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群雄進撃編
第162話 トラファルガーの英雄
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中に入ってきた4人は、畳の上に置かれたテーブルに一列で座る。
奥からスーツを着た人間2人が椅子に座り、次に軍服を着た隻腕隻眼の竜人、末席に同じくスーツを着た人間が座る。
対して、こちらはピットを先頭に、西郷・桂・大久保・高杉の順で座る。
「初めまして、ピット王」
「私はこの度、大英海龍国の駐日大使として赴任致しました『ハリー・パークス』といいます」
「今日は薩摩・長州の方々と共に、今後の話ができると聞いて伺わせて頂きました」
パークスの言葉を、隣のスーツの男が通訳する。
「すみませんパークス大使、我々が何を言っているかわかりますか?」
大久保のこの言葉に、その場に居合わせたパークスたちは驚く。
「大久保殿、英語が話せたのですか?」
「いえ、それが何故かパークス殿の言葉がわかるようになりまして…」
ざわつく一同。
「あの…ここに居る方たちは、皆共通語として話せると思います」
「これはピット様の進化による『恩恵』が要因かと…」
唯一事情を知っていた末席の男『グラバー』が皆に説明をした。
「そうだったのか!これは助かる!」
大久保と西郷の大喜びを尻目に、高杉がある疑問を桂にぶつける。
「なぁ桂さん、確かこの会談は桂さんが段取りしたはずだよな?」
「何で桂さんは、話せることを知らなかったんだい?」
「…すまない、僕は忙しかったので、殆どを(伊藤)俊輔にやらせていた」
「なるほどな、俊輔は英語が堪能だからな…」
「磯松…」
その言葉にビクッとする桂。
「わかった桂さん、これは貸しだからな」
ちょっとだけばつが悪そうな顔をした桂を横目に、高杉は全てを理解してにやにやとしていた。
「しかし、ピット殿の進化の力はとんでもありませんな!」
「本当に…私の仕事を奪わなでくださいよ!」
驚くパークスと、焦る通訳。
「申し遅れました、私の名前は『アーネスト・サトウ』です」
「主に大使館員の通訳をやっております」
「そして、こちらの竜人の方が…」
ここまでサトウが話すと、ピットが紅茶をすする竜人に質問をする。
「もしかして…ネルソン提督ではないですか?」
その言葉に大英海龍国の3人が驚く。
「ピット王はネルソン提督を御存知なのですか?」
「はい、直接は存じ上げませんが、隻腕に隻眼の海軍将校で有名な方と言えばネルソン提督かと…」
この言葉に唖然とする3人
「フフフ、これは驚いた」
「今回赴任したばかりの、余の名前を知っている者がいるなど思いもしなかったよ」
「あなたは『前世』ではすごく有名な方でしたからね」
「そうか、ピット王は我々と同じく『転生者』だったのですな」
ピットの回答に納得するネルソン。
竜人はすくっと立ち上がり、自己紹介をする。
「大英海龍国の海軍中将を務める『ホレイショウ・ネルソン』だ」
そう言うとネルソンは左手を出して、ピットと握手をする。
「まったく、あなたといい、孔明殿・官兵衛殿といい、森にいた住人たちはとんでもない者たちだらけですな」
「やはり大使は孔明や官兵衛を知っているのですね!」
ピットは嬉しそうに大使に確認する。
「知っているどころではありません」
「今や二人は、長年続いた『大英海龍国』と『トレビアン帝国』の争いを終結させた立役者なのですから!」
「なんと!あの『百年』も続いていた戦争が終結したのですか?」
驚愕する藩の重臣たちに、パークスが『世界地図』を広げ、世界情勢と共に説明する。
「皆様もご存じのとおり、我が国とトレビアン帝国は、休戦期間を幾つか挟みつつも、百年以上戦争を続けておりました」
「また一時期は、現在同盟国でもある『三龍合衆国』とも同時に戦争を行っていたこともあり、国民は疲弊の境地でもありました」
