神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第191話 御所炎上

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ピットたちが屯所を出たとき、周りは既に真っ暗になっていた。

「は~、無事に出られてよかったぜ!」

屯所から離れたところで、ほっと一息つく陸奥。

「フフッ、偉いぞ陸奥君、よく漏らさなかったな、それとも少し濡れたか?」

「うるせえ!前世で新撰組の怖さを知らないから、そんな軽口が叩けるんだよ!」

からかうルクシルに、陸奥は本気で怒った。

「ピットさんよかったな、無事話が纏まりそうで」

「ああ、俺もあの二人が頭を下げるところなんて想像も出来なかった」

「こちらこそ、念の為に付いて来てもらいましたが、何事もなく住んで良かったです」

喜ぶ龍馬と驚く中岡に、ピットはお礼を言った。

「じゃあピットさん、俺たちはこれで」

「はい、また今度!」

ピットたちが別れようとしたその時、古都の上空に爆音が鳴り響く。

「何じゃ!今の音は?!」

龍馬は叫び、皆は周りを見渡す。

「ピットさん、あれ!」
「御所の方から火の手が上がってないか?」

陸奥の指さす方向を見ると、御所付近の空が赤く揺らめいていた。

「ミント!!」

ピットは短く叫び、御所の方へ走り出す。

「ルクシル、ピットを追いかけてくれ!」
「俺は薩摩藩邸と長州藩邸に、応援を呼びに行ってくる」

素早く指示を出す陸奥だが、ルクシルは既にピットを追いかけていた。

「中岡!おんしも越前藩に行って応援をよこすよう伝えてくれ!」

「わかった!龍馬も無理するなよ!」

「内蔵太は儂と一緒に御所へ向かうぞ!」

「おう!」

龍馬と内蔵太も御所へと走り出す。

御所に向かって走るピットは、何度もミントに念話を試みるが、まったく繋がらない。

(ミント、無事でいてくれ!)

ピットが御所の見えるところまで来ると、そこには目を疑いたくなるような光景が映し出された。

御所内のあちこちから火の手が見え、周りは焦げ臭いにおいに包まれている。

そして、内部からは怒声と銃声、金属がぶつかる音が聞こえてくる。

「御所が…襲撃を受けている!」

驚愕しながらも走るピットの頭の中で、誰かが呼びかけて来た。

『ピット、聞こえるか?『ジャスティス』だ!』

(神様?!)

声の主に慌てるピットに、ジャスティスは簡潔に話す。

『気づくのが遅れ…てすまな…かった』
『お前が探し…ている人は、北に…ある皇居御常御殿の…中にいる』

『ただ…近く…にとんでもない…魔力を持った奴…がいるから気を…付けるんだ!』
『できれば…仲間と一緒に…行動…しろ!』

ここまで話してお告げが終わる。

(神様は何者かに妨害されているのかもしれない)

そう判断したピットは、一番近い『蛤御門』へと向かった。
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