神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第207話 魔法と心理(4)

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二人が去った後、静まり返る会議室。

「あれが…エジプトの王・ラムセス2世…」

「何か別次元の生き物でしたね…」

「それだけではない!あの王妃も、とんでもない魔力を秘めていたぞ?」

ざわつく会議室で、官兵衛が皆に話す。

「お分かりとは思うが、今のあの二人は『人間』ではない」

「恐らく『神に近い存在』であると、私は位置付けている」

「また、彼らは、この世界の紛争には興味がないようなので、このまま研究の成果を伝えたいと考えている」

ここで周瑜が質問する。

「ところで、彼らが言っていた『心理』とは何なのですか?」

この疑問に、アルベルトが答える。

「真理とは、死んだ魂が行き着く先の世界である」

「死んだ者の魂?」

「もしかして、この世界の事ですか?」

「半分、あたりですな」

アルベルトはそう答え、説明を続ける。

「生き物の魂は、常に『輪廻転生』しており、たとえこの世界で命が尽きても、すぐ別の世界で『新たな生命』として誕生するのです」

「そして、その『魂たち』が、次入れ物ができるまでの間、一時的に待機する場所が『真理の世界』なのです」

アルベルトの説明後、官兵衛が周瑜に質問する。

「周郎殿は、『ネクロマンサー』達が、何処から『魂』を呼び寄せてアンデットにしているか、考えたことはありますか?」

「それは…ないですね」

「そう、この世界では『そういうもの』と認識している為に、疑問として考えたりしなくなっているのです」

「そして、これもまた『真理の世界』に保管された魂を、魔法陣を使って、無理やりこの世界にもってきているのです」

「そんなことが…」

流石の周瑜も絶句した。

「安心してください、私も少し前までは、周郎殿と同じ考えだったのですから…」

「以上が、現在開示できる成果です」

アルベルトは、そのまま着席し、官兵衛が再び席を立つ。

「魔法の発案者である『ラムセス2世』の言葉を聞く限り、研究者たちの『魔法』に対する考え方は、間違ってはいなかったようです」

「今回はこれで解散と致します!」

こうして、この世界にない言葉で進んだ会議は、皆の多くの疑問を残したまま終了する。

「ボウイ殿、宜しいですかな?」

「おう!レオちゃんどうした?」

帰り足のボウイを、レオナルドはふいに呼び止める。

「お願いがあるのじゃが…」

レオナルドが全てを言う前に、ボウイは返事をする。

「分かっている」

「この事は、『ピット』と『ツキノ』には黙っておいてくれ!だろ?」

「!」

「この場に、二人を呼ばなかったのは正解だ」

「俺も、あいつ等にはこの話の『先』を、連想してもらいたくないからな…」

この言葉を聞いて、驚くレオナルド。

「俺は、前世で『軍人』だったから、まだいい」

ため息をつくボウイ。

「出来れば…この『真理』ってやつは、『一生知らない』方がいい」

「…そこまで理解していらっしゃるのであれば、私から何も申し上げる事はありませんのじゃ」

レオナルドの言葉に、ボウイは頷く。

「さて!次は『益州』か!」

「まったく、うちの丞相は、誰に対しても人使いが荒いな」

研究所を出ていくボウイに、レオナルドは深々と頭を下げた。
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