193 / 317
群雄進撃編
第192話 蛤御門の変
しおりを挟む
やべえ、大変なことになっている!
今日、俺はたまたま『女神のルリエン』ちゃんと一緒に、『地上の拠点』新築打ち合わせの為、エルフの村に降り立っていた。
現地で甚五郎と間取りの話をしているときに、突然アイコンで『ニュース速報』が現れ、『古都にある御所、何者かの襲撃を受けて炎上中』と表示された。
やばい!ピットのやつ、また命を狙われているのか!
急いで天界に戻り、位置の確認をすると、御所内の皇居御常御殿にある『青い点』に、複数の大きな『赤い点』が迫っていた。
「これ、赤い点は魔族だよ!青い点はきっと『ピットの婚約者』って人だ!」
なんだってー!!
良く知らなかったが、ピットがいつの間にか婚約していたって人か!
しかも距離からみて、接触するまでにあまり時間はないぞ?
とりあえずピットに知らせたが、御所周辺の妨害電波がひどい!
何か援護できることがないか考えねば!
「なんだよ…これ」
ピットたちは蛤御門に到着し、その惨状に驚いた。
門は大砲なようなもので吹き飛ばされていて、付近に多くの藩兵が倒れていた。
その中で意識のある藩士が、破壊された門の片隅で震えていた。
「大丈夫ですか!誰が攻めてきたのですか!」
ピットの声に震えながら藩士は答える。
「と、土佐勤王党と浪人共が、人の姿をした化け物と一緒に攻めてきた!」
「化け物?」
奥歯をガチガチと鳴らしながら答える藩士に、ピットは再度聞く。
「あれは…あの少年は人間じゃねぇ!」
「幾重にも結界を張ったこの門を、魔法の火の玉一発で吹き飛ばしやがった!」
そう言い終えると、頭を抱えて震える藩士。
(まずい!急がないと!)
ピットたちは急いで門をくぐり、皇居御常御殿を目指す。
皇居御常御殿に一番近い建礼門に近づくと、既に門は破られており、入り口を20人程のリザードマンと獣人が守っていた。
「なんだ貴様らは!」
リザードマンの隊長らしき声にも、ピットは耳を貸さない。
ピットは一気に半獣化し、門を守る兵を躱しながら一気に門内へと突入する。
「は、速い!」
「さっきの獣人を捕らえろ!」
指示を出すリザードマンの左腕を、ルクシルが剣で横殴りに斬り飛ばす。
「ぐわー!う、腕が!」
「邪魔だ、どけ!」
痛がるリザードマンを蹴り飛ばし、ルクシルは付近の獣人を次々と斬り倒して進んでいく。
(ピットのバカ者!そんなに早く進んだら、護衛の僕が追い付けないじゃないか!)
付近の兵をそのまま倒し、ルクシルも後を追った。
そのすぐ後に龍馬たちも続く。
「はぁはぁ、あの二人、とんでもない速さで走るのう」
「信じられん!まさか俺が置いて行かれるなんて!」
二人が建礼門をくぐる時に、腕を斬られ苦しむリザードマンを見る。
「「キツマ?」」
土佐勤王党のキツマと思ったが、振り返らずに先へ進む。
門をくぐり抜けたピットは、そのまま左の外回りを走り、各所で制圧したリザードマンたち侵入者を躱しながら、皇居御常御殿を目指す。
「何だ、あのウサギ野郎は?」
「あいつを討ち取れ!」
侵入者は必死にピットを止めようとするが、その速度は他の追随を許さず、中間にある3m程の門すらも飛び越えていった。
追うルクシルは、そこにいる敵を斬り伏せながら、奥へと向かおうとする。
「ルクシルさん、助太刀するぜ!」
追いついた龍馬と内蔵太が参戦するが、立ち塞がる敵を見て驚愕する。
「お前は『ヨシトラ』じゃなかか!」
人になっている龍馬たちに、ヨシトラは誰だかわからない。
「何だお前らは!何故俺の名を知っている!?」
「わしじゃ!龍馬と内蔵太じゃ!」
「いまは進化して人間の姿になっておるんじゃ!」
龍馬は元のリザードマンの姿に戻る。
「おお、リョウマか!お前も『帝救出』に駆けつけたのか!」
「「帝救出?」」
龍馬と内蔵太は、ヨシトラが何を言っているのか分からなかった。
「何じゃ、なんも聞いとらんのか?」
そう言ってヨシトラは説明する。
「いま『明帝』は、薩摩・長州・幕府の奸計により、自分の望まぬ結婚を迫られておるとのことじゃ!」
「それを嘆いたわが主君『よっとる』公が、ハンペン先生に『帝救出』を命じたのじゃ!」
ヨシトラの言葉に二人は驚いた。
「ハンペン先生は、帝のこの状況に耐えられないと立ち上がり、多くの志士を集めてこの救出作戦を敢行したのじゃ!」
「そして、その計画を手助けしてくれているのが、日ノ本の関白『豊臣秀吉』様なのだ!」
意気揚々に語るヨシトラ。
(そうか、それでこのような凶行を行ったのか!)
