神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第192話 蛤御門の変

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やべえ、大変なことになっている!

今日、俺はたまたま『女神のルリエン』ちゃんと一緒に、『地上の拠点』新築打ち合わせの為、エルフの村に降り立っていた。

現地で甚五郎と間取りの話をしているときに、突然アイコンで『ニュース速報』が現れ、『古都にある御所、何者かの襲撃を受けて炎上中』と表示された。

やばい!ピットのやつ、また命を狙われているのか!

急いで天界に戻り、位置の確認をすると、御所内の皇居御常御殿にある『青い点』に、複数の大きな『赤い点』が迫っていた。

「これ、赤い点は魔族だよ!青い点はきっと『ピットの婚約者』って人だ!」

なんだってー!!
良く知らなかったが、ピットがいつの間にか婚約していたって人か!

しかも距離からみて、接触するまでにあまり時間はないぞ?

とりあえずピットに知らせたが、御所周辺の妨害電波がひどい!

何か援護できることがないか考えねば!

「なんだよ…これ」

ピットたちは蛤御門に到着し、その惨状に驚いた。

門は大砲なようなもので吹き飛ばされていて、付近に多くの藩兵が倒れていた。

その中で意識のある藩士が、破壊された門の片隅で震えていた。

「大丈夫ですか!誰が攻めてきたのですか!」

ピットの声に震えながら藩士は答える。

「と、土佐勤王党と浪人共が、人の姿をした化け物と一緒に攻めてきた!」

「化け物?」

奥歯をガチガチと鳴らしながら答える藩士に、ピットは再度聞く。

「あれは…あの少年は人間じゃねぇ!」
「幾重にも結界を張ったこの門を、魔法の火の玉一発で吹き飛ばしやがった!」

そう言い終えると、頭を抱えて震える藩士。

(まずい!急がないと!)

ピットたちは急いで門をくぐり、皇居御常御殿を目指す。

皇居御常御殿に一番近い建礼門に近づくと、既に門は破られており、入り口を20人程のリザードマンと獣人が守っていた。

「なんだ貴様らは!」

リザードマンの隊長らしき声にも、ピットは耳を貸さない。

ピットは一気に半獣化し、門を守る兵を躱しながら一気に門内へと突入する。

「は、速い!」

「さっきの獣人を捕らえろ!」

指示を出すリザードマンの左腕を、ルクシルが剣で横殴りに斬り飛ばす。

「ぐわー!う、腕が!」

「邪魔だ、どけ!」

痛がるリザードマンを蹴り飛ばし、ルクシルは付近の獣人を次々と斬り倒して進んでいく。

(ピットのバカ者!そんなに早く進んだら、護衛の僕が追い付けないじゃないか!)

付近の兵をそのまま倒し、ルクシルも後を追った。

そのすぐ後に龍馬たちも続く。

「はぁはぁ、あの二人、とんでもない速さで走るのう」
「信じられん!まさか俺が置いて行かれるなんて!」

二人が建礼門をくぐる時に、腕を斬られ苦しむリザードマンを見る。

「「キツマ?」」

土佐勤王党のキツマと思ったが、振り返らずに先へ進む。

門をくぐり抜けたピットは、そのまま左の外回りを走り、各所で制圧したリザードマンたち侵入者を躱しながら、皇居御常御殿を目指す。

「何だ、あのウサギ野郎は?」

「あいつを討ち取れ!」

侵入者は必死にピットを止めようとするが、その速度は他の追随を許さず、中間にある3m程の門すらも飛び越えていった。

追うルクシルは、そこにいる敵を斬り伏せながら、奥へと向かおうとする。

「ルクシルさん、助太刀するぜ!」

追いついた龍馬と内蔵太が参戦するが、立ち塞がる敵を見て驚愕する。

「お前は『ヨシトラ』じゃなかか!」

人になっている龍馬たちに、ヨシトラは誰だかわからない。

「何だお前らは!何故俺の名を知っている!?」

「わしじゃ!龍馬と内蔵太じゃ!」
「いまは進化して人間の姿になっておるんじゃ!」

龍馬は元のリザードマンの姿に戻る。

「おお、リョウマか!お前も『帝救出』に駆けつけたのか!」

「「帝救出?」」

龍馬と内蔵太は、ヨシトラが何を言っているのか分からなかった。

「何じゃ、なんも聞いとらんのか?」

そう言ってヨシトラは説明する。

「いま『明帝』は、薩摩・長州・幕府の奸計により、自分の望まぬ結婚を迫られておるとのことじゃ!」

「それを嘆いたわが主君『よっとる』公が、ハンペン先生に『帝救出』を命じたのじゃ!」

ヨシトラの言葉に二人は驚いた。

「ハンペン先生は、帝のこの状況に耐えられないと立ち上がり、多くの志士を集めてこの救出作戦を敢行したのじゃ!」

「そして、その計画を手助けしてくれているのが、日ノ本の関白『豊臣秀吉』様なのだ!」

意気揚々に語るヨシトラ。

(そうか、それでこのような凶行を行ったのか!)

龍馬は心の中で納得した。

「ヨシトラさん違うぞ、みんなよっとる公に騙されとる!」

「明帝はピット王と相思相愛の仲で、結婚の日を楽しみにしとる」

「ピット王だと!」

龍馬が発したピットの名前に、ヨシトラは憤慨する。

「その男こそが、此度の凶行の中心人物!」

「そいつが現れたから、この国は災いの渦に巻き込まれたのだ!」

(だめだ…よっとる公たちから完全に洗脳されちょる…)

ヨシトラの説得が無理と悟った龍馬は、ルクシルに向かって叫ぶ。

「ルクシルさん!あんたは先に行ってくれ!」
「ここは俺たちで片づける!」

「わかった…できれば殺すな」

ルクシルはそう言い残して、門の前の獣人を斬り倒し先へ進んだ。

「しまった、あの女を追え!」

そう叫ぶヨシトラに、龍馬と内蔵太が刀を突きつける。

「二人とも、何の真似だ?」

「見ての通りじゃ、あんたにルクシルさんは追わせんよ!」

そう言い放った龍馬に、ヨシトラは叫ぶ。

「貴様等―!我らを裏切ったな!」

「裏切っちゃおらんさ!最初からヨシトラさんたちの仲間じゃないからな!」

「リョウマー!!」

怒り狂ったヨシトラは、龍馬に襲い掛かるも、横に軽くかわし、高速でヨシトラの頭を、刀の裏で殴りつけた!

「ぐっ」

短い声を残し、ヨシトラはその場に倒れる。

「あ~あ、だから短気を起こしたらいかんち」

そう言って目線を内蔵太に向けると、内蔵太は嬉々として獣人たちを斬り倒していた。

「お~い内蔵太!峰打ちにしとけよー!」

「おう、任せとけ!」

龍馬の言葉に、元気よく返事をする内蔵太。

(しかし、まずい事になった)
(このままでは明帝とピットさんが危ない)

(急がねば!)

再び皇居御常御殿を目指す龍馬。

「待たせたな、坂本!」

ふいに呼び止められた龍馬は、後ろから聞こえた声に振り返る。

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