神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第164話 長州藩邸にて

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会談が終わり、ピットたちは池田屋を出て長州藩邸へと戻った。

「吉之助さぁ、おいはもう一度『イワトモ』卿に会ってくる」

大久保は、田中新兵衛を連れて、再度『古都御所』へと向かった。

「僕も今日の件を、公家の『あねきん』卿に報告してくる」

桂もここで別れて、ピット、ルクシル、陸奥、高杉、西郷が残った。

「ピットさん、今回の将軍暗殺の事なんだが…」

「僕や西郷さんの情報では、土佐藩の藩主『よっとる公』の指示で、『土佐勤王党』が中心に画策したことも分かっちょる」

「なるほど、そうだったのですね」
「しかし『よっとる公』は、大嫌いな郷士集団である『土佐勤王党』を使ってますよね?」

ピットの質問に、高杉は推測を話す。

「『よっとる公』は『ハンペン』を煽てて、『土佐勤王党』に全ての汚れ仕事をやらせとるのじゃろうな」

「あの殿様、日ノ本と繋がっておるのは間違いないじゃろうから、今回の将軍暗殺を含め、今後の亜人連合への侵攻も、いろいろ手助けするのは間違いないじゃろう」

「そして、もし何かあったときは、全ての責任を彼らに押し付けて、自分ら『上士』は一切関係ないを通すのであろうな」

「坂本君の為にも、何とかして『土佐勤王党』のメンバーを助けてやりたいが、こっちはなかなかうまくいかないな」

高杉はいつにもなく真剣な面持で、『土佐勤王党』を心配していた。

「『土佐勤王党』の件については、おいたちも調べております」
「出来る限りは助けてやりたかが、坂本さぁには悪かが、状況によっては『よっとる公』たちと一緒に処罰することになるかもしれもはん」

西郷も、この部分に関しては討伐もやむなしと考えている。

土佐の話はこれで終わり、高杉は話を変えてきた。

「しかし君の国は本当にすごいな!」
「欠損した部位を再生する技術なんて、世界中探しても君の国くらいではないか?」

「いえ、たまたま転生した者の中に『科学者』がおりまして、魔法との組み合わせや魔族の体を調べた過程で、そういう事が可能になったそうです」

これはレオナルドと田中久重が、未知の領域である『魔法』の存在に知的好奇心を大きく刺激され、どん欲に研究を続けた結果、地球の世界よりも進んだ、またはあり得ない『技術力』に進化しているのであった。

「ピットさんの国力は、もはや魔族の力をも超えておるのかもしれませんな…」

西郷はピットたちの存在は、頼もしいの気持ちと同時に『彼らがもし敵に回ったら』恐怖の念も抱いていた。

そんな話も終わり、高杉は西郷とピットに外食をと誘う。

「ところでピットさん、よかったらこの後『祇園』にでも行かないか?」

「祇園…ですか?」

高杉は頷き西郷に質問する。

「確か祇園にある『奈良富』が西郷さんの行きつけでしたよね?」

この言葉に西郷はいたく喜んだ。

「そうでごわす!よかったらみんなで一緒に行きもんそ!」

「よし、じゃあ今夜は『男4人』で楽しもうじゃないか!」

「よっしゃー!久々の祇園だ!」

大歓喜の高杉・西郷・陸奥を尻目に、何のことか判らずに、きょとんとしているピット。

「そうか…じゃあ僕も行くよ」

「「「えっ?」」」

ルクシルの一言に驚く3人。

「何だい?食事を摂るだけだろう?護衛の僕が行かないわけにいかないじゃないか?」
「それともほかに何か『理由』があるのかな?」

「えっ?えっ?どういうこと?」

ルクシルの『圧』に、たじろぐ3人と、何のことか判らずにおろおろするピット。

「そうだ西郷さん!僕はこの後うちの藩邸内で、皆に今日の結果を報告せねばなりませんでした!」

「そうでごわしたか、残念じゃがしょうなかですな!」

「ピットさん、また今度行きましょう!」

そう話し、高杉は逃げるように部屋を出ていった。

「さて、我々もお暇しまっしょ」

少し悲しそうな顔をした西郷さんと一緒に、4人は薩摩藩邸へと帰って行った。

「ねえルクシル、祇園って何かあるのかい?」

ピットの質問に、ルクシルがやさしく答えた。

「いえ、祇園で食事をするだけならば、なんの問題もないところさ」
「でも行かなかったってことは…何か良からぬことを考えていたのかもしれないな」

振り向くルクシルの回答と視線に、後ろを歩いていた西郷と陸奥はびくッとなる。

「そっか…私も今日は疲れたし、帰って藩邸でゆっくりしよう」
「ああ、それがいい」

ピットの言葉に、ルクシルは少しだけ嬉しそうに返事した。

「あ~あ、遊郭行きたかったな…」

「何か言ったか?…陸奥殿」

陸奥のつぶやきに反応するルクシル。

「いいえ、今日は疲れたから早く寝たいなと呟いただけです!」

「…そうか」

(この地獄耳め!)

陸奥は不貞腐れながら、肩を落として歩く西郷の左隣を歩いた。

後日、『此の時、ルクシルは西郷より大きく見えた』と陸奥宗光は周りの友人に語り継いだという。
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