神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第148話 若黄忠

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黄忠と魏延が兵団を連れて南下している最中、村を捨て難民となった者たちと出会う。

「お前たちはどこから流れてきた?」

「はい、魔族の襲撃を恐れて、ここより少し離れた村から逃げ出してまいりました」

魏延の質問に村長が答えた。

「そうか、我々はその魔族を殲滅するために使わされた部隊だ」

「そうですか!ありがとうございます」

難民たちはこれで帰れると皆喜んだ。

「じつは、この先にあります森の中で、その魔族数千を引き付けて、2人の獣人と竜人が戦ってくれております」

「何だと、二人でか?」

「はい、自分たちは二人で時間を稼ぐから、私たちに逃げろと申してくれたのです」

すまなさそうに答える村長たちに、魏延たちはこのままここで待機しておくように話す。

「黄忠殿、ここはその二人を助太刀せねばなりませぬな」

「文長、よくぞ申した!」
「では若返ったこの体で、早速準備運動と行こうではないか!」

ノリノリの黄忠をみて、昔からこういう人だったのだなと、改めて認識する魏延。

黄忠たちはそのまま西側の橋を渡り、二人が魔物たちと戦っている森へと向かった。

一方、森での戦いはすでに終了しており、東側の橋を渡り終えた。

そして今、『しりゅう』『よくとく』はその魔族兵団と戦闘を繰り広げている。

「やれやれ、俺たち二人じゃちょっと数が多すぎないか?」

「まったくだな!まあしかし、これで村の奴らは無事逃げきれただろう」

二人は話しながらも、常に3人以上の騎兵を同時に相手していた。

「こいつら本当にしつこいな!」

流石の二人でも、2時間以上の戦闘に疲れが出始めていた。

次第にかすり傷が増え、その傷も少しずつ深さを増していく。

「貴様ら亜人共が調子に乗りおって!ここで始末してくれる!」

ククレとジャワが、戦闘中の二人に「挑発」を掛け、この場から逃げられないようにした。

「くそ、ここまでか…」

覚悟を決める二人。

「いいぞ、いいぞ!このまま二人とも戦場の露と消えよ!」

勝利を確信したククレとボンは、二人に「挑発」をかけ続けていた。

突然、後方から怒号と叫び声が上がり始めた。

「がははは!体が軽いぞ!」
「魔族どもよ!貴様らはこの黄忠が全て討ち取ってくれるわ!」

黄忠は大刀を振り回し、単騎で魔族を斬り飛ばしながら突入してきた。

「ヤレヤレ、元気なお方だ」
「よし、我々も続くぞ!」

魏延は号令をかけ、兵団と共に敵前方に突撃を掛けた。

「何だ?どういう事だ!」

二人に夢中になっていたため、後方の状況が掴めずに、魏延の部隊が突入してきた。

「う、うわー!また化け物が襲ってきたー!」

長沙でトラウマになるような攻撃を受けていた魔族兵たちは、その兵の半獣化の姿を見るなり、恐怖と混乱で収拾がつかなくなった。

「何だ?援軍か?」
「何だこいつら?魔族兵が全く相手にならず倒されているぞ?」

驚いた二人に、魏延が話しかける。

「お二人とも、よくぞ楚の民を助けてくれた!礼を言わせてくれ!」
「ここは我らが引き受けるゆえ、魔族共の始末が終わるまで少々待ってくれ」

魏延は二人に拱手し、「挑発」を掛けているククレとジャワに襲い掛かる。

「こんなところで二人並んで魔法をかけているとは、仲良く死にたいらしいな?」
「ま、待ってくれ!」
「俺たちは皆投降する!」

「問答無用!」

魏延の大刀が二人の首を刎ね飛ばした。

「魔族ども!貴様らの副官はこの魏延が倒した!」
「拱手していないものは全て斬り倒すので、あとはお前たちが選べ!」

この言葉を聞き、慌てて武器を捨て降伏する魔族兵たち。

この戦いで魔族兵の生き残りは500を切っていた。

「恐ろしい強さだな、お前たち」

『しりゅう』と『よくとく』は兵団の規格外な強さに畏怖していた。

「いえいえ、あなた方二人も『前世を思い出せば』我々と同等以上の強さになりますぞ?」

「あなた方ふたりの本当の名は、『趙雲子龍(ちょううん・しりゅう)』殿と『張飛翼徳(ちょうひ・よくとく)殿だと思われます」

黄忠と魏延の説明に、二人は驚きつつも信用した。

「もし宜しければ、我々と一緒に江陵へ来て進化を受けてみてはどうじゃ?」

黄忠の申し出に、是非!と答える二人。

黄忠一行は、村民に魔族の討伐と、村へ戻っても安全の旨を伝え、江陵へと戻った。

こうして、昌平君率いる『楚』には、多くの兵と人材が集まり始めた。
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