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群雄進撃編
第175話 沂州城、呂布軍により大損害を出すのこと
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「みんな、大丈夫か?」
林冲の言葉に、3人は問題ないと返事をする。
「しかし、あれはいったい誰だったんだ?」
林冲の言葉に、魯智深が答える。
「あいつは名乗りの時にこう言っていた」
「呂…方…であると」
「呂方?あの梁山泊にいた『小温侯(しょうおんこう)・呂方(りょほう)』の事か?」
「あいつと姿形は似ておったが、あれほどの強さではなかったぞ?」
魯智深の記憶間違いで、謎の男の謎は深まる。
「おい、あいつ『呂布奉先』と言ってなかったか?」
「そうだ武松、それだった!」
「なに!呂布奉先だと!」
「ああ、間違いないぜ。あいつ自分の事を『飛将』とか言っていたからな!」
武松と魯智深の言葉に、楊志は驚愕する。
同時に林冲は、魯智深にもう少し歴史の勉強をしてほしいと思った。
『やはり呂布も、この世界に転生していたようですね』
林冲たちが慌てて声の方を向くと、韓信と張良が馬に乗って現れた。
「それで、沂州城での戦闘詳細を説明していただけますか?」
韓信の質問に、武松と魯智深は詳細を話す。
「ちょうど3日前に、伊賀衆から沂州城で2日後に反乱を起こすので、それと同時の攻撃をしてくれと連絡が入ったので、俺たちもそれに合わせて出撃したのだ」
「小者たちを連れて2日後に俺たちが到着したのだが、城内では既に火の手が上がっており、予定より早く反乱を起こしたと思って見ていたら、伊賀衆が来て『反乱の前に第三者が介入し、魔族・領民の双方を攻撃している』と、報告を受けたのだ」
「で、部下たちを残して、俺と武松が城内を見に行ったら、城内のあちこちから火の手が上がり、さっき連れていかれた黒虎の獣人武将を、さっきの呂布って野郎が一撃で倒したのさ」
「そこからは、俺たち二人いれば倒せると思ったので、いきなり仕掛けたのだが…そのあとは林冲たちの知っての通りさ」
「いや、いきなり仕掛けたって、お前ら…」
話し終えた魯智深と武松に、楊志と林冲はあきれているところへ、城内からの報告が入る。
「申し上げます!城内にいた魔族軍の守備兵に生存者はなし、皆殺しにされています!」
「住民の被害ですが、戦闘に巻き込まれ2千人以上が死亡しており、現在華佗先生率いる救護班が多数の負傷者の治療に当たっております」
まさかの大惨事に、みな声を失くす。
「それで…生き残った領民の話を聞いたのですが、4人の男たちが翼の生えた馬に跨って本城内に降りていくのを確認し、暫くしたら『魔族兵のアンデット』たちが次々と城内から現れ、魔族兵や住人を見境なく襲い始めたそうです」
「つまり呂布の配下には『ネクロマンサー』がいるってことですね」
兵の報告にも冷静に言葉を返す韓信。
その後の呂布との戦いや、奴らがここに来た理由などを、林冲と楊志が説明した。
ここまでの報告を聞き、張良は皆に話しだす。
「これは我々も想定していなかった事態が起きています」
「まず、呂布の復活」
「書見によれば、彼は長い中国の歴史の中でも1・2位を競うほどの猛将です」
「『方天画戟』を武器に、赤い馬『赤兎馬』に乗っていたという事であれば、十中八九彼で間違いないでしょう」
「ああ、あれは強いなんてものじゃなかったぜ、完全に別次元の生き物だ!」
「次にあいつと1対1で対峙したら、俺は真っ先に逃げるぜ」
張良の言葉に、水滸伝の世界でも最強に近い魯智深と武松ですら、呂布の強さには白旗を上げた。
