神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第183話 御前会議

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御所『虎の間』にて、『将軍宣下(しょうぐんせんげ)』が終わり、とくのぶ公と4人の藩主は同時に明帝へ平伏する。

「うむ、では将軍『とくのぶ』よ、これからは国家繁栄のために力を尽くせ!」

「ハハッ!」

再度平伏する5人。

「さてと、とくのぶも無事将軍となったし、今後の事も話すかのう」

ミントはとなりに座るピットを紹介する。

「此度、わらわは隣におる『ラビット・ピット』王と、新年に結婚する運びとなった」
「今後はわらわと同じよう、ピット王にも接するように」

「お待ちくだされ、帝」

皆平伏し了承する中、一人が異を唱える。

「なんじゃ?土佐藩主『よっとる』公、わらわの決定に何か意見があるのか?」

低いミントの声は、場の空気を凍らせる。

「いえ、帝の決定に意見はございません」

「ただ、このようなかたちで征夷大将軍を決定されたことが、前例にありませんでしたので、何か理由があるのかと考えた次第です」

よっとる公の言葉を黙って聞く将軍たちに、ミントはため息交じりに答える。

「『よっとる』よ、お前はいちいち説明せんとわからんのか?」

「『とくのぶ』将軍、お前は何故だと思う?」

ミントの質問に、とくのぶは即答する。

「はい、間もなく他国がこの国に攻め入ってくるゆえ、時間を掛けて征夷大将軍就任の儀をやっている暇がなかったからです」

その答えに頷く他の三公。

「だそうじゃぞ、よっとる公よ」
「わからなかったのは、どうやらお前だけの様じゃな?」

馬鹿にしたミントの言葉に、よっとる公は歯ぎしりし反論する。

「帝とはいえ、その言い方はないのではありませんか?」

「ほう?お前の藩では身分の高いものは、低いものを虐げてもよいのではなかったのか?」

「わらわもそれに倣っただけじゃが?」
「それともお前は、わらわと同じ『帝』にでもなったのか?」

ミントの言葉に肩を震わせて下を見るよっとる公。

「…帝、今日は朝から気分が優れませぬ故、これにて失礼仕ります!」

そう申すと、止める三人の制止を振り切り部屋を出るよっとる公。

「よい!よっとる公は気分が優れぬのじゃ」

追うとする三人を呼び戻し、再び座らせる。

今この場にいるのは

ウサギの獣人で亜人連合国の『明兎』帝
ウサギの獣人でラビット王国の『ラビット・ピット』王
人間で征夷大将軍の『とくのぶ』将軍
人間で越前藩主の『まつしゅん』公
リザードマンで宇和島藩主の『だてなり』公
猪の獣人で薩摩藩主の『しまなり』公

途中退席した『よっとる』公は人間である。

「余興は終わったので、ここから本題に入らせてもらおう」

6人はこれから、この国の存亡を賭けた議論を行う。
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