神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第139話 美少女戦団、東昌府の魔族を大いに苦しめるのこと

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『東昌府』の上空にあった障壁を突破して、突如現れた4人の「美少女戦団」

魔族が何事かと姿を現し、上空を見上げる。

ある程度人数が集まって、ヒロイン物の服装に変身したツキノ達は口上を述べる。

「私の名前は愛と勇気の美少女戦士・ラビット・ツキノ!」
「世界を混乱に陥れる魔族共!」
「私のかわいいピットの為に」
「ツキノが代って正義執行!」

「俺の名前は力と正義の美少女戦士・トモエ!」
「世界で好き勝手に暴れる魔族共!」
「ムカつく貴様らを叩き潰すために」
「トモエが代って正義執行!」

「わたくしの名前は可憐と知性の美少女戦士・コマツ!」
「世界を下品な姿でうろつく魔族共!」
「品のないあなた達を」
「コマツが代って正義執行!」

「僕の名前は孤高と清楚の美少女戦士・ヤエ!」
「世界にわらわらと蔓延る魔族共!」
「群れる事しか能がないお前たちを」
「ヤエが代って正義執行!」

少しの沈黙が流れる『東昌府』。

やがて、魔族が大爆笑を始めた。

「ぎゃははは!お前ら頭大丈夫か?」
「おいおまえら、そんなことはいいから俺らの酒の灼をしろ!」
「だいたいなんだ?その服装は?」
「ブス!」

暫くの間、笑い続ける魔族を見下ろす4人。

「へ~そんなに早く転生したいんだ?」

ツキノは言葉と同時に右手を挙げ、各戦士は散開する。

「ラビット・インフェルノ!」

言葉と同時に6つの魔石をはめ込んだステッキーの一つが輝き、魔族がいる地面が噴火し、溶岩に包まれる!

叫びと共に、次々と焼け溶けていく魔族兵たち。

ツキノはこれを連続して唱える。

「ラビット・インフェルノ!」

唱えるたびに、あちこちで魔族の叫び声がこだまする。

「これ、あきた!」

そう言うとツキノは次の言葉を詠唱する。

「ラビット・ストーム!」
「ラビット・ストーム!」

この言葉で大きな竜巻が複数発生し、魔族を巻き上げ、建物を壊しながら、火災の範囲を広げる。

普通の魔法使いなら、このような大魔法を連続して出したら、魔力が尽きて動けなくなるのだが、ツキノの魔力は規格外すぎて、ファイヤーボールを撃つ感覚で大魔法を使っても、ちょっと疲れたかな?くらいにしか感じていない。

おもむろにツキノは、イネさんにもらった魔力回復(小)の小瓶をひと飲みする。

「よーし、魔力が回復したー!」

「ラビット・ライトニング!」
「ラビット・ライトニング!」

今度は城内一帯に巨大な雷を落とし始めた。

悲鳴と叫び声がこだまする城内。

突然、十本の矢と石礫(いしつぶて)がツキノに迫ってきた。

「「危ない!」」

トモエとコマツが薙刀ですべてを叩き落とした。

「し、信じられん!」
「この私の矢を全て叩き落すとは!」

「俺だって信じられんぞ!」
「今まで数多くの好漢どもを倒してきた石礫を跳ね返してくるとは!」

『小李広』と『没羽箭』は、生れてはじめて、自分のスキルを防がれたことに、驚きを隠せない。

「パーン!」

遠くから聞こえた音と共に、『小李広』は肩を抑える。

「うぐっ、この私が狙撃されただと?何処からだ?」

この段階で、『小李広』は完全に戦闘不能となった。

銃声と共に物陰に隠れた『没羽箭』。

しかし、次の銃声で左腕を撃ち抜かれた。

「ぐっ、隠れているのに正確に狙撃されている?」

これで『小李広』同様、『没羽箭』も戦闘不能となってしまった。

上空では、高速移動しながら狙撃する八重の姿があった。

移動速度が速いために、魔族が下から魔法を撃ち込んでも全く当たらない。

しかも、背中に背負った『ランドセル』から、魔力をライフルに随時供給しているため、腰袋にいれた『石』を装填するだけで、次々と『射撃』が可能になっている。

「あの二人、なかなかいい腕をしていたな」

ヤエは感心しつつも、次々と魔族たちを狙撃していった。

上空では、ツキノが飽きて?一休みを始めると、トモエとコマツが同時に地上へ斬り込んでいく。

地上にいた魔族兵や魔族将軍が一斉に2人へ襲い掛かる。

「コマツ・スラッシュ!」

コマツは真空斬りに名前を付けて魔族たちを斬り払う。

「トモエ・インパクト!」

トモエの気合に、付近の魔族が吹き飛ばされた。

この戦いの場に、獣人の副官たちが次々と名乗りを上げて襲い掛かってくる。

「我が名は『双槍将』!そこの女戦士、我が一騎打ちを受けられよ!」

「おう!その他も纏めてかかってこい!」

「「何を小癪な!」」

「トモエさんだけずるいですわ!私も混ぜさせてもらいます!」

次々と襲ってくる剣や槍を、薙刀で全てはじき返し、トモエは『花項虎』の腹を蹴り飛ばし、薙刀を捨てて、『中箭虎』の顔面を思いきり殴り抜け、戦闘不能にした。

「なんて女だ…」

『双槍将』は思わず呟く。

トモエは指をポキポキならしながら『双槍将』に近づく。

「やっぱ喧嘩が一番楽しいわ!」

キラキラした目で『双槍将』に殴りかかっていくトモエを尻目に、コマツは舞うように、鈎の突いた槍の使い手、『金鎗手』と矛を交える。

「美しい…」

コマツの舞うように戦う姿に、見とれつつ応戦する『金鎗手』。

「隙あり!」

コマツは一瞬のスキを突き、薙刀の柄の部分で『金鎗手』の玉を突き、一撃で戦闘不能にさせた。

「私の一刺しのお味は如何でしたか?」

コマツは倒れこんだ『金鎗手』の隣で高笑いを始めた。

トモエと双槍の使い手、『双槍将』の戦いも佳境を迎える。

左右の槍でフェイントを入れつ、トモエを突いてくるが、トモエには全く通じない。

「あんたさ、槍を突くほんの一瞬だけ、僅かに突く方の肩が震えるんだよ!」

「何だと!?」

普通の人間や亜人には見えない動きが、昆虫の触覚にはそれが伝わるのである。

次の瞬間、トモエは『双槍将』の懐に飛び込み、体を密着させる。

「貼山靠(てんざんこう)!」

瞬間、『双槍将』は吹き飛ばされ壁に激突、そのまま気を失ってしまった。

「いい戦いだったぜ!」

気を失った『双槍将』の横で、トモエは一礼した。

『美少女戦団』が攻撃を開始して10分、防衛指揮官『ポッカ』の指示により、虚を突かれた魔族はあちこちで体勢を立て直し始めた。

「みんなー上がるよー!」

退却準備が終わり、ツキノが決め台詞を言う。

「ジャスティス執行!この世に悪は栄えない!」

こうして、ツキノ達率いる「美少女戦団」は、敵地で鮮烈なデビュー戦を果たした。
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