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群雄進撃編
第187話 大政奉還後の動き
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「それで、他藩の動きはどうなのでしょうか?」
ピットの質問に、春嶽侯は顔を曇らせながら話す。
「聞き及んでいると思いますが、大政奉還に不満を抱いた「かたもり」公が、帝に仰せつかった任を全て辞職し、所領の会津へと帰ってしまいました」
「さらに、『旧幕府派』の者達が難色を示し、現軍艦奉行の『オグリ』や『エノモト』、『オオトリ』らは皆、会津藩に身を寄せたのです」
「また、東北諸藩も会津藩の考えに同意し、『亜人連合国』は東と西の二つに割れようとしています」
この時の春嶽は、京都守護職に就いていた『かたもり』公が、勝手に会津に帰ってしまった為、明帝より京都守護職を賜っていた。
「あの頭が固い容保公をどう説得するか、骨が折れそうですね」
ピットは前世で歴史が好きだったので、有名な偉人はよく覚えていた。
「今回、我が国に転生している容保公の前世の家臣『山本八重』に会津へ行かせます」
「彼女であれば、会津藩内にいる前世からの協力者と共に、容保公の説得をやってくれるでしょう」
「また幸いに、我々に対してではありますが、東北諸藩連合も軍備を整えるはずですので、日ノ本に対しても『ある程度』は戦えると思います」
「そうですか、会津藩ほどの力があっても、日ノ本には勝てませんか…」
ピットの言葉に、春嶽公は肩を落とす。
「そんなに気を落とさないでください」
「こちらはこれから『転生者』が増えていきますし、この国が前世で日ノ本より後に存在している分、敵の事を歴史から知っている者も多いはずです」
「そして、我が国や韓・楚・エルフ国」
「うまく行けば、大英海龍国やフレンチ帝国も、援軍に駆けつけてくれるかもしれません」
希望的観測ではある英仏2国だが、援軍が間に合う可能性は十分にある。
あくまでそれは、『日ノ本にも肩入れをしている大英海龍国』次第ではあるのだが…。
これは以前、パークスがピットに『NATO』加盟を提案した際に、孔明から事前にこの件についての連絡、または打合せがなかったことが起因である。
つまりパークスは、先日ピットとの会談で、ピットの『協調性』やラビット国の『国力と先進力・軍事力』をある程度把握し、本国には相談せず(決定権をもらっている可能性もある)、独断でピットに直接NATO加盟を提案していたのである。
そしてピットは、大英海龍国は外交交渉をする際、双方に協力すると約束した『ダブルスタンダード』を行う事も、前世の歴史で学んでいる。
(双国を見た大英海龍国が、どちらに付くのか?それとも二国共『NATO』に組み込もうとするのだろうか?)
そこを考えても、今のピットにはまだ分からない。
「今回の『日ノ本・宋』侵攻阻止は、この国の存亡を賭けたものとなります」
「ここに生きる人たちの為にも、奴らの野望を必ず阻止しましょう」
ピットの言葉に皆頷く。
「ところで春嶽侯、会津藩の指揮下にあった『新撰組』はどうなるのですか?」
「かたもり公が会津藩に帰ってしまったので、彼らも古都を発ち会津に向かうようです」
「そうですか…」
春嶽侯の言葉に、ピットは短く返事した。
「それでは、今日はこれにて帰らせて頂きます」
「えっ、今日はこちらにて食事の席を用意しておりますが?」
「すみません、帰りに少し寄りたいところがありますので…」
ピットの言葉に、何かを察した春嶽侯は、それ以上引き止めなかった。
「そうですか、ではまた近いうちにお会いしましょう」
「はい、近いうちに」
挨拶を終え、龍馬に耳打ちし、ピットたちは席を立つ。
「春嶽侯、わしらもちくっと出てきますきに」
こうして6人は藩邸を出ていった。
「そうか…ピット王もやはり男」
