神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第211話 最強の軍

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城内のあちこちで、怒声や悲鳴が上がる。

500の守備兵がそこに到着すると、そこには夥しい『秦兵』が倒されていた。

「なんだ?今度は500ぽっちか?」

守備兵長は、夥しい死体と、3メートルほどあろうかと言う獣を見て、叫び声をあげた!

「くっ熊の化け物だー!!」

次の瞬間、守備兵長の首と、周りにいた数人が同時に斬り殺された。

「ほう?この鍾離眜(しょうりばつ)に向かって化け物とは、よほど死にたいと見える!」

そう言った守備兵長は首を刎ねられているのだが、そんなのお構いなしに、鍾離眜は兵を八つ裂きにしていく。

別方面では、魔法を駆使して、熊の化け物を攻撃する者たち。

「なんじゃ?水と火をぶつけてきおって!ここで湯でも沸かす気か?」

ファイヤーボールも水刃も水弾も一切効かず、紙屑のように切り裂かれる魔法兵。

「この龍且(りゅうしょ)様にダメージを与えたいのであれば、もっと大魔法を撃ち込んで来い!」

また違うところでは、季布が鬼神の如く弓兵たちを斬り倒していた。

「だ、ダメだ!速すぎて矢が当たらない!」

「いや、当たっても、全てはね返されている!」

「貴様らのヒョロヒョロ矢なぞ、俺の体に刺さりもせぬわ!」

そして、宮中に近い中央付近では、桓楚(かんそ)と項荘(こうそう)が、近衛兵を相手に大暴れをしていた。

「何だ!この熊の化け物たちは!!」

「だ、ダメだ!手に追えん!!」

「に、逃げろー!!」

「ガハハハハ!逃がすか雑兵共が!」

「オラ!オラ!オラ!近衛兵なら最後まで戦わんかー!!」

項羽の家臣に、次々と倒されていく秦兵たち。

城内は秦兵にとって、地獄と化していた。

やがて、殆どの秦兵が『戦闘不能』となり、王を守る趙高にも、その報告が届く。

「…一時間も経たずに、10,000の兵が全滅だと…?」

呆然とする趙高の前に、銀色の鎧に身を包んだ大男がゆっくりと現れた。

「兵?案山子(かかし)の間違いじゃないのか?」

「もっとも、逃げたり叫んだりと、うるさい案山子だったがな…」

「さて、お前たちはどのような案山子になるのかな?」

「何だと貴様―!!」

項羽の言葉に、怒る近衛兵団

「奴を討ち取れ!」

兵長の号令で、一斉に襲い掛かる近衛兵300。

しかし、近衛兵たちの剣は、項羽に触れる事もなく、数秒で体を真っ二つにされてしまった。

「ほう、こいつら討ち取ると言って、すぐ俺に斬られたので、口ほどにもない案山子だったな」

近衛兵が居なくなった二人に、項羽は冷たく告げる。

「さて!趙高!胡亥!」

「お前らの悪行で死んでいった『秦の民達』に、地獄で詫びてこい!」

項羽の言葉に、不敵に笑う趙高。

「ぐふふ!罠に掛ったのは貴様の方だ!」

その時、項羽の足元に隠された魔法陣が光出す!

「!!」

項羽は、咄嗟に後ろへと飛び退いた。

そして、項羽に斬り殺された近衛兵の肉片や胡亥が、魔法陣に集まり、中心にいた趙高へと『吸収』されていく。

「げはははは!項羽よ!これが私の究極魔法『グラトニー』だ!」

「待て趙高!なぜ朕まで取り込むのじゃ?朕は皇帝ぞ!!」

「ぐふふふふ!皇帝も私の血肉となってください!」

「や、やめてくれー!!」

懇願むなしく、皇帝は生きたまま趙高に吸収された。

吸収を終えた趙高は、部屋いっぱいの大きさとなり、ぶよぶよとした体に、吸収した者たちのデスマスクが、表面に浮かび上がっていた。

「ほう、化け物の姿がよく似合うではないか?」

笑みを浮かべながら答える項羽に、趙高の顔らしき部分が喋り出す。

「げはひゃひゃ!貴様もすぐに、私の体の中で生きる事になるのだから、楽しみにしておれ!」

「それは遠慮しよう!そのような姿になってしまったら、虞姫に嫌われてしまうからな…」

「ほざけ!!」

怒った趙高の体の一部が、項羽を吸収しようと襲ってくる!

項羽はひらりと躱し、逆に手のようなものを切断した!

しかし、切り取った腕は、すぐに趙高の体の一部へと戻って行った。

「きしゃしゃしゃしゃ!私の体には『物理攻撃』は聞かぬのだよ!」

「ふむ、笑い方も、姿と同じで気持ち悪いな!」

「この!項羽―!!」

体の全てを伸ばし、一気に項羽の全身を包み込もうとする趙高。

その時、項羽の持った斧槍が『黒い炎』を纏い始める。

その斧槍の中心を持ち、高速で回し始め、伸びてくる趙高の体を、次々と細切れにしていく。

「ぐぎゃー!!あ、熱いー!!」

細切れにされた肉片は、次々と黒い炎を上げて燃え始めた。

「きき貴様―!!何をした―!!」

項羽は斧槍を肩に担ぎ、笑みを浮かべながら答える。

「これか?これはただ俺の愛槍に『ヘル・ファイヤー』を付与しただけだ」

そう言って項羽は、黒い炎を纏った斧槍で、趙高の体を次々と刺していく。

「げぎゃー!熱い!やめてくれー!!」

「どうした?俺の攻撃は効かないのではなかったのか?」

体が大きくなってしまった分、何処にも逃げる事が出来なくなり、ひたすらに攻撃を受け続ける趙高。

やがて、黒い炎は趙高の全身を包み、趙高はもだえ苦しみ始めた。

「ぎゃああああ!あつい!たすけてくれえええ!!」

ついには、趙高を覆った火が、館を燃やし始める。

「ハハハハハ!今夜は冷えるから、丁度いい焚き火が出来たな!」

「おのれええええ!こううううううう!おのれえええええ」

断末魔を叫びながら、趙高は館と共に、炭となっていった。

やがて、燃え尽きた館を見て、項羽は呟く。

「これで、秦に蔓延った、汚物の消毒は終わったな」

趙高・胡亥の死により、遂に秦国は滅亡となった。
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