騎兵2,000で、大王様の覇業の手助けを行わせて頂きます!」
馬超はそう言い終え、馬岱と共に再び拱手をした。
「そうか、お前たちが仲間になってくれるのであれば、俺も少しは楽ができると言うものだ」
「これからもよろしく頼むぞ!」
項羽は馬超と握手をし、軽く肩を叩いた。
「さて、これでこちらの方面は『魏』と『オウセン』のみとなりました」
范増の言葉に、陳平が答える。
「オウセン軍は、昌王様が話をするとの事ですので、そちらの方は任せておきましょう」
「それよりも、これから戦う事になる『魏』は、一筋縄ではいきません」
「今までの、魔族による隷属支配と違い、以前の王のやり方を『ピレネッタ』公が踏襲して治めている為、領民と魔族が共存して住んでいても、争いが起きていません」
「また、先代から丞相を務めております『ソウソウ』が、人材を幅広く集めていることもあって、知恵袋の『カク』をはじめ、古今東西の智将・猛将が多く揃っております」
「そして、ピレネッタ公は今、現在空席と言われる『魔王』の座に、一番近い男と呼ばれております」
陳平の説明を終え、范増が私見を話す。
「これは戦い辛うございますな。要は領民すら敵であるという事ですからのぅ」
「間もなく始まる『魏』との最初の戦に向けて、こちらも準備をせねばなりますまい」
そんな中、城内の警備と補修を行っている、馬超の部下から連絡が入る。
「大王様、お話し中申し訳ございません」
「咸陽の領民を代表する者たちが、大王様にお礼を申したいと面会を求めておりますが?」
「そうか…ここへ通せ」
「ハハッ!」
兵はそう返事をし、間もなく10人程の住民の代表が入ってきた。
「大王様、我々を悪魔たちからの支配から解放して下さり、真に感謝に堪えません!」
「城の領民を代表致しまして、御礼に参らせて頂きました」
領民の代表たちは、皆一斉に頭を下げる。
「それで、我々は多くの『秦兵』を倒したのだが、家族に恨まれているのではないのか?」
項羽の言葉を、皆は慌てて否定する。
「いえ、それはありませぬ」
「此度ここに残っておりましたのは、趙高の『親衛兵団』で、魔族兵と悪魔を崇拝する者たちで編成されておりましたので、咸陽の者たちは感謝こそすれ、恨むものなど誰一人としておりません!」
「どうか、このままこの『咸陽』を治めて下さりますよう、領民を代表しお願い申し上げます」
「そうか、お前たちの気持ちは分かった」
項羽の言葉に、嬉しそうに顔を上げる咸陽の領民たち。
「俺は…」
近寄ってきた范増に、項羽は静かに頷く。
「これでひとつ、俺たちは『過去の因縁』から解き放たれたのかもしれぬ…」
項羽の言葉に、范増は静かに頭を下げる。
「「「大王様―!ご無事で!」」」
各方面を制圧した、項羽の家臣も戻ってきた。
「大王様!『馬超孟起(ばちょう・もうき)』只今戻りました!」
西涼軍を率いた総大将・馬超が、副将の馬岱と共に挨拶をする。
「馬騰殿の加勢のお陰で、無事咸陽を陥落させることができた」
項羽は馬超に礼を言う。
「お、お待ちくだされ!」
「もとはと言えば、大王様が我らの『隷属解除』と『進化』を行ってくださったお陰です!」
馬超は慌てて拱手をした。
一緒にいた副将『馬岱(ばたい)』が、報告を行う。
「現在、『龐徳(ほうとく)』率いる部隊で、漢中を制圧いたしましたので、残るは『オウセン』たちが率いる秦の主力部隊だけとなりました」
「今後は、私たち二人に、龐徳・『韓遂(かんすい)』と、『羌族(きょうぞく)』騎兵2,000で、大王様の覇業の手助けを行わせて頂きます!」
馬超はそう言い終え、馬岱と共に再び拱手をした。
「そうか、お前たちが仲間になってくれるのであれば、俺も少しは楽ができると言うものだ」
「これからもよろしく頼むぞ!」
項羽は馬超と握手をし、軽く肩を叩いた。
「さて、これでこちらの方面は『魏』と『オウセン』のみとなりました」
范増の言葉に、陳平が答える。
「オウセン軍は、昌王様が話をするとの事ですので、そちらの方は任せておきましょう」
「それよりも、これから戦う事になる『魏』は、一筋縄ではいきません」
「今までの、魔族による隷属支配と違い、以前の王のやり方を『ピレネッタ』公が踏襲して治めている為、領民と魔族が共存して住んでいても、争いが起きていません」
「また、先代から丞相を務めております『ソウソウ』が、人材を幅広く集めていることもあって、知恵袋の『カク』をはじめ、古今東西の智将・猛将が多く揃っております」
「そして、ピレネッタ公は今、現在空席と言われる『魔王』の座に、一番近い男と呼ばれております」
陳平の説明を終え、范増が私見を話す。
「これは戦い辛うございますな。要は領民すら敵であるという事ですからのぅ」
「間もなく始まる『魏』との最初の戦に向けて、こちらも準備をせねばなりますまい」
そんな中、城内の警備と補修を行っている、馬超の部下から連絡が入る。
「大王様、お話し中申し訳ございません」
「咸陽の領民を代表する者たちが、大王様にお礼を申したいと面会を求めておりますが?」
「そうか…ここへ通せ」
「ハハッ!」
兵はそう返事をし、間もなく10人程の住民の代表が入ってきた。
「大王様、我々を悪魔たちからの支配から解放して下さり、真に感謝に堪えません!」
「城の領民を代表致しまして、御礼に参らせて頂きました」
領民の代表たちは、皆一斉に頭を下げる。
「それで、我々は多くの『秦兵』を倒したのだが、家族に恨まれているのではないのか?」
項羽の言葉を、皆は慌てて否定する。
「いえ、それはありませぬ」
「此度ここに残っておりましたのは、趙高の『親衛兵団』で、魔族兵と悪魔を崇拝する者たちで編成されておりましたので、咸陽の者たちは感謝こそすれ、恨むものなど誰一人としておりません!」
「どうか、このままこの『咸陽』を治めて下さりますよう、領民を代表しお願い申し上げます」
「そうか、お前たちの気持ちは分かった」
項羽の言葉に、嬉しそうに顔を上げる咸陽の領民たち。
「俺は…」
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる