神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第203話 頼れる仲間たち

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部屋に戻ったピットに、一人の客が訪れていた。

「ピット王!服部半蔵、ただいま戻りました!」

「半蔵!!」

「ピット王!長らくの間、不在に致しましたことをお許しください」

半蔵は片膝を付いて頭を下げる。

『空間断絶!』

半蔵は周りを遮断し、二人だけの空間となる。

「まずは増援ですが、第一陣として、明日清正の兵団と甚五郎の部下たちが、こちらに到着致します」

これはピットにとってうれしい情報だった。

「そうか、御所が襲撃を受け、あちこちが焼け落ちてしまっているので、二人が来てくれたことは本当にうれしい!」

彼等の建設スピードは驚異的なので、早い段階で修理を終える事になりそうだ。

その後は各地の防塁や、湾岸陣地の作成を早急にやってもらわなければならない。

「また第二陣で、本国にいる呼延灼軍率いる騎兵団100が10日後に到着予定です」

「呼延灼将軍が?彼は韓に戻らなくてもよかったのか?」

それもそのはず、呼延灼は「宋国の開放」を条件に協力していたので、新兵器を授与後、そのまま韓に合流すると思われていた。

「この件に関しましては、呼延灼殿が王の手助けをしたいと、韓王様より許可を得て参戦されるとの事です」

「そうか、来てくれるならうれしい限りだ」

呼延灼軍であれば、一方面の指揮を安心して任せられるので、この参戦は大いにピットを喜ばせた。

「また韓王の許可を得て、ツキノ様が近日中に増援に来ることも決まりました」

「えっ?姉さんも?!」

焦るピットに、半蔵も申し訳なさそうに話す。

「はい、どうやら王が『ツキノ様の許可なく婚約した』ことで、手が付けられなくなっておりまして…」

「こっちに来て、明帝と直接話をすると言いだして聞かないのです…」

「あぁ、そういう事だね。みんなに迷惑をかけてごめん」

「い、いえ、大した事ではございませんし、それに悪い知らせばかりでもありません」

謝るピットに、慌てて取り繕う半蔵。

「ツキノ様が組織した『美少女戦団』ですが、東昌府騒動の一件以来、多くの女性参加希望者がいると聞いています」

「え?姉さんが作った私設兵団に入りたい人がいたの?」

ピットは耳を疑った。

「はい、その中から二人、戦士の『立花誾千代(たちばな・ぎんちよ)』とヒーラーの『荻野吟子(おぎの・ぎんこ)』を新たに加入させたとの事です」

「そうか、でもチームバランスはとれているし、こっちに来たら強力な戦力にはなるね」

なんだかんだ言っても、戦力が増えるに越したことはないと思うピット。

「次に、レオナルド博士から報告がありまして…」

「うん?どんな?何かの発明?」

興味津々に聞くピット。

「この件に関しては、博士本人から説明していただきましょう」

そう話した半蔵は、懐から魔法陣を描いた『布』を出し、床に敷く。

半蔵が布に魔力を注ぐと、魔法陣が光出し、130㎝ほどの猫型オートマタが現れた。

突然現れたオートマタに驚くピット。

「お久しぶりです、ピット様」

「!その声はレオナルド?」

「いかにも!あなたの家臣、レオナルドでございます!」

レオ猫は胸に手を置き、会釈をする。

「驚いた!一体どこから現れたの?」

「それにその姿は?」

ピットは矢継早にレオナルドへ質問した。

「まずはこの姿から説明しましょう」

「これは、久ちゃん(田中久重)が作ったオートマタで、本体の中核に『魔石』を埋め込み、私の魂を『憑依』させておるのですじゃ」

レオナルドの説明によれば、拠点にある『遠隔装置』になっているタンクベッドで睡眠状態にはいると、自身の魂を送った魔石を通じて、オートマタを自身の体のように扱えるようになるという事だった。

「この体に入れば、本物の体と同じように動けますのじゃ」

簡単に話しているが、とんでもない発明である。

「と言う事は、その体に憑依すれば、『永遠に死なない』って事になるの?」

「いやいや、この体は魔力の消費が非常に激しく、15分ほどしか憑依できませんのじゃ」

「今のところは、遠隔操作できる『ラジコン』みたいなものですじゃ」

「時間がないので、次の説明を行いますのじゃ」

レオナルドは敷いていた布をもって説明する。

「これはですのぅ、『空間収納』と言うものですじゃ」

「原理は、『空間断絶』を使用する際に描く魔法陣の文字内容を、布に描き写し・一部書き直して使用すると、その魔法陣に繋がる『別次元』へ『物質』が収納できるのですじゃ」

「ちなみに何もない空間ですので、生身で入ると、すぐ死んでしまいますのじゃ」

レオナルドは、さらりと言ってのけたが、要はこの世界に『新魔法』を生み出したのである。

「また、とんでもないものを考え付いたね」

感心するピットに、レオナルドは説明を続ける。

「実は、この世界に存在する、魔法についての『真理』が、少しだけ解明できました」

レオナルドはピットに『魔法の真理』について、わかっている事の説明を始めた。
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