神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第142話 嵐の前の長沙城

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孫堅軍が長沙城を奪還して3週間。

魔族の『長沙奪回戦』は、これで3度目になる。

魔族側は、過去に10000と30000で攻め込んだ際は、誰一人として『生還』できていない。

その長沙城はいま、総勢140000の敵に包囲されていた。

3方向を各30000の兵力で陣を敷き、敵司令官『ハウス』率いる本隊に50000の兵力が編成され、前方に5000で分けた陣を、前方に6つ配置し、同じく5000で分けた兵団を本陣左右に配置、本陣に8000で後方に2000の布陣である。

また、本陣には魔法兵1000がおり、常に障壁を何重にも出して、完璧な防御を行っている。

他の3方を、副官の『ボン』『ジャワ』『ククレ』の三将が指揮し、同じく正面に主軸を、
中央に本陣を敷き、魔法兵500に障壁を張らせていた。

対する孫堅軍は、敵本体正面に8000を4つに分けての部隊。

各部隊長の『程普』『韓当』『朱治』『周泰』が各2000の兵団の指揮を執る。

「おい、あれを見ろよ!孫堅の兵士は女が混じっているぞ!」

前面の魔族兵団は、孫堅の兵団に女性が混じっていることを確認すると、大笑いしながら馬鹿にし始めた。

しかし、孫堅の兵団は、そのヤジを意にも介さず、姿勢よく立っている。

城壁では、各方面に500ずつの女性・少年兵が、弓をもって守備する。

長沙城は、まさに四面楚歌の状態である。

そんな中、城壁の上で二人の男が椅子に座り、酒を飲みながら『二胡』の調べを聞き入っていた。

「陸遜、私はこの『二胡』の音色が大好きでね、どんな時でも、この音色を聞くと心落ち着くのだよ」

「そうですね、この悲しい音色は、今から消えていく魔族たちへの『鎮魂歌』に聞こえます」

「陸遜、君も詩人だね」

「恐れ入ります」

二人は静かに杯を置き、奏者に『戰馬奔騰』を奏でさせる。

「この曲は、私たちが死んだ後に創られた曲を、知っていた転生者が教えてくれたのだよ」

「そうでしたか、これはまた心が高揚する良い曲ですね」

「うむ、今度は西洋の楽器なども入れて『オーケストラ』を作ろうと考えている」

「そういえば『ラビット王国』に、『滝廉太郎』と言う音楽家が転生したそうです」

「そうか、是非一度お会いして、いろいろと聞いてみたいものだ」

まるで戦場にそぐわない会話を、周瑜と陸遜は楽しんでいた。

「さてと、魔族の陣立ても終わったし、そろそろ始めるとするか」

二人は席を立ち、空へと舞い上がる。

「ふむ、昨夜は魔族が一生懸命、地面に落書きをしていたようが?」

「その様ですね、どうやら劣勢時には味方ごと吹き飛ばすつもりなのでしょう」

「なるほど、敵の司令官には『優雅さエレガンテ』が足りないな」

「まったくですね」

敵の陣立てが完了し、長沙への攻撃準備が整ったようだ。

「さてと、では始めるか」

周瑜は上にあげた手を、敵本陣に向けて振り下ろし、攻撃開始の合図を出した。

「ハウスよ、君に一度殺されたもの達の『怒りの攻撃フリオーゾ』を受け取りたまえ!」

この言葉を、城壁の上で聞いていた蝉丸と芳一は、各部隊に届いた指示を送る。
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