143 / 317
群雄進撃編
第142話 嵐の前の長沙城
しおりを挟む
孫堅軍が長沙城を奪還して3週間。
魔族の『長沙奪回戦』は、これで3度目になる。
魔族側は、過去に10000と30000で攻め込んだ際は、誰一人として『生還』できていない。
その長沙城はいま、総勢140000の敵に包囲されていた。
3方向を各30000の兵力で陣を敷き、敵司令官『ハウス』率いる本隊に50000の兵力が編成され、前方に5000で分けた陣を、前方に6つ配置し、同じく5000で分けた兵団を本陣左右に配置、本陣に8000で後方に2000の布陣である。
また、本陣には魔法兵1000がおり、常に障壁を何重にも出して、完璧な防御を行っている。
他の3方を、副官の『ボン』『ジャワ』『ククレ』の三将が指揮し、同じく正面に主軸を、
中央に本陣を敷き、魔法兵500に障壁を張らせていた。
対する孫堅軍は、敵本体正面に8000を4つに分けての部隊。
各部隊長の『程普』『韓当』『朱治』『周泰』が各2000の兵団の指揮を執る。
「おい、あれを見ろよ!孫堅の兵士は女が混じっているぞ!」
前面の魔族兵団は、孫堅の兵団に女性が混じっていることを確認すると、大笑いしながら馬鹿にし始めた。
しかし、孫堅の兵団は、そのヤジを意にも介さず、姿勢よく立っている。
城壁では、各方面に500ずつの女性・少年兵が、弓をもって守備する。
長沙城は、まさに四面楚歌の状態である。
そんな中、城壁の上で二人の男が椅子に座り、酒を飲みながら『二胡』の調べを聞き入っていた。
「陸遜、私はこの『二胡』の音色が大好きでね、どんな時でも、この音色を聞くと心落ち着くのだよ」
「そうですね、この悲しい音色は、今から消えていく魔族たちへの『鎮魂歌』に聞こえます」
「陸遜、君も詩人だね」
「恐れ入ります」
二人は静かに杯を置き、奏者に『戰馬奔騰』を奏でさせる。
「この曲は、私たちが死んだ後に創られた曲を、知っていた転生者が教えてくれたのだよ」
「そうでしたか、これはまた心が高揚する良い曲ですね」
「うむ、今度は西洋の楽器なども入れて『オーケストラ』を作ろうと考えている」
「そういえば『ラビット王国』に、『滝廉太郎』と言う音楽家が転生したそうです」
「そうか、是非一度お会いして、いろいろと聞いてみたいものだ」
まるで戦場にそぐわない会話を、周瑜と陸遜は楽しんでいた。
「さてと、魔族の陣立ても終わったし、そろそろ始めるとするか」
二人は席を立ち、空へと舞い上がる。
「ふむ、昨夜は魔族が一生懸命、地面に落書きをしていたようが?」
「その様ですね、どうやら劣勢時には味方ごと吹き飛ばすつもりなのでしょう」
「なるほど、敵の司令官には『優雅さ』が足りないな」
「まったくですね」
敵の陣立てが完了し、長沙への攻撃準備が整ったようだ。
「さてと、では始めるか」
周瑜は上にあげた手を、敵本陣に向けて振り下ろし、攻撃開始の合図を出した。
「ハウスよ、君に一度殺されたもの達の『怒りの攻撃』を受け取りたまえ!」
この言葉を、城壁の上で聞いていた蝉丸と芳一は、各部隊に届いた指示を送る。
魔族の『長沙奪回戦』は、これで3度目になる。
魔族側は、過去に10000と30000で攻め込んだ際は、誰一人として『生還』できていない。
その長沙城はいま、総勢140000の敵に包囲されていた。
3方向を各30000の兵力で陣を敷き、敵司令官『ハウス』率いる本隊に50000の兵力が編成され、前方に5000で分けた陣を、前方に6つ配置し、同じく5000で分けた兵団を本陣左右に配置、本陣に8000で後方に2000の布陣である。
また、本陣には魔法兵1000がおり、常に障壁を何重にも出して、完璧な防御を行っている。
他の3方を、副官の『ボン』『ジャワ』『ククレ』の三将が指揮し、同じく正面に主軸を、
中央に本陣を敷き、魔法兵500に障壁を張らせていた。
対する孫堅軍は、敵本体正面に8000を4つに分けての部隊。
各部隊長の『程普』『韓当』『朱治』『周泰』が各2000の兵団の指揮を執る。
「おい、あれを見ろよ!孫堅の兵士は女が混じっているぞ!」
前面の魔族兵団は、孫堅の兵団に女性が混じっていることを確認すると、大笑いしながら馬鹿にし始めた。
しかし、孫堅の兵団は、そのヤジを意にも介さず、姿勢よく立っている。
城壁では、各方面に500ずつの女性・少年兵が、弓をもって守備する。
長沙城は、まさに四面楚歌の状態である。
そんな中、城壁の上で二人の男が椅子に座り、酒を飲みながら『二胡』の調べを聞き入っていた。
「陸遜、私はこの『二胡』の音色が大好きでね、どんな時でも、この音色を聞くと心落ち着くのだよ」
「そうですね、この悲しい音色は、今から消えていく魔族たちへの『鎮魂歌』に聞こえます」
「陸遜、君も詩人だね」
「恐れ入ります」
二人は静かに杯を置き、奏者に『戰馬奔騰』を奏でさせる。
「この曲は、私たちが死んだ後に創られた曲を、知っていた転生者が教えてくれたのだよ」
「そうでしたか、これはまた心が高揚する良い曲ですね」
「うむ、今度は西洋の楽器なども入れて『オーケストラ』を作ろうと考えている」
「そういえば『ラビット王国』に、『滝廉太郎』と言う音楽家が転生したそうです」
「そうか、是非一度お会いして、いろいろと聞いてみたいものだ」
まるで戦場にそぐわない会話を、周瑜と陸遜は楽しんでいた。
「さてと、魔族の陣立ても終わったし、そろそろ始めるとするか」
二人は席を立ち、空へと舞い上がる。
「ふむ、昨夜は魔族が一生懸命、地面に落書きをしていたようが?」
「その様ですね、どうやら劣勢時には味方ごと吹き飛ばすつもりなのでしょう」
「なるほど、敵の司令官には『優雅さ』が足りないな」
「まったくですね」
敵の陣立てが完了し、長沙への攻撃準備が整ったようだ。
「さてと、では始めるか」
周瑜は上にあげた手を、敵本陣に向けて振り下ろし、攻撃開始の合図を出した。
「ハウスよ、君に一度殺されたもの達の『怒りの攻撃』を受け取りたまえ!」
この言葉を、城壁の上で聞いていた蝉丸と芳一は、各部隊に届いた指示を送る。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる