神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第137話 林冲たち、妻や仲間たちを迎えに行くのこと

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宋国内にあった都市、建康府。

現在、この都市は韓信が治め、丞相・張良の念願でもあった『韓』を復活させていた。

「韓王、私の念願であった『韓』を復活していただきましてありがとうございます」

頭を下げる張良に、韓信は笑みを浮かべて答える。

「丞相、頭を上げてください」
「本来であれば、項羽殿が解放を行っている『秦』領地の韓領こそが正当な地なのでしょうが、我らは改めてこの地で『韓』を名乗り、共に新たな歴史を作って参りましょう」

肩を叩いて励ます韓信の言葉に、張良は涙を流して感謝した。

「韓王、丞相、ただいま戻りました」

政務室に入ってきた、林冲・楊志・秦明・黄信は、挨拶と共に報告を行う。

「丞相の指示通り、『掲陽鎮(けいようちん)』の城を、魔族より奪回致しました」

「ご苦労様でした、無事に攻略できたようですね」

張良の言葉に、4人は誇張することなく報告する。

「まぁ、魔族貴族数名と魔族兵5000名程度が抵抗したようですが、補給路を断たれたうえに、宋民が隆起した事で、我らが到着した時には、魔族はすでに降伏しておりました」

なんとも拍子抜けな終了に、4人とも不完全燃焼の状態で帰ってきていた。

「失礼します」

その言葉と共に扉が開き、次は樊瑞・李俊・『童威(どうい)』『童猛(どうもう)』とが入ってきた。

『童威(どうい)』と『童猛(どうもう)』は、李俊の弟分で、兄貴分である李俊が韓信に付いた為、一緒に仲間となっていた。

「丞相の指示通り、『望江(ぼうこう)』の城を、魔族より取り戻してまいりました」

此方も、住民の隆起により、望江に到着した時には、魔族たちが捕らえられていた。

「ふむ、予定より早く攻略が終了いたしましたな」

張良の言葉に、韓王がそう言えばと口を開く。

「林冲と樊瑞に良い知らせがあったのでした!」
「林冲の奥様だが、現在『二竜山』の盗賊たちが、彼女を匿ってくれているようです」

「盗賊が?」

不安そうな顔の林冲だが、韓王の次の言葉に歓喜する。

「確か『花和尚』と名乗る虎の獣人が、同じ虎の友人の『行者』が立て籠もる『二竜山』に助けを求めたようですね」

「『花和尚』と『行者』がいるのですか!」

林冲のこの言葉に、他の梁山泊のメンバーも大喜びだ。

「なんだあいつら、前世と同じ山でまた山賊やってるのか!」
「あいつら、生まれ変わるたびに二竜山で山賊やってるんじゃないのか?」
「もはや和尚とか行者の渾名はやめて、「山賊A・B(2週目)」とかの方がいいんじゃねえか!」
「「「ワハハハハッ」」」

どうやら転生者世界は、最初に前世を思い出した方が、後に思い出すより、いろいろな意味で『有利』のようである。

「お楽しみのところ悪いのですが…」

張良の言葉に、姿勢を正す梁山泊メンバー。

「『芒碭山(ぼうとうざん)』にも、樊瑞殿が探すお二方も見つかりました」

「本当ですか!」

張良の言葉に、食いつき気味に返事をする樊瑞。

「はい、彼らも『山賊A・B(2週目)』をやってらっしゃるようで」

ここで、皆また爆笑する。

「そうか、『八臂哪吒(はっぴなた)』『飛天大聖(ひてんたいせい)』もこちらに転生しておったか」

爆笑し終えた樊瑞は、しみじみと答える。

「どうやら『二竜山』の2人が虎の獣人、『芒碭山』の二人が狼の獣人のようです」
「今ならば戦況も落ち着いておりますし、皆さんでお迎えに行ったらどうですか?」

張良のこの言葉に歓喜した梁山泊メンバーは、
林冲・楊志・秦明・黄信の『二竜山』チームと、
樊瑞・李俊・童威・童猛の『芒碭山』チームに分かれた。

ふいに樊瑞が問題に気づく。

「こっちは狼なので、俺が進化させればいいからよいが、林冲の方はどうするのだ?」

(あっ、こいつ言いやがった)

そう思った林冲。

実は、最初からその事に気付いていたが、あえて言わなかったのだ。

なぜなら…

「おやおや~?林ちゃん、それはお困りですね~」

今まで、巴たちのネイルの手入れをしてあげていた、金髪の悪魔が目を光らせた。

「いえいえ、まったく心配には及びません!」
「『花和尚』は、獣人の私を知っておりますし、何の問題もありませんので」

焦る林冲を横目に、ツキノは韓信に訪ねる。

「ねえねえ、韓信ちゃん、私も林ちゃんに着いていっていい?」

王と『ちゃん』付けで話せるのは、世界広しと言えど、彼女くらいしかいない。

いやいやと首を振る林冲を横目に、韓信が満面の笑みで答える。

「そうですか、気をつけて行ってくるのですよ『ツッキー』」

「やったーみんな宜しくね!」

「こちらこそ宜しくお願いします!」

大喜びのツキノと、一緒に喜んでいる楊志と秦明。

対照的に沈む林冲・巴・小松・八重。

「あぁ…何事もなく無事に帰ってこられたらよいのだが…」

林冲が軽くフラグを立てて、次の日2チームは出立した。
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