「そんな中、我が国の商人であるグラバーより紹介された孔明殿を賓客として迎え入れ、同じくトレビアン帝国に賓客として迎え入れられている官兵衛殿を通し、『ナポレオン皇帝』と『ジョージ3世』の名のもとに『終戦協定』と『相互共闘同盟』を締結し、『千年帝国』『パスタ帝国』『ジパング帝国』が結成した『魔族同盟』に対抗する『対魔族連合』を呼びかけ、既にいくつかの欧州参加国による武力共闘同盟『NATO(北大西洋条約機構)』が結成されております」
皆が静かに聞く中、更にパークスの話は続く。
「この状況を懸念した『魔族同盟』は、まず『千年帝国』が、オーストリアを併合、現在『レッドスター連邦』に併合されようとしている『エストニア』『ラトビア』『リトアニア』のバルト三国へ『パスタ帝国』と共に軍事支援を行っているようです」
「『ジパング帝国』はいまのところ動きはありません」
皆は地図を見ながら、各勢力の確認を始める。
そしてピットは…自分の国の位置を確認する。
(ここが私たちのいる大陸の位置か…)
ピットたちのいる大陸は、地球の世界地図にある『アフリカ大陸』の位置に存在し、大きさはアフリカ大陸の上半分だけ、形はオーストラリア大陸に似ている。
大陸の中央に大きな山脈があり、南端の麓付近に『動乱の森』がある。
森の南側に『亜人連合国』、その東隣に『益州』、南西を『宋国』、南東に『秦国』があり、その二国を跨って、北に『モンゴル帝国』が存在する。
また、モンゴルの北東に『エジプト』があり、その南側に『魏』がある。
国の面積で言えば、大陸の広さを100として
宋国25・秦国20・モンゴル15・エジプト15・連合10・魏10・益州5の比率である。
現在、楚国と韓国が勢力を拡大しているため、実際の面積よりは狭くなるのだが、それでも大国には変わりない。
そして、亜人連合国の真下には300㎞ほど離れて『日ノ本』があり、現在の日本と同じ形をして存在している。
「パークス大使、もしお分かりなら『日ノ本』の事を教えて頂きたいのですが」
ピットの質問に、パークスは知っていることを話してくれた。
奥からスーツを着た人間2人が椅子に座り、次に軍服を着た隻腕隻眼の竜人、末席に同じくスーツを着た人間が座る。
対して、こちらはピットを先頭に、西郷・桂・大久保・高杉の順で座る。
「初めまして、ピット王」
「私はこの度、大英海龍国の駐日大使として赴任致しました『ハリー・パークス』といいます」
「今日は薩摩・長州の方々と共に、今後の話ができると聞いて伺わせて頂きました」
パークスの言葉を、隣のスーツの男が通訳する。
「すみませんパークス大使、我々が何を言っているかわかりますか?」
大久保のこの言葉に、その場に居合わせたパークスたちは驚く。
「大久保殿、英語が話せたのですか?」
「いえ、それが何故かパークス殿の言葉がわかるようになりまして…」
ざわつく一同。
「あの…ここに居る方たちは、皆共通語として話せると思います」
「これはピット様の進化による『恩恵』が要因かと…」
唯一事情を知っていた末席の男『グラバー』が皆に説明をした。
「そうだったのか!これは助かる!」
大久保と西郷の大喜びを尻目に、高杉がある疑問を桂にぶつける。
「なぁ桂さん、確かこの会談は桂さんが段取りしたはずだよな?」
「何で桂さんは、話せることを知らなかったんだい?」
「…すまない、僕は忙しかったので、殆どを(伊藤)俊輔にやらせていた」
「なるほどな、俊輔は英語が堪能だからな…」
「磯松…」
その言葉にビクッとする桂。
「わかった桂さん、これは貸しだからな」
ちょっとだけばつが悪そうな顔をした桂を横目に、高杉は全てを理解してにやにやとしていた。
「しかし、ピット殿の進化の力はとんでもありませんな!」
「本当に…私の仕事を奪わなでくださいよ!」
驚くパークスと、焦る通訳。
「申し遅れました、私の名前は『アーネスト・サトウ』です」
「主に大使館員の通訳をやっております」
「そして、こちらの竜人の方が…」