「呂布のでたらめな強さに目を引かれがちだが、途中から現れた『高順』と『張遼』ってやつも、俺らと同じくらいの強さに感じたな」
「確かあの二人は、前世から呂布の配下で、高順は確実に敵陣営を攻め落とすことから『陥陣営』の異名を持ち、張遼はその勇猛ぶりから『泣く子も黙る・遼来来』と言われていましたからね」
林冲と楊志も、歴史を勉強していたのか詳しく知っていた。
更に張良の説明は続く。
「次に、もう一人の男『陳宮』と、転生者を探し出した『晴明』と言う者です」
「書見によると、陳宮は呂布の知恵袋で、前世でも多くの献策を行っているようです」
「皆さんの話を聞く限り、高い知能と魔力が必要とされる『ネクロマンサー』の正体は、陳宮であると私も推測します」
「そうか、仲間にそんな奴がいれば頼もしいけど、うちの陣営にはそんな暗黒系の知者なんていないからなあ」
ちなみに魯智深は、『輪廻転生で生まれ続けているアリの兵士』の事をまだ知らない。
「あと、『晴明』と言う者の事ですが、これは私もよく知りません」
「名前からして『倭の国』の者のようですので、調べた後に報告いたします」
張良がここまで話し終えると、次に韓信が皆に話し始めた。
「皆のお陰で、今回は予定以上の戦果を挙げることができました」
「ただ、第三者による沂州城の攻撃など、我々の想像を超える損害も出してしまいました」
「まずはこちらも、兵の再編成と新たな州の安定を図り、次の戦略を考えましょう」
ここまで話し、林冲たちは解散した。
「丞相、この件を項羽殿とピット殿にできるだけ早く伝えてください」
「個の武力で呂布と対等に渡り合えるのは、私の知る限り項羽殿しかいません」
「分かりました」
「しかし呂布は、一体どこの国に潜んでいるのでしょうか?」
「現段階では私にもわかりません」
「孔明殿なら、もしかしたら何らかの情報を掴んでいるかもしれませが…」
「今は焦らずに、情報収集を行いながら、領地の安定を図りましょう」
呂布という強敵の出現に、韓信も宋国解放戦略の組み直しを行っていく。
林冲の言葉に、3人は問題ないと返事をする。
「しかし、あれはいったい誰だったんだ?」
林冲の言葉に、魯智深が答える。
「あいつは名乗りの時にこう言っていた」
「呂…方…であると」
「呂方?あの梁山泊にいた『小温侯(しょうおんこう)・呂方(りょほう)』の事か?」
「あいつと姿形は似ておったが、あれほどの強さではなかったぞ?」
魯智深の記憶間違いで、謎の男の謎は深まる。
「おい、あいつ『呂布奉先』と言ってなかったか?」
「そうだ武松、それだった!」
「なに!呂布奉先だと!」
「ああ、間違いないぜ。あいつ自分の事を『飛将』とか言っていたからな!」
武松と魯智深の言葉に、楊志は驚愕する。
同時に林冲は、魯智深にもう少し歴史の勉強をしてほしいと思った。
『やはり呂布も、この世界に転生していたようですね』
林冲たちが慌てて声の方を向くと、韓信と張良が馬に乗って現れた。
「それで、沂州城での戦闘詳細を説明していただけますか?」
韓信の質問に、武松と魯智深は詳細を話す。
「ちょうど3日前に、伊賀衆から沂州城で2日後に反乱を起こすので、それと同時の攻撃をしてくれと連絡が入ったので、俺たちもそれに合わせて出撃したのだ」
「小者たちを連れて2日後に俺たちが到着したのだが、城内では既に火の手が上がっており、予定より早く反乱を起こしたと思って見ていたら、伊賀衆が来て『反乱の前に第三者が介入し、魔族・領民の双方を攻撃している』と、報告を受けたのだ」
「で、部下たちを残して、俺と武松が城内を見に行ったら、城内のあちこちから火の手が上がり、さっき連れていかれた黒虎の獣人武将を、さっきの呂布って野郎が一撃で倒したのさ」
