神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第171話 楊志、新たな仲間と邂逅し、城攻めを考えるのこと

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長江の戦が始まった頃の徐州城には、多くの情報が錯綜していた。

「報告します!泗州城にて反乱、及び韓軍の奇襲を受け陥落!」
「報告します!『蜜州(みつしゅう)』にて反乱発生、複数の敵兵により制圧された模様!」
「報告します!寿州城・濠州城・楚州城にて反乱発生!」

「なぜ各地で一斉に反乱が?何処から手を付ければいい?私はどうすればいいんだ?」

文官上がりの司令官代理『ゴゴテイ』と副官『レモテイ』は指示を出せずにいた。

「司令官、いまから他の城へ救援に向かっても間に合いません」
「ここはこの徐州城の守りを固め、敵の襲撃に備えましょう」

途方に暮れる二人に、蒼い目をした虎の獣人は対応策を進言した。

「おお『|青眼虎(せいがんこ)』、お前がいてくれたか!」
「文官の我々には戦の指揮が取れない、お前が代りに指揮を執ってくれ!」

(なんで司令官代理の任をこんな奴らにしたんだ?)

青眼虎は心の中で呟きつつも、城内の指揮にあたる。

徐州城には兵10000が駐屯しており、籠城を行えば隣の南京より援軍が望めるので、青眼虎は籠城戦の指示を行う。

そして、籠城戦の準備が終わるころに、泗州方面から韓軍1000が徐州城に到着した。

「なんだと!あれは豹子頭と青面獣ではないか!」
「しかも兵は1000程度?やつら徐州城の兵力を知らずに来たのか?」
「いや、あの二人の事だ、何か策があるに違いない」

青眼虎は、韓軍兵を見ながら二人の動きを警戒していた。

「おい林冲、彼らが『魔族兵からアリ兵に転生』した兵団か?」

「ああ、捕らえた魔族兵の中で寿命が近く、我々と戦いたいもの達を優先に転生させたらしい」

「意図的に転生…確かにあのアウトローな姿の魔族兵たちが、精悍な人の姿に変っている…」

楊志が唖然とする中、一人の兵士が挨拶してきた。

「林冲殿、楊志殿、久しぶりです」
「俺は元梁山泊軍の諜報・調略部隊『張青』です」

「何だと?お前魔族に転生していたのか!」

張青の挨拶に驚く二人に、張青は説明を続ける。

「へい、私も梁山泊にいたとはいえ元罪人、入山前に坊主を殺していたのが原因で、地獄に落ちたんでしょうね」
「周瑜殿はその中から、寿命が近く早く転生しなくてはならない者達を長沙城に集めて、龐統殿の闇魔法『デス・クリーク』により昇天、そのまま孫堅殿の転生術でアリに転生したのです」

「なるほど、悪魔との契約に限らず、前世の行いで魔族兵になっている者もいるという事か」

「この話を聞くと、俺たちも前世に同じことをやって、獣人に転生できたのは、単に運が良かっただけの話なのだな」

張青の話を聞き終わり、考えさせられた二人。
なぜなら、善悪の違いはあれど、二人も多くの人たちを倒してきたのだから…。

「まぁ、こうやって現世に転生できましたので、これからは韓王様の為に、犬馬の労を惜しまず働きます!」
「それに、ここに来た兵士たちは、皆『元梁山泊』にいた兵たちです」
「皆、宋国の開放を願って志願して来たので、他の奴らとは気合が違いますよ!」

張青の言葉に、武器を持った右手を突き上げ、相槌を打つ兵士たち。

「そうか、であれば、宋国解放のために皆の力を貸してくれ!」

「「「おーっ!」」」

楊志の言葉で一気に士気が上がる韓軍。

「まったく…周瑜殿は本当に頼りになる援軍を送ってくれたものだ」

林冲は、まだ会ったことのない楚の周瑜に、感謝の挙手を捧げる。

「それで楊志、どう攻めるか決めたのか?」

「ああ、彼らの特技の一つを聞いて、もう戦法は決めているぜ」

「わかった、それならばお前の指揮下に私も入ろう」

こうして林冲・楊志の徐州城攻略が始まった。
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