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群雄進撃編
第193話 日ノ本からの刺客
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「ミント!何処だ!」
皇居御常御殿に到着したピットは、大声でミントを探し回る。
ピットはそのまま藤壺へと向かい、姫宮御殿の北側の庭に出た。
そこには、地面に倒れた高貴な服を着た女性を、3人の人物が囲むようにしてみている光景が映る。
「ミント!!」
声を荒げて名前を呼ぶピットに、2人は静かに向き直り構える。
「へぇ、彼女を呼び捨てに出来る人物ってことは、きみが『ピット王』かい?」
構える2人を制し、リーダーと思われる『少年』はピットに向き直る。
「誰だお前は!」
ピットの質問に、薄ら笑いを浮かべて話し出す少年。
「僕の名前かい?初対面の人に名前を聞くときは、まず自分の名前を先に言うべきじゃないのかな?」
「まぁ、いいけど」
「僕の名前は『益田時貞(ますだ・ときさだ)』」
「君たちの間では『天草四郎(あまくさ・しろう)』の方が知れてるかな?」
「天草四郎だって?!」
まさかの人物の登場に驚くピット。
「へぇ、僕を知っているってことは、きみもやっぱり転生者だったんだ」
「まぁ、これから死んでいく人の情報なんか、別に要らないんだけどね」
「なんだと!」
四郎は左目を瞑り、笑みを止めてピットへ死の宣告をし、サッカーボールほどの火球を右掌の上に作った。
「じゃあね、王様」
四郎から離れた火球は、高速でピットへと向かってきた。
「なめるな!」
ピットは上半身だけで火球を見切り、そのまま四郎との距離を詰める。
しかし、四郎まであと5メートルくらいの距離で、ピットは一気に失速する。
「これは…沼?」
ピットの足元には、1メートルほどの泥沼が出来ていた。
「別に舐めてないさ、だから罠を張ったんだ」
再び笑みを浮かべながらしゃべる四郎。
「そんな事より、後ろは大丈夫かい?」
上半身だけ振り返ったピットに、先ほど四郎が投げた火球が目の前に迫っていた。
「ギャン!!」
体に火球が直撃したピットは、前方に飛ばされ、転がり倒れる。
「どうだい、なかなかのコントロールだろ?僕のファイヤーボール」
倒れたピットに高笑いをする四郎。
しかし、次の瞬間ピットは起き上がり、四郎に無詠唱で電撃をお返しする。
「ぎゃー!!」
苦しむ四郎を尻目に、ミントのもとへたどり着く。
「ミントちゃん、大丈夫か!?」
「…おぉ、ピットか…心配を掛けてすまないのう」
ピットの声に、少し目を開けて答えるミント。
「もう大丈夫だから、少し休んでて!」
ピットはそのままミントを寝かせ、四郎に対峙する。
「ピット、お前ムカつくやつだな!」
「あのくそジジイが、『この国の帝を父上の嫁にしたい!』とか言い出すから、仕方なく来たのに…頭に来たぜ!」
丁寧な口調をやめた四郎は、左右の手に火球と氷の槍を同時に創り出す。
「もうどうなってもいい!お前ら纏めて死ね!」
ピットは片膝を付き、ミントの正面で刀を構える。
(さっきの火球を防ぐのに、障壁用の魔力石を使い切ってしまっている)
せめてミントだけでもと、体を盾にして守ろうとするピットに向けて、四郎は火球と氷の槍を撃ち込もうとした瞬間!
「痛てててて!!」
突然、四郎が何かに『攻撃』を受けている。
「なんだ?このハチは?」
ハチは執拗に四郎へ攻撃を仕掛ける。
四郎は右手に持った火球を振りまわし、ハチに当てようとするがなかなか当たらない。
「こいつ、燃え尽きろ!」
苦し紛れに放った火球は、偶然ハチに当たり、跡形もなく燃え尽きてしまった。
「ふん!待たせましたね、じゃあ死んでください!」
四郎は、隙をついて距離を取っていたピットたちに、氷の槍を撃ち込んだ。
(ミント、死なないで!)
