神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第190話 草莽崛起

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ヘイスケは、6人を奥の間へと案内する。

襖をあけて中へ入ると、二人が上座を開け、下座に並んで座っている。

「局長殿、トシ殿、なんの連絡もなく伺って申し訳ありません」

「いえ、そのような事はございません!」
「逆に散らかったこの屋敷にお越しさせて頂き申し訳なく…」

イサミは焦りながら返事をする。

「そう言えば、お二方とはソウジさん達と戦って以来の顔合わせですね?」

「!」

(そうか、先日起こした乱闘問題の責任を取らせに来たのか…)

事を察したイサミは覚悟を決める。

「先日の乱闘騒ぎの原因は、不審者を束縛せよという私の指示で、二人はそれに従っただけでございます!」

「どうか、どうか私が腹を切りますので、二人には寛大な処置をお願い致します!」

「ちょ、ちょっと局長」

慌ててひれ伏すイサミに、トシが驚き一緒にひれ伏す。

暫くぽかんとするピット達だが、イサミの誤解に気付き慌ててやめさせる。

「ち、違いますよイサミ殿!トシ殿もやめてください!」

ピットは慌てて二人の平伏をやめさせる。

「私が今日来たのは、近いうちあなた達が、古都を去ってしまうと聞いたからです」

その言葉を聞き、慌てて居直るイサミとトシ。

「そうでしたか、大変失礼致しました」

イサミはここまでの事情を話す。

「そうでしたか、しかしそれでは、会津に行っても歓迎されないのではないでしょうか?」

ピットの質問に、イサミは絞り出すような声で答える。

「しかし我々には、もう頼るものがありません…」

「だから多摩に帰って、また一からやり直せばいいじゃないか!」

イサミにトシが怒った口調で話す。

「なるほど、事情はよくわかりました」

事情を知ったピットは、二人に提案する

「そう言う事でしたら、今後私が『新撰組』の後ろ盾になりましょうか?」

「我々の後ろ盾に?!」

ピットの提案に、イサミとトシは驚いた。

「はい、今私は『この国のために戦ってくれる戦士』を探しております」

「それは過去や身分などに囚われず、『この国を守りたい』志があるものこそ、私が、この国が求めている人材です」

「私はあなた達『新撰組』の中に、『草莽崛起(そうもうくっき)の志』を見ました」

「あなた達のような人材を、私やこの国は求めているのです!」

ピットは二人に熱く語った。

「そうか、ピット様は俺たちのような時代遅れの剣士を、必要と言ってくださるのか…」

二人はしみじみと嬉しそうに言った。

「ピット王、我々のような田舎侍たちを、そこまで買っていただき感謝に絶えません」

「間もなく戻る『ケイスケ』や『ソウジ』らに事情を話しますので、明日ご返事をさせて頂いても宜しいでしょうか?」

「はい、よい返事を待っています」

イサミたちに微笑みながら答えるピット。

「それでは、あなた達に『前世の記憶』と『進化の力』をお渡しします」

薄白く光り輝いていた二人の体は、神々しく光りだし、鬼の姿から人の姿へと変化した。

「これは…歳、お前なのか?」

「近藤さん、それはこっちの台詞だ!」

こうして、新撰組局長『近藤勇(こんどう・いさみ)』と、副長の『土方歳三(ひじかた・としぞう)』の魂が、現世で復活した。

「「ピット王、かたじけない」」

「では、明日御所にてお待ちしております」

感謝する二人に一礼し、ピットたちは屯所を後にした。
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