神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第173話 林冲と楊志、沂州攻略の援軍に向かうのこと

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「ちょっと、これやったの誰?」
「この人、首の骨が折れて死にそうなんだけど!」

ツキノはハイ・ポーションとヒールで青眼虎を治療しながら楊志を見る。

「いや、峰打ちだったから大丈夫かなと思って…」

「いやいや楊ちゃん、峰打ちってこんなバカ力で殴ったら、普通は死んじゃうよ?ちゃんとわかってるの?」

「いや、その…すまなかった」

「もう、宋国の武将たちは、やることが本当デタラメなんだから!」

「えっ、それツッキーが言うの?」

「は?なんか言った?」

「いえ、何でもないです…」

ツキノに正論で凄まれ、勝ち目無しとみた楊志は、あっさり謝罪し退散した。

「よう楊志、ツキノ様にこっぴどく怒られていたな!」

「ああ林冲、どうも俺はこういう星の巡り合わせになっているようだ」

「いや、これはお前が悪いと思うが…」

「それより俺たちは、これから『沂州(ぎしゅう)』の援軍に行くことになりそうだ」

「援軍?今回の侵攻は、ここ徐州城までじゃなかったのか?」

当初は徐州城までの予定だったが、韓軍進撃の情報を聞いた沂州と蜜州の領民が反乱を起こし、韓軍に邂逅し、そのまま付近の山を治めていた『李忠(りちゅう)』と『周通(しゅうとう』が、そのまま兵士がいない密州城を制圧した。

また、二竜山の山賊軍で、林冲の友人で妻を匿ってくれていた『花和尚(かおしょう)・魯智深(ろちしん)』と『行者(ぎょうじゃ)・武松(ぶしょう)』が、兵1500が守る沂州城を攻めていた。

「そういうわけで、俺たちは徐州城攻略の援軍に行くことになったのさ」
「まぁ、到着しても魯智深と武松が落としているだろうがな」

林冲の言葉に怪しげな旗が立った気がしたが、構わず二人は指示通り魯智深たちの援軍へと向かう。

沂州城は徐州城から30㎞ほどの距離なので、昼にアリの兵1000を連れて出発した林冲たちは夕方に到着する。

「おい林冲、城内から煙が上がっているぞ?」

「どういう事だ?魯智深たちが火を掛けたのか?」

林冲たちは、慌てて開らいた状態の城門から入ると、家のあちこちから火の手が上がっていた。

「一体どうなっている?」

林冲たちがそのまま中央にある本城内部に入ると、中の広場で3人の男たちが戦っている。

よく見ると、それは半獣化した魯智深と武松が、赤い馬に跨った大男に攻撃を仕掛けている光景だった。

二人は連携を取り大男に挑んでいるが、彼の持つ赤い槍に防がれ、そのまま弾き飛ばされていた。

「信じられん、あの二人が仕掛けているのに、あの男…軽くあしらっていやがる!」

その光景にしばし呆然とする林冲。

「おい林冲、ここで見ていても始まらん!加勢に行くぞ!」

「おう、そうであった!」

林冲たちは慌てて魯智深たちの加勢に向かう。
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