神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第204話 魔法と心理(1)

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「ピット様は、現世と前世との世界の大きな違いは何かわかりますか?」

レオナルドは質問形式でピットに訊ねる。

「うーん…やはり一番は、魔法が使えるかどうかじゃないかな?」

ピットの回答に、レオナルドは頷く。

「その通りですじゃ」

「この世界には当たり前のように、魔法が浸透しておりますのじゃ」

「そして魔法を使う際は、基本的に『詠唱』で魔法陣を構築するか、『イメージ』で具現化させるか、『使い捨てのスクロール』に描いた魔法陣に、魔力を注ぎ使用するか、『魔石』に呪文を封じ込めて、魔力を注ぎ使用するかになりますのじゃ」

ピットもそれに関しては理解していた。

「ただ、我々には魔法陣から出てくる『物質』は、何処から出てくるのかよくわからなかったのですじゃ」

確かに、何も考えず炎魔法や水魔法などの、多くの属性のを使っているが、それがどこから来るものなのかは考えたこともなかった。

この世界の人は、よく『精霊の力を借りて』で魔法を片付けていたのだが、実際彼らの力で『そこにない物質を出現させる』のは物理的に不可能である。

「わしは疑問には思いつつも、その事に関しては判る者もおらず、一旦その事は忘れて、魔法を利用した研究に没頭しておりましたのじゃ」

「しかし、1カ月ほど前にシフ殿が連れてきた『ある男』により、その答えが導き出されたのじゃ」

「ある男?」

「前世では物理学者の『アルベルト・アインシュタイン』と言うものですじゃ」

「アインシュタインだって?!」

ピットもアインシュタインが何をした人かはよくわからないが、名前と『相対性理論』の言葉くらいは知っていた。

「私も彼の半分くらいしか理解できなかったのですが、彼の考えを要約すると、『次元』はひとつではないとの事ですじゃ」

「次元はひとつではないですか?」

この辺から、ピットの理解を超え始める。

「この世界の魔法とは、別次元と繋げられる『魔法陣』を書いて、誰でも使えるようにしているのですじゃ」

「また、高い能力者は、魔法陣を正確にイメージして、何もない空中や、自身の頭の中で陣を描き、『魔法』を目の前に出現させておりますのじゃ」

「当然ながら、火の魔法陣と、水の魔法陣は全く違うのですが、実はこの魔法陣が、それぞれの次元に繋がり、必要なエネルギーと物質を、魔力と引き換えに供給しているのではないかと仮説を立てましたのじゃ」

「ちなみに、魔法陣の文字は全て『古代文字』で書かれており、我々はもちろん、研究員のエルフやドワーフでも、何を書いてあるのか、さっぱりわかりませんでしたのじゃ」

「みな解読法がわからず、途方に暮れておるところに、研究員の一人が、あることに気付いたのですじゃ」

『これに似た文字を、以前訪れたエジプト国の石に書いてあったのを見たことがある』と。

「早速我々は、エジプトへ『密航』し、研究員が見たと言った『古代文が書かれた石』を『ネガ』に収めてきたのですじゃ」

「この石に記載されておりましたのが、『古代文字→ルーン文字』の意味に訳する辞書でございましたのじゃ」

「ただ、この『ルーン文字』も、我々には完全に理解できませんでしたが、一部の文章はエルフとドワーフの研究員の力により解読できたのです」

「それで誕生したのが、『空間収納』です」

時間があまりないため、レオナルドは一切の質問を受け付けずに、ここまで説明をし終えた。

「ここからが本題です」

「この魔法陣の書き換えにより、他の魔法陣を描き変えるとどうなるかと考えた我々は、理解出来た文字の多かった『土の属性』系の魔法を調査いたしました」

「まず、土の魔法陣に空間収納の魔法陣を重ね、術を発動」

「次にサイボーグである私の分身が中に収納されましたのじゃ」

「中に入ると、そこには大量の土があり、調べましたところ、普通の土の成分と同じでしたのじゃ」

「ここでわしらは、『魔法陣の中に成分を司る文』があると仮説を立てて、可能性のある文章を書き変えてみたのじゃ」

「すると、収納内に『ミスリルの欠片』が現れたのじゃ」

『ミスリルが?!』

黙って聞いていたピットもこれには声を出して驚いた。

(最初から驚きっぱなしだったのだが、我慢していた)

何しろ可能性のある山をすべて掘って、一欠片でも出土すれば幸運と言われる、『伝説の金属』である。

「おっと、時間が来たようですので、また今度説明させて頂きますのじゃ」

気付けば15分を超えようとしていた。

「それと、研究施設を『長沙城』に移す許可を下さいなのじゃ!」

「分かった!任せる!」

レオナルド人形は、ピットに礼をとった姿勢で、そのまま動かなくなった。

『空間接続!』

半蔵は元の世界へと空間を戻した。

「は~!情報量が多すぎて全然頭が回らない!」

ピットの言葉に、クスリと笑う半蔵。

「今日はいろいろありましたようですし、朝になれば、考えも纏まるかもしれません」

「そうだね、明日になったら『みんな夢でした!』かもしれないしね!」

こうしてピットは眠りにつき、長い一日が終わりを告げた。
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