神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第127話 長沙の悲劇

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長沙城を守る司令官『ハウス』。副官は魔族将軍2人で兵力は8000。

規模は荊州城とほぼ変わらず、圧政に苦しめられる30000の領民が暮らしていた。

郢が陥落して三日、この城に最大の危機が訪れていた。

「報告します、ただいま城門に『プリンス』『キャン』『プリンセス』の三将が助けを求めに参りました!」

「どういう事だ?まあ良い、早く城内に入れろ」

城内に入ってきた三将、全兵数は1000にも満たない。

「ハウス司令官、我々を匿っていただきましてありがとうございます」

実は長沙の司令官ハウスと、郢の司令官エスビーの二人は犬猿の仲である。

「ふむ、で、郢で何があった?」

三人は戸惑う中、プリンスが説明を始める。

「現在武陵では多くの反乱が発生しており、今回も我々が三つの反乱鎮圧に向かっていた隙に、副官3名がクーデターを起こし、勝手に『楚』を名乗り始めました」
「その話を聞いた我ら討伐部隊は、郢のクーデターを鎮圧すべく、付近で合流しようとしたのですが…」

そこまで聞いてハウスは三人を笑いだす。

「つまり…お前らはクーデター軍に各個撃破を食らったのだな?」

ハウスの言葉に反論できず下を向く三人。

「ところで…君たちはなぜ、無事此処まで辿り着くことができたのかね?」

「それは…」

ここまで話して黙る3人に、ハウスは優しく声を掛ける。

「そう気にするな」
「明日から忙しくなるから力を貸してくれ!」

「「「かたじけなく存じます!」」」

3人は頭を下げて退出した。

エスビーの副官たちが退出後、自身の副官を呼び寄せる。

「お前たち、今夜例の策を執り行う」
「エスビーの3馬鹿副官がわざわざ敵をこちらにおびき寄せおったからな」

二人の副官は顔を見合わせる。

「わからんのか?あいつ等だけがおめおめ生き延びて帰ってこれるわけなかろう?」
「敗残兵に紛れ込んで、すでに反乱軍が場内に入っておるだろうて…」

「では…その者達と一緒に巻き込んで?」

「そうだ、だからお前たちは魔族兵を全員城外に出しておけ!」

「「はっ!」」

返事をし、魔族将軍は退出した。

「やはり腹心の『ボン』たちを連れてきておくべきだったな」

そう話した司令官ハウスは城壁へと向かった。

日が沈み、城壁に立った司令官ハウスは、背に翼を生やし宙へと舞い上がる。

「偉大なる我が神『檮杌(とうこつ)』様!」
「今宵はあなた様の為に多くの贄を用意致しました!」
「代わりに我に力を与えてください!」

ハウスの言葉が終わると同時に、城内の地面にあった魔法陣が発動した。

城の内部を覆う黒い霧。

霧の中からは、悲鳴や怨嗟の声が城全体から聞こえてくる。

やがて霧は晴れ、長沙の城内に息をするものは何もいなくなった。
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