ミントを庇おうとするピットの前に、誰かが入り氷の槍を弾き飛ばす。
『まったく貴様は…護衛を置いて突っ込んでいく主がどこの世界にいる!』
「ルクシル!」
ルクシルは二人の前に立ち、四郎に問いかける。
「おい小僧…ハチとのダンスは終わったのか?」
「うるさいよ、エルフのおばさん!」
二人ともにらみ合いながら、恐ろしいほどの闘気を出している。
「でもさ、今の魔法の受け流しはうまかったね」
感心した四郎だったが、そのまま彼は一緒にいた剣士の後ろに下がる
「僕はちょっと魔力回復するから、この二人の相手でもしなよ」
「じゃあ、頼んだよ『イゾウ』と『小次郎』」
「『イゾウ』と『小次郎』だと?」
驚くルクシルに、二人が喋り出す。
「お、お、俺は天誅組の、イ、イゾウだ」
「おま、お前らを殺して、ハ、ハンペン先生に褒めてもらう」
「私の名は『佐々木小次郎(ささき・こじろう)』と申します」
「かのような美しい女性を、二人掛で相手するのは性に合いませんが、大将の命令なので仕方ありません」
二人はそれぞれ、腰に差した刀と、背中に背負った大太刀を抜く。
(まずいぞ…あの『岡田以蔵』と『佐々木小次郎』であれば、さすがに僕の手に余る)
(ここは…使うしかないか)
ルクシルは構えに入る。
『おやおや、女性一人に二人掛で挑むとは、伝説の剣士も大したことありませんね?』
『ほうじゃな、あの『剣の名人』イゾウさんも、地に落ちたもんじゃ!』
「「なんだと!」」
二人の視線の先には、だんだら羽織を着た長身の青年と、『組み合い角に桔梗紋』が付いた袴を着た男が並んで現れた。
「沖田さん、わしゃ同郷のイゾウを相手するきに、もう一人の『大太刀』を持った男をお願いできるか?」
「わかりました、坂本さん」
「私もあの伝説の剣士と、戦ってみたいと思っていましたから」
「お、おもしろい!」
「いいでしょう!」
イゾウと小次郎も納得し、それぞれの相手と共に離れ、間合いを取る。
「あ~あ、みんな勝手に始めちゃった」
「仕方ない、魔力も回復したし、役不足だけどこいつらの相手をするか」
四郎はピットたちに向き直る。
「かかっておいでよ、おばさん!」
「フッ…漏らしてもいいように、おしめはちゃんと履いて来たか?」
「本当にムカつくエルフだな!」
三人はそれぞれの相手と対峙する。
皇居御常御殿に到着したピットは、大声でミントを探し回る。
ピットはそのまま藤壺へと向かい、姫宮御殿の北側の庭に出た。
そこには、地面に倒れた高貴な服を着た女性を、3人の人物が囲むようにしてみている光景が映る。
「ミント!!」
声を荒げて名前を呼ぶピットに、2人は静かに向き直り構える。
「へぇ、彼女を呼び捨てに出来る人物ってことは、きみが『ピット王』かい?」
構える2人を制し、リーダーと思われる『少年』はピットに向き直る。
「誰だお前は!」
ピットの質問に、薄ら笑いを浮かべて話し出す少年。
「僕の名前かい?初対面の人に名前を聞くときは、まず自分の名前を先に言うべきじゃないのかな?」
「まぁ、いいけど」
「僕の名前は『益田時貞(ますだ・ときさだ)』」
「君たちの間では『天草四郎(あまくさ・しろう)』の方が知れてるかな?」
「天草四郎だって?!」
まさかの人物の登場に驚くピット。
「へぇ、僕を知っているってことは、きみもやっぱり転生者だったんだ」
「まぁ、これから死んでいく人の情報なんか、別に要らないんだけどね」
「なんだと!」
四郎は左目を瞑り、笑みを止めてピットへ死の宣告をし、サッカーボールほどの火球を右掌の上に作った。
「じゃあね、王様」
四郎から離れた火球は、高速でピットへと向かってきた。
「なめるな!」
ピットは上半身だけで火球を見切り、そのまま四郎との距離を詰める。
しかし、四郎まであと5メートルくらいの距離で、ピットは一気に失速する。
「これは…沼?」
ピットの足元には、1メートルほどの泥沼が出来ていた。
「別に舐めてないさ、だから罠を張ったんだ」
再び笑みを浮かべながらしゃべる四郎。
「そんな事より、後ろは大丈夫かい?」
