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群雄進撃編
第141話 梁山泊、いわれのない罪を押し付けられるのこと
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「何だこれ?何処かと戦争でもしているのか?」
林冲たちが『二竜山』に到着した頃、『神行太保』は『東昌府』の惨状に驚愕していた。
あちこちから煙が立ち込める城内を歩いていくと、見覚えのある獣人達が救護班の治療を受けていた。
「『小李広』、『双槍将』、『没羽箭』、『花項虎』、『中箭虎』、『金鎗手』!どうしたんだお前たち!」
「いや、敵の襲撃を受けてちょとな…」
『神行太保』は、宋国でも『最強』の部類に属する、好漢たちの状況を見て愕然とした。
「いや、ちょっとな、で済む被害とは思えないのだが…」
入口から数百メートル歩いただけでも、多くの建物が倒壊し、魔族に多数の死傷者が出ているようだった。
「しかし、これだけの要塞とわかっていて奇襲を仕掛けてくるってことは、相当の大部隊だろうな…」
『神行太保』の言葉に、無言になる獣人副官たち。
「これは『梁山泊軍』の仕業だ!」
声のする方を振り返ると、ダブル司令官である防衛指揮官「ポッカ」が震えながら答えた。
「あいつら、上空に『囮部隊』を展開して、我々の注意を引き付けている隙に『全軍』で奇襲を仕掛けてきたのだ!」
「これは間違いなく『托塔天王(たくとうてんのう)』の知恵袋、『智多星(ちたせい)』の策略に違いない!」
なるほど、と頷く副官たち。
実際、最初から上空を見ていた副官は誰もいなかったので、4人で奇襲を仕掛けたと言うよりは、ポッカの言葉の方が、はるかに信ぴょう性があった。
「しかし、とんでもない攻撃でしたな」
「ああ、次から次へと大魔法が飛んできて、あれじゃどうする事も出来なかったからな」
少し考えて、『小李広』がある答えを導き出す。
「まさかとは思うのですが…あの『羅真人』が梁山泊に入山したのではないでしょうか?」
「『羅真人』だと!?あの数多くの術者たちを育て上げた『仙人』だと申すのか?」
『小李広』の推測に驚きを隠せない、防衛指揮官ポッカ。
「だとすると、皆が騒いでいた『金髪の死神』は、彼の一番弟子かもしれないな…」
場にいた者たちは、沈黙する
「それだけじゃありません、一緒にいた3人も、人知を超える強さでした」
「我々全員で挑んだのですが、このざまです」
治療を受ける獣人たちを見て、ポッカはある決断をする。
「これ以上よからぬ噂が出ぬよう、皆この件は口外しないように」
「「はっ!」」
場にいる獣人達も、その場で同意した。
結果として、東京府へは、
『梁山泊軍の囮部隊を使用した全軍の奇襲攻撃にあい、戦死者8000名・負傷15000名の損害を出しつつ、敵に倍以上の被害を与えて撃退した』
と報告された。
「それはそうと、大尉から書簡を預かって参りました」
思い出したように、『神行太保』は書簡を渡す。
ご苦労と言い、書簡を読み始めるポッカ。
「副官たちよ、大尉がお呼びだから、怪我が治り次第、東京府へ赴くように」
そう告げて、ポッカは戦後処理の指示に戻った。
「やれやれ、軍部は人使いが荒いな」
「すまじきものは宮仕えとは、よく言ったものだ」
「しかし、あの女たちはいったい誰だったのだ?」
「生き残った兵の話では、自分たちの事を『ビショップ戦鬼』と名乗っていたようですね」
「ビショップ戦鬼?戦う司教ってことなのか?」
「判らん、謎だらけだ」
こうして、全ての謎が解けず、お呼びの掛かった副官たちは、次の日ケガの治療が終わり東京府へと出立した。
林冲たちが『二竜山』に到着した頃、『神行太保』は『東昌府』の惨状に驚愕していた。
あちこちから煙が立ち込める城内を歩いていくと、見覚えのある獣人達が救護班の治療を受けていた。
「『小李広』、『双槍将』、『没羽箭』、『花項虎』、『中箭虎』、『金鎗手』!どうしたんだお前たち!」
「いや、敵の襲撃を受けてちょとな…」
『神行太保』は、宋国でも『最強』の部類に属する、好漢たちの状況を見て愕然とした。
「いや、ちょっとな、で済む被害とは思えないのだが…」
入口から数百メートル歩いただけでも、多くの建物が倒壊し、魔族に多数の死傷者が出ているようだった。
「しかし、これだけの要塞とわかっていて奇襲を仕掛けてくるってことは、相当の大部隊だろうな…」
『神行太保』の言葉に、無言になる獣人副官たち。
「これは『梁山泊軍』の仕業だ!」
声のする方を振り返ると、ダブル司令官である防衛指揮官「ポッカ」が震えながら答えた。
「あいつら、上空に『囮部隊』を展開して、我々の注意を引き付けている隙に『全軍』で奇襲を仕掛けてきたのだ!」
「これは間違いなく『托塔天王(たくとうてんのう)』の知恵袋、『智多星(ちたせい)』の策略に違いない!」
なるほど、と頷く副官たち。
実際、最初から上空を見ていた副官は誰もいなかったので、4人で奇襲を仕掛けたと言うよりは、ポッカの言葉の方が、はるかに信ぴょう性があった。
「しかし、とんでもない攻撃でしたな」
「ああ、次から次へと大魔法が飛んできて、あれじゃどうする事も出来なかったからな」
少し考えて、『小李広』がある答えを導き出す。
「まさかとは思うのですが…あの『羅真人』が梁山泊に入山したのではないでしょうか?」
「『羅真人』だと!?あの数多くの術者たちを育て上げた『仙人』だと申すのか?」
『小李広』の推測に驚きを隠せない、防衛指揮官ポッカ。
「だとすると、皆が騒いでいた『金髪の死神』は、彼の一番弟子かもしれないな…」
場にいた者たちは、沈黙する
「それだけじゃありません、一緒にいた3人も、人知を超える強さでした」
「我々全員で挑んだのですが、このざまです」
治療を受ける獣人たちを見て、ポッカはある決断をする。
「これ以上よからぬ噂が出ぬよう、皆この件は口外しないように」
「「はっ!」」
場にいる獣人達も、その場で同意した。
結果として、東京府へは、
『梁山泊軍の囮部隊を使用した全軍の奇襲攻撃にあい、戦死者8000名・負傷15000名の損害を出しつつ、敵に倍以上の被害を与えて撃退した』
と報告された。
「それはそうと、大尉から書簡を預かって参りました」
思い出したように、『神行太保』は書簡を渡す。
ご苦労と言い、書簡を読み始めるポッカ。
「副官たちよ、大尉がお呼びだから、怪我が治り次第、東京府へ赴くように」
そう告げて、ポッカは戦後処理の指示に戻った。
「やれやれ、軍部は人使いが荒いな」
「すまじきものは宮仕えとは、よく言ったものだ」
「しかし、あの女たちはいったい誰だったのだ?」
「生き残った兵の話では、自分たちの事を『ビショップ戦鬼』と名乗っていたようですね」
「ビショップ戦鬼?戦う司教ってことなのか?」
「判らん、謎だらけだ」
こうして、全ての謎が解けず、お呼びの掛かった副官たちは、次の日ケガの治療が終わり東京府へと出立した。
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