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群雄進撃編
第155話 島津の若様
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海原を進む一隻の『駆逐艦・イカズチ』。
これは薩摩の国が、『大英海龍国』から購入した、最新鋭の駆逐艦である。
やがてこの艦に一隻の小型艇が取り着く。
その小型艇に縄梯子が下ろされ、数人の武者が登ってきた。
「「「おかえりなさいませ、島津の若様!」」」
「おう、出迎えご苦労!」
船員たちが笑顔で若武者を出迎える。
「豊久!無事に帰ったか!」
嬉しそうに出迎える鎧武者。
「おう義弘の叔父貴!ちゃんと将軍は仕留めてきたぞ!」
「ぬしがしくじるなど思ってはおらんかったが、まさか重傷の上に『狂戦士』まで使ってくるとは、正直驚いたぞ!」
「それほどの武士がおったとか?」
義弘は興味津々に豊久へ質問する。
「ああ!最初はてした事なか奴らばっかじゃったが、将軍自身に、途中で現れたリザードマンとドワーフ、あとおなごの剣士はなかなかじゃった!」
「それと、忍び衣装の男、『半蔵』とか名乗っておったが、あれは『狂戦士』なしで戦ったら危うかったかもしれんのう」
「半蔵?そりゃもしかして、前世で徳川殿に仕えておった『服部半蔵』じゃなかか?」
「たしか『家康公』が血眼になって探しておる家臣の一人じゃぞ?」
「お前にそこまで言わしめる男とは、あの狸親父も必死になるわけじゃ!」
「なるほどな、ありゃおいでもほしか男じゃったからな」
豊久は義弘の言葉に納得した。
「それよりも、こっちの方が大事件じゃ!」
「その将軍の船に、あの『森の争乱』を治めた王様も乗っておったんじゃ!」
豊久は興奮して話す。
「あの猛者と言われた『レッドキャップ』や国士無双の『イワイ』、そして、神算鬼謀の『ナインテール』を全て手中に収めたっちゅうとんでもない王様や!」
「どげな奴かと思って会ってみたら、こいがまた頼りない顔した王様でのう…」
「正直、こんな奴になぜあの癖者どもを扱えるのか、最初はさっぱりわからんやった」
背もたれの無い椅子に座り、背中の治療を受けながら話す豊久。
「じゃっどん、あいつの胸ぐら掴んで目ば見たとき、覚悟を決めつつも、不退転な何かがあいつに宿とった」
「あれは過去に、何か取り返しがつかないものを失くしたことがある目じゃ」
「取り返しがつかないもの?なんじゃそれは?」
義弘の質問に、豊久は笑って答える。
「ハハハ、そんなもん知らんよ!」
「ただ、ここで殺すには惜しいと、俺の『直感』は告げたんじゃ!」
治療を終えた豊久は、すくっと立ち上がる。
「で、こん事は『信長公』に報告していいのか?」
にや付きながら話す義弘に、豊久はにやりと笑いかえす。
「さあ?おいが乗りこんだ船には『将軍』しかおらんかったし、何のことかわからんなあ?」
「がはははは、それでこそわしの甥じゃ!」
「別に信長共に教えてやる義理はないからのう!」
二人は暫く船上で大笑いをした。
「ピット王よ、お前の中に潜んどる闇は一体何じゃ?何があったらそんな悲しい使命感を持った目になる?」
「次に会うときは、おいにそれを教えてほしか」
島津豊久は、再度ピットにあえることを楽しみにしながら、薩摩の国へ帰って行った。
これは薩摩の国が、『大英海龍国』から購入した、最新鋭の駆逐艦である。
やがてこの艦に一隻の小型艇が取り着く。
その小型艇に縄梯子が下ろされ、数人の武者が登ってきた。
「「「おかえりなさいませ、島津の若様!」」」
「おう、出迎えご苦労!」
船員たちが笑顔で若武者を出迎える。
「豊久!無事に帰ったか!」
嬉しそうに出迎える鎧武者。
「おう義弘の叔父貴!ちゃんと将軍は仕留めてきたぞ!」
「ぬしがしくじるなど思ってはおらんかったが、まさか重傷の上に『狂戦士』まで使ってくるとは、正直驚いたぞ!」
「それほどの武士がおったとか?」
義弘は興味津々に豊久へ質問する。
「ああ!最初はてした事なか奴らばっかじゃったが、将軍自身に、途中で現れたリザードマンとドワーフ、あとおなごの剣士はなかなかじゃった!」
「それと、忍び衣装の男、『半蔵』とか名乗っておったが、あれは『狂戦士』なしで戦ったら危うかったかもしれんのう」
「半蔵?そりゃもしかして、前世で徳川殿に仕えておった『服部半蔵』じゃなかか?」
「たしか『家康公』が血眼になって探しておる家臣の一人じゃぞ?」
「お前にそこまで言わしめる男とは、あの狸親父も必死になるわけじゃ!」
「なるほどな、ありゃおいでもほしか男じゃったからな」
豊久は義弘の言葉に納得した。
「それよりも、こっちの方が大事件じゃ!」
「その将軍の船に、あの『森の争乱』を治めた王様も乗っておったんじゃ!」
豊久は興奮して話す。
「あの猛者と言われた『レッドキャップ』や国士無双の『イワイ』、そして、神算鬼謀の『ナインテール』を全て手中に収めたっちゅうとんでもない王様や!」
「どげな奴かと思って会ってみたら、こいがまた頼りない顔した王様でのう…」
「正直、こんな奴になぜあの癖者どもを扱えるのか、最初はさっぱりわからんやった」
背もたれの無い椅子に座り、背中の治療を受けながら話す豊久。
「じゃっどん、あいつの胸ぐら掴んで目ば見たとき、覚悟を決めつつも、不退転な何かがあいつに宿とった」
「あれは過去に、何か取り返しがつかないものを失くしたことがある目じゃ」
「取り返しがつかないもの?なんじゃそれは?」
義弘の質問に、豊久は笑って答える。
「ハハハ、そんなもん知らんよ!」
「ただ、ここで殺すには惜しいと、俺の『直感』は告げたんじゃ!」
治療を終えた豊久は、すくっと立ち上がる。
「で、こん事は『信長公』に報告していいのか?」
にや付きながら話す義弘に、豊久はにやりと笑いかえす。
「さあ?おいが乗りこんだ船には『将軍』しかおらんかったし、何のことかわからんなあ?」
「がはははは、それでこそわしの甥じゃ!」
「別に信長共に教えてやる義理はないからのう!」
二人は暫く船上で大笑いをした。
「ピット王よ、お前の中に潜んどる闇は一体何じゃ?何があったらそんな悲しい使命感を持った目になる?」
「次に会うときは、おいにそれを教えてほしか」
島津豊久は、再度ピットにあえることを楽しみにしながら、薩摩の国へ帰って行った。
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