神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第188話 陸軍の祖

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越前藩邸を出て足早に歩く6人。

「龍馬さん、無理を言ってすみません」

「気にすんなっち、わしとピットさんの仲じゃなかか!」

申し訳なく話すピットに、龍馬は笑いながら返事した。

「なあピットさん、俺は今、猛烈に悪い予感がするのだけど…」

「フフッ…君の悪い予感は200%当たるから安心していいぞ?」

陸奥の不安げな予感にルクシルが笑みを浮かべて答える。

「マジかよ…何で新撰組の屯所に行くんだよ?」
「あ~あ、越前藩邸で豪華な料理を食べたかったなぁ」

「わはは、陸奥は現世でも相変わらずボヤいておるのぅ!」

「うるさい!内蔵太の単細胞め!」

陸奥と内蔵太は口喧嘩を始めた。

「しかし、彼らと会って何を話すのですか?」

中岡がピットに質問する。

「それは彼らが『戦力』として群を抜いているからです」

「新撰組が戦力?」

ピットの答えに疑問を持つ中岡。

「中岡さんが言いたいことはわかります」
「確かに新撰組の人数は40名ほどと、数は大したことありません」

「しかし、『この世界』では、個の強さが非常に重要なのです」

進化した一人の戦士の前では、多少の強い兵団など成す術もなく倒されてしまう事を、ピットは目の当たりで見てきているので、『新撰組』の個としての戦力は絶対に必要であった。

しかし、そんな戦いを見て来ていない者達には、兵の質と数こそ重要であると思うのは当然の事である。

「龍馬さんは、先日あの武者と戦っているのでわかると思いますが、一般兵が進化した戦士に戦いを挑むのは、自殺しに行くのと同じようなものなのです」

ピットの説明に、龍馬も大きく頷く

「確かにあれは、わしらで何とかなるようなものじゃなかった」
「もしあいつにその気があったら、わしらはいまこの世にはおらんかったじゃろな」

「お前ほどの力があっても、勝てなかったのか!?」
「龍馬さんは確か『北辰一刀流』の免許皆伝じゃなかったですか?」

中岡や内蔵太は驚く。

「まぁ、わしは槍で戦ったんじゃがな」

笑いながら答える龍馬。

「この件に関しては、実際戦争が始まればわかると思います」

ピットはその上で、兵士の数も必要だと理解している。

「ちなみに中岡さんは、この亜人連合国に人口はどれ程かご存知ですか?」

「それは…1500万くらいか?」

ピットからの質問に、言葉が詰まる中岡。

「違うぜ中岡さん、この国の人口は約1400万人だ」

陸奥はあっさりと答える。

「陸奥さん正解です」
「ではその中で『武士』の人数はどれくらいいると思います?」

「そうだな…70万てところかな?」

「その通りです」
「この国の人口の5%が、戦える武士や兵の人数です」

すらすら答えた陸奥は、皆ににどや顔をする。

「じゃあ皆さんは、その70万の兵で、この広い領土を守れると思いますか?」

「それは…」

ピットの質問に、皆の言葉は続かない。

「わかったと思いますが、この国全土を守るのには、『兵』の数が全く足りていません」

「だから、日ノ本軍の上陸地を想定して配置できる『戦略家』と、現場で指揮を執る『指揮官』を集めなければなりません」

「そして、一番大事なことは『兵』の数を増やすこと」

そこで龍馬が思い出す。

「そうか!だから晋作は進化後に長州へ帰って、農民たちを中心とした軍『奇兵隊』を結成したんか!」

(そうか、長州は前世で四面楚歌ともいえる『四境戦争』を経験していたんだった)
(もしかしたら、高杉さんは誰よりも早く、この戦争の準備を始めていたのかもしれない)

そう思ったピットは、龍馬に高杉を御所に呼ぶようお願いする。

「そして、長州と言えばあの人…日本陸軍の創始者『大村益次郎(おおむら・ますじろう)』には必ずに来て頂かないといけない」

やることが山積みだなとピットは思った。

そんな話をしているうちに、6人は新撰組の屯所前へと到着した。

そして、同時刻の長州藩にある、小さな村『大村』。

小さな猿の姿をした獣人の男は、田んぼのあぜ道をトコトコ歩き萩へと向かっていた。

「ゾウロク先生、今日は暑いですね」

「はい、夏は暑いのが当たり前です」

田んぼを手入れしていた農民の問い掛けに、ゾウロクはそっけなく返す。

「おや、その荷物はどこか遠くへ行きなさるのかね?」

「はい、友人に呼ばれて『古都』まで行ってきますので、暫く戻りません」

「そりゃ遠くまでご苦労様です、気を付けて行ってきてください」

「ありがとう」

ゾウロクは、農民に軽くお辞儀をして、桂が待つ古都へと向かった。
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