「そこからは、俺たち二人いれば倒せると思ったので、いきなり仕掛けたのだが…そのあとは林冲たちの知っての通りさ」
「いや、いきなり仕掛けたって、お前ら…」
話し終えた魯智深と武松に、楊志と林冲はあきれているところへ、城内からの報告が入る。
「申し上げます!城内にいた魔族軍の守備兵に生存者はなし、皆殺しにされています!」
「住民の被害ですが、戦闘に巻き込まれ2千人以上が死亡しており、現在華佗先生率いる救護班が多数の負傷者の治療に当たっております」
まさかの大惨事に、みな声を失くす。
「それで…生き残った領民の話を聞いたのですが、4人の男たちが翼の生えた馬に跨って本城内に降りていくのを確認し、暫くしたら『魔族兵のアンデット』たちが次々と城内から現れ、魔族兵や住人を見境なく襲い始めたそうです」
「つまり呂布の配下には『ネクロマンサー』がいるってことですね」
兵の報告にも冷静に言葉を返す韓信。
その後の呂布との戦いや、奴らがここに来た理由などを、林冲と楊志が説明した。
ここまでの報告を聞き、張良は皆に話しだす。
「これは我々も想定していなかった事態が起きています」
「まず、呂布の復活」
「書見によれば、彼は長い中国の歴史の中でも1・2位を競うほどの猛将です」
「『方天画戟』を武器に、赤い馬『赤兎馬』に乗っていたという事であれば、十中八九彼で間違いないでしょう」
「ああ、あれは強いなんてものじゃなかったぜ、完全に別次元の生き物だ!」
「次にあいつと1対1で対峙したら、俺は真っ先に逃げるぜ」
張良の言葉に、水滸伝の世界でも最強に近い魯智深と武松ですら、呂布の強さには白旗を上げた。
「呂布のでたらめな強さに目を引かれがちだが、途中から現れた『高順』と『張遼』ってやつも、俺らと同じくらいの強さに感じたな」
「確かあの二人は、前世から呂布の配下で、高順は確実に敵陣営を攻め落とすことから『陥陣営』の異名を持ち、張遼はその勇猛ぶりから『泣く子も黙る・遼来来』と言われていましたからね」
林冲と楊志も、歴史を勉強していたのか詳しく知っていた。
更に張良の説明は続く。
「次に、もう一人の男『陳宮』と、転生者を探し出した『晴明』と言う者です」
「書見によると、陳宮は呂布の知恵袋で、前世でも多くの献策を行っているようです」
「皆さんの話を聞く限り、高い知能と魔力が必要とされる『ネクロマンサー』の正体は、陳宮であると私も推測します」
「そうか、仲間にそんな奴がいれば頼もしいけど、うちの陣営にはそんな暗黒系の知者なんていないからなあ」
ちなみに魯智深は、『輪廻転生で生まれ続けているアリの兵士』の事をまだ知らない。
「あと、『晴明』と言う者の事ですが、これは私もよく知りません」
「名前からして『倭の国』の者のようですので、調べた後に報告いたします」
張良がここまで話し終えると、次に韓信が皆に話し始めた。
「皆のお陰で、今回は予定以上の戦果を挙げることができました」
「ただ、第三者による沂州城の攻撃など、我々の想像を超える損害も出してしまいました」
「まずはこちらも、兵の再編成と新たな州の安定を図り、次の戦略を考えましょう」
ここまで話し、林冲たちは解散した。
「丞相、この件を項羽殿とピット殿にできるだけ早く伝えてください」
「個の武力で呂布と対等に渡り合えるのは、私の知る限り項羽殿しかいません」
「分かりました」
「しかし呂布は、一体どこの国に潜んでいるのでしょうか?」
「現段階では私にもわかりません」
「孔明殿なら、もしかしたら何らかの情報を掴んでいるかもしれませが…」
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