ここまでサトウが話すと、ピットが紅茶をすする竜人に質問をする。
「もしかして…ネルソン提督ではないですか?」
その言葉に大英海龍国の3人が驚く。
「ピット王はネルソン提督を御存知なのですか?」
「はい、直接は存じ上げませんが、隻腕に隻眼の海軍将校で有名な方と言えばネルソン提督かと…」
この言葉に唖然とする3人
「フフフ、これは驚いた」
「今回赴任したばかりの、余の名前を知っている者がいるなど思いもしなかったよ」
「あなたは『前世』ではすごく有名な方でしたからね」
「そうか、ピット王は我々と同じく『転生者』だったのですな」
ピットの回答に納得するネルソン。
竜人はすくっと立ち上がり、自己紹介をする。
「大英海龍国の海軍中将を務める『ホレイショウ・ネルソン』だ」
そう言うとネルソンは左手を出して、ピットと握手をする。
「まったく、あなたといい、孔明殿・官兵衛殿といい、森にいた住人たちはとんでもない者たちだらけですな」
「やはり大使は孔明や官兵衛を知っているのですね!」
ピットは嬉しそうに大使に確認する。
「知っているどころではありません」
「今や二人は、長年続いた『大英海龍国』と『トレビアン帝国』の争いを終結させた立役者なのですから!」
「なんと!あの『百年』も続いていた戦争が終結したのですか?」
驚愕する藩の重臣たちに、パークスが『世界地図』を広げ、世界情勢と共に説明する。
「皆様もご存じのとおり、我が国とトレビアン帝国は、休戦期間を幾つか挟みつつも、百年以上戦争を続けておりました」
「また一時期は、現在同盟国でもある『三龍合衆国』とも同時に戦争を行っていたこともあり、国民は疲弊の境地でもありました」
「そんな中、我が国の商人であるグラバーより紹介された孔明殿を賓客として迎え入れ、同じくトレビアン帝国に賓客として迎え入れられている官兵衛殿を通し、『ナポレオン皇帝』と『ジョージ3世』の名のもとに『終戦協定』と『相互共闘同盟』を締結し、『千年帝国』『パスタ帝国』『ジパング帝国』が結成した『魔族同盟』に対抗する『対魔族連合』を呼びかけ、既にいくつかの欧州参加国による武力共闘同盟『NATO(北大西洋条約機構)』が結成されております」
皆が静かに聞く中、更にパークスの話は続く。
「この状況を懸念した『魔族同盟』は、まず『千年帝国』が、オーストリアを併合、現在『レッドスター連邦』に併合されようとしている『エストニア』『ラトビア』『リトアニア』のバルト三国へ『パスタ帝国』と共に軍事支援を行っているようです」
「『ジパング帝国』はいまのところ動きはありません」
皆は地図を見ながら、各勢力の確認を始める。
そしてピットは…自分の国の位置を確認する。
(ここが私たちのいる大陸の位置か…)
ピットたちのいる大陸は、地球の世界地図にある『アフリカ大陸』の位置に存在し、大きさはアフリカ大陸の上半分だけ、形はオーストラリア大陸に似ている。
大陸の中央に大きな山脈があり、南端の麓付近に『動乱の森』がある。
森の南側に『亜人連合国』、その東隣に『益州』、南西を『宋国』、南東に『秦国』があり、その二国を跨って、北に『モンゴル帝国』が存在する。
また、モンゴルの北東に『エジプト』があり、その南側に『魏』がある。
国の面積で言えば、大陸の広さを100として
宋国25・秦国20・モンゴル15・エジプト15・連合10・魏10・益州5の比率である。
現在、楚国と韓国が勢力を拡大しているため、実際の面積よりは狭くなるのだが、それでも大国には変わりない。
そして、亜人連合国の真下には300㎞ほど離れて『日ノ本』があり、現在の日本と同じ形をして存在している。
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ピットの質問に、パークスは知っていることを話してくれた。
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