「古都の煌びやかな街並みの中で楽しまれたかったのだろう…」
「いや、それはちがうかと…」
ひとり呟く春嶽侯に、それは違うと突っ込む三岡であった。
ピットの質問に、春嶽侯は顔を曇らせながら話す。
「聞き及んでいると思いますが、大政奉還に不満を抱いた「かたもり」公が、帝に仰せつかった任を全て辞職し、所領の会津へと帰ってしまいました」
「さらに、『旧幕府派』の者達が難色を示し、現軍艦奉行の『オグリ』や『エノモト』、『オオトリ』らは皆、会津藩に身を寄せたのです」
「また、東北諸藩も会津藩の考えに同意し、『亜人連合国』は東と西の二つに割れようとしています」
この時の春嶽は、京都守護職に就いていた『かたもり』公が、勝手に会津に帰ってしまった為、明帝より京都守護職を賜っていた。
「あの頭が固い容保公をどう説得するか、骨が折れそうですね」
ピットは前世で歴史が好きだったので、有名な偉人はよく覚えていた。
「今回、我が国に転生している容保公の前世の家臣『山本八重』に会津へ行かせます」
「彼女であれば、会津藩内にいる前世からの協力者と共に、容保公の説得をやってくれるでしょう」
「また幸いに、我々に対してではありますが、東北諸藩連合も軍備を整えるはずですので、日ノ本に対しても『ある程度』は戦えると思います」
「そうですか、会津藩ほどの力があっても、日ノ本には勝てませんか…」
ピットの言葉に、春嶽公は肩を落とす。
「そんなに気を落とさないでください」
「こちらはこれから『転生者』が増えていきますし、この国が前世で日ノ本より後に存在している分、敵の事を歴史から知っている者も多いはずです」
「そして、我が国や韓・楚・エルフ国」
「うまく行けば、大英海龍国やフレンチ帝国も、援軍に駆けつけてくれるかもしれません」
希望的観測ではある英仏2国だが、援軍が間に合う可能性は十分にある。
あくまでそれは、『日ノ本にも肩入れをしている大英海龍国』次第ではあるのだが…。
これは以前、パークスがピットに『NATO』加盟を提案した際に、孔明から事前にこの件についての連絡、または打合せがなかったことが起因である。
つまりパークスは、先日ピットとの会談で、ピットの『協調性』やラビット国の『国力と先進力・軍事力』をある程度把握し、本国には相談せず(決定権をもらっている可能性もある)、独断でピットに直接NATO加盟を提案していたのである。
そしてピットは、大英海龍国は外交交渉をする際、双方に協力すると約束した『ダブルスタンダード』を行う事も、前世の歴史で学んでいる。
(双国を見た大英海龍国が、どちらに付くのか?それとも二国共『NATO』に組み込もうとするのだろうか?)
そこを考えても、今のピットにはまだ分からない。
「今回の『日ノ本・宋』侵攻阻止は、この国の存亡を賭けたものとなります」
「ここに生きる人たちの為にも、奴らの野望を必ず阻止しましょう」
ピットの言葉に皆頷く。
「ところで春嶽侯、会津藩の指揮下にあった『新撰組』はどうなるのですか?」
「かたもり公が会津藩に帰ってしまったので、彼らも古都を発ち会津に向かうようです」
「そうですか…」
春嶽侯の言葉に、ピットは短く返事した。
「それでは、今日はこれにて帰らせて頂きます」
「えっ、今日はこちらにて食事の席を用意しておりますが?」
「すみません、帰りに少し寄りたいところがありますので…」
ピットの言葉に、何かを察した春嶽侯は、それ以上引き止めなかった。
「そうですか、ではまた近いうちにお会いしましょう」
「はい、近いうちに」
挨拶を終え、龍馬に耳打ちし、ピットたちは席を立つ。
「春嶽侯、わしらもちくっと出てきますきに」
こうして6人は藩邸を出ていった。
「そうか…ピット王もやはり男」
「古都の煌びやかな街並みの中で楽しまれたかったのだろう…」
「いや、それはちがうかと…」
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