神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第209話 大将軍の決断

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ここは楚と秦の最前線となる城『江陵城』。

この城は、既に秦軍の兵団400,000に攻撃を受け続け、3カ月が経過していた。

星空のもと、オウセン将軍はじっと江陵城を見つめていた。

「オウセン将軍、この城は一体どうなっているのでしょうか?」

オウセン将軍の息子・オウホンは、江陵城の特異さに困り果てていた。

「情報によりますと、この城の兵指数は約40,000」

「こちらは数の有利を利用し、昼夜を問わずに90日間以上、休む間もなく攻撃を続けておりますが、奴らの兵団は疲労するどころか、毎日本陣に夜襲をかけてくる始末」

「しかも、奴らの兵1人を倒すのに、3人以上の犠牲が出ております」

「彼奴らはいったい何者なんでしょうか?」

オウセンは腕を組み、遠く江陵城のかがり火を見ながら考える。

「奴らの兵は、常にどこかで交代しておるやもしれぬな…」

「交代?そんなはずはありません!」

「攻撃をする際や、奇襲を受ける際に、敵の兵力を確認しておりますが、ほぼ全軍に近い数で戦っているようです!」

オウホンの疑問に、オウセンはあっさりと答えを出す。

「それは、私たちが敵の数を40,000と『思い込んでいる』からだ」

「思い込んでいる?…つまり、間者の情報を、逆手に取られていると?」

オウセンは頷く。

「恐らく、我らをここへ『釘付け』にする為に、偽りの兵数を明かして、『昌王』自らを囮としているのであろう」

「何故そのような事を…」

ここでオウホンも、敵の真意に気付く。

「そうか!奴らの狙いは我々ではなく『咸陽』だ!」

「ならば急いで、本国の援軍に向かいませんと!」

「本国の兵力は5万程しか残っておりませんよ!」

オウホンは焦りながらオウセンに進言するも、オウセンは腕を組んだまま、微動だにしない。

「父上!まさか知っていて…」

驚くオウホンの質問に、オウセンが話す。

「我らはまだ、丞相から『戻れ』との命令は受けていない」

「恐らく、リシンやモウブも、敵の陽動に乗ったふりをして動いておらぬであろう」

星空を見上げ、オウホンは呟く。

「本当は、私の手で趙高を殺したいのだが、契約上それが出来ぬ…」

「ならば、それが出来るものに任せればよいだけだ…」

父の真意を知ったオウホンは、それ以上何も話さずに、父を残し天幕へと戻った。
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