上半身だけ振り返ったピットに、先ほど四郎が投げた火球が目の前に迫っていた。
「ギャン!!」
体に火球が直撃したピットは、前方に飛ばされ、転がり倒れる。
「どうだい、なかなかのコントロールだろ?僕のファイヤーボール」
倒れたピットに高笑いをする四郎。
しかし、次の瞬間ピットは起き上がり、四郎に無詠唱で電撃をお返しする。
「ぎゃー!!」
苦しむ四郎を尻目に、ミントのもとへたどり着く。
「ミントちゃん、大丈夫か!?」
「…おぉ、ピットか…心配を掛けてすまないのう」
ピットの声に、少し目を開けて答えるミント。
「もう大丈夫だから、少し休んでて!」
ピットはそのままミントを寝かせ、四郎に対峙する。
「ピット、お前ムカつくやつだな!」
「あのくそジジイが、『この国の帝を父上の嫁にしたい!』とか言い出すから、仕方なく来たのに…頭に来たぜ!」
丁寧な口調をやめた四郎は、左右の手に火球と氷の槍を同時に創り出す。
「もうどうなってもいい!お前ら纏めて死ね!」
ピットは片膝を付き、ミントの正面で刀を構える。
(さっきの火球を防ぐのに、障壁用の魔力石を使い切ってしまっている)
せめてミントだけでもと、体を盾にして守ろうとするピットに向けて、四郎は火球と氷の槍を撃ち込もうとした瞬間!
「痛てててて!!」
突然、四郎が何かに『攻撃』を受けている。
「なんだ?このハチは?」
ハチは執拗に四郎へ攻撃を仕掛ける。
四郎は右手に持った火球を振りまわし、ハチに当てようとするがなかなか当たらない。
「こいつ、燃え尽きろ!」
苦し紛れに放った火球は、偶然ハチに当たり、跡形もなく燃え尽きてしまった。
「ふん!待たせましたね、じゃあ死んでください!」
四郎は、隙をついて距離を取っていたピットたちに、氷の槍を撃ち込んだ。
(ミント、死なないで!)
ミントを庇おうとするピットの前に、誰かが入り氷の槍を弾き飛ばす。
『まったく貴様は…護衛を置いて突っ込んでいく主がどこの世界にいる!』
「ルクシル!」
ルクシルは二人の前に立ち、四郎に問いかける。
「おい小僧…ハチとのダンスは終わったのか?」
「うるさいよ、エルフのおばさん!」
二人ともにらみ合いながら、恐ろしいほどの闘気を出している。
「でもさ、今の魔法の受け流しはうまかったね」
感心した四郎だったが、そのまま彼は一緒にいた剣士の後ろに下がる
「僕はちょっと魔力回復するから、この二人の相手でもしなよ」
「じゃあ、頼んだよ『イゾウ』と『小次郎』」
「『イゾウ』と『小次郎』だと?」
驚くルクシルに、二人が喋り出す。
「お、お、俺は天誅組の、イ、イゾウだ」
「おま、お前らを殺して、ハ、ハンペン先生に褒めてもらう」
「私の名は『佐々木小次郎(ささき・こじろう)』と申します」
「かのような美しい女性を、二人掛で相手するのは性に合いませんが、大将の命令なので仕方ありません」
二人はそれぞれ、腰に差した刀と、背中に背負った大太刀を抜く。
(まずいぞ…あの『岡田以蔵』と『佐々木小次郎』であれば、さすがに僕の手に余る)
(ここは…使うしかないか)
ルクシルは構えに入る。
『おやおや、女性一人に二人掛で挑むとは、伝説の剣士も大したことありませんね?』
『ほうじゃな、あの『剣の名人』イゾウさんも、地に落ちたもんじゃ!』
「「なんだと!」」
二人の視線の先には、だんだら羽織を着た長身の青年と、『組み合い角に桔梗紋』が付いた袴を着た男が並んで現れた。
「沖田さん、わしゃ同郷のイゾウを相手するきに、もう一人の『大太刀』を持った男をお願いできるか?」
「わかりました、坂本さん」
「私もあの伝説の剣士と、戦ってみたいと思っていましたから」
「お、おもしろい!」
「いいでしょう!」
イゾウと小次郎も納得し、それぞれの相手と共に離れ、間合いを取る。
「あ~あ、みんな勝手に始めちゃった」
「仕方ない、魔力も回復したし、役不足だけどこいつらの相手をするか」
四郎はピットたちに向き直る。
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