龍馬は心の中で納得した。
「ヨシトラさん違うぞ、みんなよっとる公に騙されとる!」
「明帝はピット王と相思相愛の仲で、結婚の日を楽しみにしとる」
「ピット王だと!」
龍馬が発したピットの名前に、ヨシトラは憤慨する。
「その男こそが、此度の凶行の中心人物!」
「そいつが現れたから、この国は災いの渦に巻き込まれたのだ!」
(だめだ…よっとる公たちから完全に洗脳されちょる…)
ヨシトラの説得が無理と悟った龍馬は、ルクシルに向かって叫ぶ。
「ルクシルさん!あんたは先に行ってくれ!」
「ここは俺たちで片づける!」
「わかった…できれば殺すな」
ルクシルはそう言い残して、門の前の獣人を斬り倒し先へ進んだ。
「しまった、あの女を追え!」
そう叫ぶヨシトラに、龍馬と内蔵太が刀を突きつける。
「二人とも、何の真似だ?」
「見ての通りじゃ、あんたにルクシルさんは追わせんよ!」
そう言い放った龍馬に、ヨシトラは叫ぶ。
「貴様等―!我らを裏切ったな!」
「裏切っちゃおらんさ!最初からヨシトラさんたちの仲間じゃないからな!」
「リョウマー!!」
怒り狂ったヨシトラは、龍馬に襲い掛かるも、横に軽くかわし、高速でヨシトラの頭を、刀の裏で殴りつけた!
「ぐっ」
短い声を残し、ヨシトラはその場に倒れる。
「あ~あ、だから短気を起こしたらいかんち」
そう言って目線を内蔵太に向けると、内蔵太は嬉々として獣人たちを斬り倒していた。
「お~い内蔵太!峰打ちにしとけよー!」
「おう、任せとけ!」
龍馬の言葉に、元気よく返事をする内蔵太。
(しかし、まずい事になった)
(このままでは明帝とピットさんが危ない)
(急がねば!)
再び皇居御常御殿を目指す龍馬。
「待たせたな、坂本!」
ふいに呼び止められた龍馬は、後ろから聞こえた声に振り返る。
今日、俺はたまたま『女神のルリエン』ちゃんと一緒に、『地上の拠点』新築打ち合わせの為、エルフの村に降り立っていた。
現地で甚五郎と間取りの話をしているときに、突然アイコンで『ニュース速報』が現れ、『古都にある御所、何者かの襲撃を受けて炎上中』と表示された。
やばい!ピットのやつ、また命を狙われているのか!
急いで天界に戻り、位置の確認をすると、御所内の皇居御常御殿にある『青い点』に、複数の大きな『赤い点』が迫っていた。
「これ、赤い点は魔族だよ!青い点はきっと『ピットの婚約者』って人だ!」
なんだってー!!
良く知らなかったが、ピットがいつの間にか婚約していたって人か!
しかも距離からみて、接触するまでにあまり時間はないぞ?
とりあえずピットに知らせたが、御所周辺の妨害電波がひどい!
何か援護できることがないか考えねば!
「なんだよ…これ」
ピットたちは蛤御門に到着し、その惨状に驚いた。
門は大砲なようなもので吹き飛ばされていて、付近に多くの藩兵が倒れていた。
その中で意識のある藩士が、破壊された門の片隅で震えていた。
「大丈夫ですか!誰が攻めてきたのですか!」
ピットの声に震えながら藩士は答える。
「と、土佐勤王党と浪人共が、人の姿をした化け物と一緒に攻めてきた!」
「化け物?」
奥歯をガチガチと鳴らしながら答える藩士に、ピットは再度聞く。
「あれは…あの少年は人間じゃねぇ!」
「幾重にも結界を張ったこの門を、魔法の火の玉一発で吹き飛ばしやがった!」
そう言い終えると、頭を抱えて震える藩士。
(まずい!急がないと!)
ピットたちは急いで門をくぐり、皇居御常御殿を目指す。
皇居御常御殿に一番近い建礼門に近づくと、既に門は破られており、入り口を20人程のリザードマンと獣人が守っていた。
「なんだ貴様らは!」
リザードマンの隊長らしき声にも、ピットは耳を貸さない。
ピットは一気に半獣化し、門を守る兵を躱しながら一気に門内へと突入する。
「は、速い!」
「さっきの獣人を捕らえろ!」
指示を出すリザードマンの左腕を、ルクシルが剣で横殴りに斬り飛ばす。
「ぐわー!う、腕が!」
「邪魔だ、どけ!」
痛がるリザードマンを蹴り飛ばし、ルクシルは付近の獣人を次々と斬り倒して進んでいく。
(ピットのバカ者!そんなに早く進んだら、護衛の僕が追い付けないじゃないか!)
