神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第138話 ツキノ、東昌府の攻撃を企むのこと。

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宋国、『東昌府』。

この要塞には『梁山泊軍』を抑えるために、多くの兵団が詰めている。

攻撃指揮官「ペプシ」に防衛指揮官「ポッカ」、のダブル指揮官体制を置き、兵団も100,000を超える大所帯だ。

獣人副官も『小李広(しょうりこう)』を筆頭に『双槍将(そうそうしょう)』『没羽箭(ぼつうせん)』『花項虎(かこうこ)』『中箭虎(ちゅうせんこ)』『金鎗手(きんそうしゅ)』など相当のメンツで、名無しの魔族将軍も多数いる。

このような軍事要塞に、攻め込んでくる敵など1時間前まではいなかった。

そして今、この都市が大惨事に見舞われている。

「う、うわー!」
「ぎゃー!」
「ま、魔法兵をこっちに回してくれー!」
「だ、だめだ!魔法が間に合わ…ぎゃー!」
「だれか!あの『金髪の死神』を何とかしてくれ!」

「司令官、お逃げください!」
「ここはもう持ちません!」
「なんで…ここは我が宋国の主力部隊で固めているはずなのに…」
司令官は呆然とするしかなかった。

この惨事の1時間前に戻る。

妻を迎えに行くため、豹の姿になって颯爽と走る4頭。

その上には女の子4人が乗っている。

「あの、ツキノ様」

「ん、なに?」

「ツキノ様は飛べますよね?」

「うん、風に乗って飛べるよ?」

「あの…申し上げにくいのですが…飛んだ方が速くないですか?」

「ん、なんで?」

「…いや、なんでもないです」

「ははは、林ちゃんヘンなのー」

他の3人は申し訳なさそうに乗っているが、3頭は上機嫌だ。

やがて、山を登る際に、ある城が遠目に見えてくる。

「ねー林ちゃん、あれなんて城?」

「あれは『東昌府』と言う要塞でして、付近にある反乱軍のアジトを牽制するために多くの魔族が詰めております」

「えー、それじゃあ、この山の山賊たちがいなくなったら、この辺の山賊ヤバイよね?」

林冲はものすごく嫌な予感がした。

「あれ、やっちゃおう!」

「「「はい?」」」

林冲を除く6人が一斉に返事をした。

やっぱりか、と思った林冲は、一応『東昌府』の説明をする。

「私の知る限り、あの城の兵力は100,000を超えます」
「あのようなところを、やばいから潰すと言って攻めるものなど、普通におりません」

激しく同意する6人。

「じゃあ、ちょっとだけ!」
「うちら攻撃したら危ないよーって挨拶だけしよう!」

林冲は判っていた。

ツキノは、新結成した「美少女戦団」をお披露目したい『だけ』だという事を。

こうなったら聞きはしないと判っている林冲は、ツキノにある『約束』をお願いする。

「判りました、では、10分間だけの『ステージ』で許可しましょう」

「やったー!みんな、派手にデビューするわよ!」

もはやツキノにとって、魔族との戦場は自分たちの為にある『ステージ』なのである。

それでは作戦を…と話す林冲の背から、ツキノは飛び立つ。

「美少女戦団、とつげきー!」

他の3人も、ため息交じりに飛び立った。

飛んでいく4人を呆然と見送る4人。

「おい林冲、あのまま行かせていいのか?」

「いかん!全員『東昌府』に向かうぞ!」

楊志の言葉に、林冲は慌てて皆に指示を出し走り出した。
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