神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第198話 良い人・良い神

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うぎゃー!!熱い!!痛い!!熱いー!! 

「大丈夫?ジャスティス君」

憑依した体を焼かれて、天界で転げまわっている俺を、ルリエンと精霊たちが心配そうな目で見る。

やがて痛みが消え、その場に座り込む俺は、怒りに支配される。

あのクソガキが!俺が憑依したスズメバチをファイヤーボールで焼きやがった!

「まぁ、仕掛けたのはあなただし、おかげでルクシルが間に合ったからよかったじゃない!」

ルリエンちゃんは簡単に言うけどね、焼死って『一番辛い死に方』不動の一位なんだぞ!

実際体験したからわかるけど、全身が燃えるような痛みに襲われて、何処から対処していいか分からず転げまわるしかできないんだから!

ていうかさ、憑依した際の痛覚は要らないんじゃない?
一瞬で体が焼失しているわけだし、なんかわからんうちに天界に戻ったでいいじゃん!
いちいち変なリアルさをぶっ込んでくるのはやめてほしい。

【警告:あなたは生き物の命を、自分の都合で殺しております。これはその行為に対するペナルティーです】

あぁ…なるほどね、そうだよね、俺の都合で命ひとつ消しちゃったからね。

スズメバチさん、自分の都合で死なせてしまい申し訳ありませんでした(合掌)。

【報告:先ほど神の都合で理不尽に殺された、かわいそうなスズメバチの『復元』が終了、元の世界に戻します】

えっ、そんなことできるの?よかった~!
やっぱり自分の都合で生き物殺しちゃうと、罪悪感に苛まれるからね。
あれ?ってことは、アリさん達もそうしているのかな?

うん?ルリエンちゃんが、じーっと俺を見ているんだが?

「…ジャスティス君って、やっぱ変わっているね?」

はい?俺は自他ともに認める『普通のおっさん』ですよ?

「うん、変っているというか?優しいって言うか?欲がないって言うか?」

「なんかさ、すごくいい人だよね?」

あーそれよく言われていたな。

社会人時代、稀にコンパの埋め合わせで呼ばれて、話題のない俺が、みんなの盛り上げとかお世話をしていたら、相手の女子たちに高確率で言われていたっけ。

俺も当時よくわからんで、友人によく言われるって相談したら「いい人=どうでもいい人」の意味って言われて落ち込んでいたな。

「あ、いや、そういう意味じゃなくて…どう言えばいいのかな?」

「最初に憑依していた蝶に謝ったり、死ぬような目に合いながらも、瀕死の代理人を必死に助けたり、姿形で周りの人にひどいこと言われても、全然怒らないどころか、逆に悪く言った人たちを庇ったりしたり…」

「なんかさ…この殺伐とした世界に、綺麗な心を持った人が来てくれたって思ったの」

ルリエンの言葉に、他の精霊たちも、うんうんと頷く。

「だからさ…うまく言えないんだけどさ…」

えっ、なに?ルリエンさんどうしたの?

悪いけど俺、ポイントあんまり持ってないよ?

「はい?」

ぽかんとするエルリン。

いや、また何か欲しいのがあるんでしょ?

周瑜が戦争近いからって、荊州城で魔族をアリ兵にめっちゃロンダリングしているから、ポイント右から左にひたすら受け流しているし。

だから今月ピンチなので、欲しいのは買ってあげられないって言うか…。
あれ?どうしたのルリエンさん?そんな怖い顔して?

『F××K!!』

?! 

『F××K!F××K!F×―×K!!』

いや、かわいい女の子が、元プロ野球の外人さんみたいにそれ連呼しちゃだめだよ。
てか、買ってあげないだけでそこまで言われなきゃいけないの?

『○ね!!』

ルリエンさんは中指を立てて、怒ってどこかに行ってしまった。

あれ、ほかの精霊たちも、俺に罵詈雑言を投げつけて行ってしまった。
俺、そんなに悪いこと言ったか?

あ、妖精が一人飛んできた。

「この…ニブチン!」

「ペッ!」

出ない唾を吐いた妖精さんも行ってしまい、俺は一人になった。

何故だ?俺はいったい何を間違ったんだ?
ちくしょう!いつも相談に乗ってくれた友人、ここにきてまた相談に乗ってくれないかな。

一人になったし、とりあえずピットたちの行動でも見よう。
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