付近の兵をそのまま倒し、ルクシルも後を追った。
そのすぐ後に龍馬たちも続く。
「はぁはぁ、あの二人、とんでもない速さで走るのう」
「信じられん!まさか俺が置いて行かれるなんて!」
二人が建礼門をくぐる時に、腕を斬られ苦しむリザードマンを見る。
「「キツマ?」」
土佐勤王党のキツマと思ったが、振り返らずに先へ進む。
門をくぐり抜けたピットは、そのまま左の外回りを走り、各所で制圧したリザードマンたち侵入者を躱しながら、皇居御常御殿を目指す。
「何だ、あのウサギ野郎は?」
「あいつを討ち取れ!」
侵入者は必死にピットを止めようとするが、その速度は他の追随を許さず、中間にある3m程の門すらも飛び越えていった。
追うルクシルは、そこにいる敵を斬り伏せながら、奥へと向かおうとする。
「ルクシルさん、助太刀するぜ!」
追いついた龍馬と内蔵太が参戦するが、立ち塞がる敵を見て驚愕する。
「お前は『ヨシトラ』じゃなかか!」
人になっている龍馬たちに、ヨシトラは誰だかわからない。
「何だお前らは!何故俺の名を知っている!?」
「わしじゃ!龍馬と内蔵太じゃ!」
「いまは進化して人間の姿になっておるんじゃ!」
龍馬は元のリザードマンの姿に戻る。
「おお、リョウマか!お前も『帝救出』に駆けつけたのか!」
「「帝救出?」」
龍馬と内蔵太は、ヨシトラが何を言っているのか分からなかった。
「何じゃ、なんも聞いとらんのか?」
そう言ってヨシトラは説明する。
「いま『明帝』は、薩摩・長州・幕府の奸計により、自分の望まぬ結婚を迫られておるとのことじゃ!」
「それを嘆いたわが主君『よっとる』公が、ハンペン先生に『帝救出』を命じたのじゃ!」
ヨシトラの言葉に二人は驚いた。
「ハンペン先生は、帝のこの状況に耐えられないと立ち上がり、多くの志士を集めてこの救出作戦を敢行したのじゃ!」
「そして、その計画を手助けしてくれているのが、日ノ本の関白『豊臣秀吉』様なのだ!」
意気揚々に語るヨシトラ。
(そうか、それでこのような凶行を行ったのか!)
龍馬は心の中で納得した。
「ヨシトラさん違うぞ、みんなよっとる公に騙されとる!」
「明帝はピット王と相思相愛の仲で、結婚の日を楽しみにしとる」
「ピット王だと!」
龍馬が発したピットの名前に、ヨシトラは憤慨する。
「その男こそが、此度の凶行の中心人物!」
「そいつが現れたから、この国は災いの渦に巻き込まれたのだ!」
(だめだ…よっとる公たちから完全に洗脳されちょる…)
ヨシトラの説得が無理と悟った龍馬は、ルクシルに向かって叫ぶ。
「ルクシルさん!あんたは先に行ってくれ!」
「ここは俺たちで片づける!」
「わかった…できれば殺すな」
ルクシルはそう言い残して、門の前の獣人を斬り倒し先へ進んだ。
「しまった、あの女を追え!」
そう叫ぶヨシトラに、龍馬と内蔵太が刀を突きつける。
「二人とも、何の真似だ?」
「見ての通りじゃ、あんたにルクシルさんは追わせんよ!」
そう言い放った龍馬に、ヨシトラは叫ぶ。
「貴様等―!我らを裏切ったな!」
「裏切っちゃおらんさ!最初からヨシトラさんたちの仲間じゃないからな!」
「リョウマー!!」
怒り狂ったヨシトラは、龍馬に襲い掛かるも、横に軽くかわし、高速でヨシトラの頭を、刀の裏で殴りつけた!
「ぐっ」
短い声を残し、ヨシトラはその場に倒れる。
「あ~あ、だから短気を起こしたらいかんち」
そう言って目線を内蔵太に向けると、内蔵太は嬉々として獣人たちを斬り倒していた。
「お~い内蔵太!峰打ちにしとけよー!」
「おう、任せとけ!」
龍馬の言葉に、元気よく返事をする内蔵太。
(しかし、まずい事になった)
(このままでは明帝とピットさんが危ない)
(急がねば!)
再び皇居御常御殿を目指す龍馬。
「待たせたな、坂本!」
ふいに呼び止められた龍馬は、後ろから聞こえた声に振り返る。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖獣達に愛された子
颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。
普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は.....
捨て子の生き様を描いています!!
興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる