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群雄進撃編
第119話 韓信の兵法
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建康府へ入城した韓信軍。
荊州城の時とは違い、領民全てが韓信を歓喜で迎え入れる。
「国士無双・韓信様万歳!!」
「国士無双・韓信様万歳!!」
領民の言葉に手を挙げて答える韓信たち。
もはや韓信はこの国の民を救った「新たな国王」なのである。
政務局へ入ると、韓信は戸籍書・農地書・商業施設書・地図・法律書等の確認を行う。
「丞相・軍師よ、宝の山ですよ、これは!」
「これだけ書類が完備されておれば、この後の統治も楽でございますな」
「図書室の方にも多くの兵法書や魔導書・天文学の書類が置いてありました」
「あとからゆっくりと確認を行いましょう」
韓信たちは堪え切れない喜びを一旦抑え、皆が集まる会議室へと向かう。
会議室では長いテーブルの椅子に皆が座って待っており、韓信が入ってくると一同起立し挙手を取る。
韓信は軽く手を挙げ、それを合図に皆着席をする。
まずは皆の活躍に礼を言う韓信。
「この度は皆の力のお陰で、無事荊州一帯を開放することに成功しました」
「中央軍に対峙した百地殿・林冲殿・彭越殿・黥布・樊噲は見事敵の殲滅に努めて頂き感謝致す」
「また、頂上の大穴と伏兵用の隠し穴を作ってくれた、清正殿とその部下たちのお陰で中央軍殲滅が実現できました」
「信州を相手して下さった章邯殿・司馬欣殿・董翳殿・章平殿の皆様、杭州を担当した曹参(そうしん)、灌嬰(かんえい)、樊瑞殿」
「あなた達のお陰で、殆どの宋兵を家族の下に帰すことができ、結果我々の宋国での評判を上げる事が出来ました」
「そしてこの作戦の肝である、7城落としをやってのけた蕭譲(しょうじょう)殿、金大堅(きんたいけん)殿。カワウソの獣人達である混江龍(こんこうりゅう)殿、船火児(せんかじ)殿、浪裏白跳(ろうりはくちょう)殿、没遮攔(ぼっしゃらん)殿、そして彼らを仲間に引き入れた蜂須賀殿と百地伊賀衆の活躍はお見事の一言でした」
韓信以下、張良・蕭何・李左車は皆に礼を言った。
「それでさー、私どんなミラクルやったか分からないので、韓信さんの作戦をもう一回教えてよ!」
ツキノはニコニコしながら韓信に今回の作戦を聞いた。
「そんなに大それた事はやっていないのですが…」と韓信は今作戦の顛末を話した。
韓信は荊州城に入ると、先ず近隣の地形を調べあげた。
各城から荊州城までのルート・各城までの距離と時間・伏兵を置くに適した場所。
次に敵戦力の確認。
それと同時に近辺で反乱を起こしている勢力も調査する。
この調査で分かったことは、
【敵の勢力】
○杭州・信州から荊州城は40㎞ほどで平地が多い。
○建康府から荊州城までは60㎞、中間にある600m程の山が伏兵に適している
○出兵数は魔族兵30000・宋の徴兵30000の計60000。
○荊州城攻略に重点を置く為、守備兵は最小限数の配置。
○魔族の司令官は全員ネームド、副官は渾名のみ、魔族将軍は名前なし。
○魔族の司令官達は上に媚びを売り、下を酷使するタイプ。
○司令官と獣人副官の関係はうまくいっていない。
【反乱軍の勢力】
○各地の反乱軍は元宋兵や元領民の集まり。
○反乱軍は4グループあり、混江龍・船火児・浪裏白跳・没遮攔が各反乱軍の顔(リーダー)役。
○反乱軍の兵力は各1000程度
○魔族軍に城を追われ、魔族全てを恨んでいる。
○城に戻り家族に会いたいものが多い。
この部分を念頭に置き、韓信たちは戦略を立て始める。
まず、張良と蜂須賀衆で各顔役との交渉を開始する。
反乱軍の要求として
○元宋兵たちを家族のいる城へ戻らせる。
○顔役たちも元の城に戻り、魔族共の侵攻前の生活に戻る。
○戻る元宋兵たちに少しでも良いので協力の報酬を渡してほしい。
上記の条件を全て了承し、協力関係を結んだ。
次に城の攻城方法であるが、各城にはすでに百地の伊賀衆を全て侵入させており、内部の反乱分子と打ち合わせを行っていた。
そしてツキノと合流。
ここで、以前から荊州城に文官として勤めていた、ハクビシンの獣人『聖手書生』『玉臂匠』という二人の転生者を発見し、進化したのが蕭譲と金大堅である。
この二人の特技は「一度見た字を再現する」と「一度見た印を作成できる」である。
それと同時期に、禁軍総司令・童貫の使者を取り押さえ(こちらは伊賀衆に建康府の道路を見張らせていた)、童貫の字を真似て「建康府に魔族兵を集結させ、短期間にて荊州城を攻略」とした偽書簡を敵指令コカに渡していたのだ。
童貫の文体で書かれた偽の作戦指示書を本物と判断したコカは、健康府よりの出撃を決定する。
更に敵密偵を逆手に取り、ピットと項羽から借り受けていた兵15000をそのまま城へ配置し、こちらは何も行っていない姿を見せておき、自身の兵団は山のあちこちに罠を仕掛けまくっていたのである。
その後、韓信たちの策に踊らされてしまった結果、コカは城と兵団全てを失ってしまうことになる。
「信州城・建康府・杭州城、蘇州城・揚州城・洪州城・江州城は今後の戦略上とても重要な拠点となってまいります」
「まずはこの度手に入れた領地で治世を行い、時機を見て建康府より北上を狙っていく方針です」
韓信の方針に皆賛同する。
荊州城の時とは違い、領民全てが韓信を歓喜で迎え入れる。
「国士無双・韓信様万歳!!」
「国士無双・韓信様万歳!!」
領民の言葉に手を挙げて答える韓信たち。
もはや韓信はこの国の民を救った「新たな国王」なのである。
政務局へ入ると、韓信は戸籍書・農地書・商業施設書・地図・法律書等の確認を行う。
「丞相・軍師よ、宝の山ですよ、これは!」
「これだけ書類が完備されておれば、この後の統治も楽でございますな」
「図書室の方にも多くの兵法書や魔導書・天文学の書類が置いてありました」
「あとからゆっくりと確認を行いましょう」
韓信たちは堪え切れない喜びを一旦抑え、皆が集まる会議室へと向かう。
会議室では長いテーブルの椅子に皆が座って待っており、韓信が入ってくると一同起立し挙手を取る。
韓信は軽く手を挙げ、それを合図に皆着席をする。
まずは皆の活躍に礼を言う韓信。
「この度は皆の力のお陰で、無事荊州一帯を開放することに成功しました」
「中央軍に対峙した百地殿・林冲殿・彭越殿・黥布・樊噲は見事敵の殲滅に努めて頂き感謝致す」
「また、頂上の大穴と伏兵用の隠し穴を作ってくれた、清正殿とその部下たちのお陰で中央軍殲滅が実現できました」
「信州を相手して下さった章邯殿・司馬欣殿・董翳殿・章平殿の皆様、杭州を担当した曹参(そうしん)、灌嬰(かんえい)、樊瑞殿」
「あなた達のお陰で、殆どの宋兵を家族の下に帰すことができ、結果我々の宋国での評判を上げる事が出来ました」
「そしてこの作戦の肝である、7城落としをやってのけた蕭譲(しょうじょう)殿、金大堅(きんたいけん)殿。カワウソの獣人達である混江龍(こんこうりゅう)殿、船火児(せんかじ)殿、浪裏白跳(ろうりはくちょう)殿、没遮攔(ぼっしゃらん)殿、そして彼らを仲間に引き入れた蜂須賀殿と百地伊賀衆の活躍はお見事の一言でした」
韓信以下、張良・蕭何・李左車は皆に礼を言った。
「それでさー、私どんなミラクルやったか分からないので、韓信さんの作戦をもう一回教えてよ!」
ツキノはニコニコしながら韓信に今回の作戦を聞いた。
「そんなに大それた事はやっていないのですが…」と韓信は今作戦の顛末を話した。
韓信は荊州城に入ると、先ず近隣の地形を調べあげた。
各城から荊州城までのルート・各城までの距離と時間・伏兵を置くに適した場所。
次に敵戦力の確認。
それと同時に近辺で反乱を起こしている勢力も調査する。
この調査で分かったことは、
【敵の勢力】
○杭州・信州から荊州城は40㎞ほどで平地が多い。
○建康府から荊州城までは60㎞、中間にある600m程の山が伏兵に適している
○出兵数は魔族兵30000・宋の徴兵30000の計60000。
○荊州城攻略に重点を置く為、守備兵は最小限数の配置。
○魔族の司令官は全員ネームド、副官は渾名のみ、魔族将軍は名前なし。
○魔族の司令官達は上に媚びを売り、下を酷使するタイプ。
○司令官と獣人副官の関係はうまくいっていない。
【反乱軍の勢力】
○各地の反乱軍は元宋兵や元領民の集まり。
○反乱軍は4グループあり、混江龍・船火児・浪裏白跳・没遮攔が各反乱軍の顔(リーダー)役。
○反乱軍の兵力は各1000程度
○魔族軍に城を追われ、魔族全てを恨んでいる。
○城に戻り家族に会いたいものが多い。
この部分を念頭に置き、韓信たちは戦略を立て始める。
まず、張良と蜂須賀衆で各顔役との交渉を開始する。
反乱軍の要求として
○元宋兵たちを家族のいる城へ戻らせる。
○顔役たちも元の城に戻り、魔族共の侵攻前の生活に戻る。
○戻る元宋兵たちに少しでも良いので協力の報酬を渡してほしい。
上記の条件を全て了承し、協力関係を結んだ。
次に城の攻城方法であるが、各城にはすでに百地の伊賀衆を全て侵入させており、内部の反乱分子と打ち合わせを行っていた。
そしてツキノと合流。
ここで、以前から荊州城に文官として勤めていた、ハクビシンの獣人『聖手書生』『玉臂匠』という二人の転生者を発見し、進化したのが蕭譲と金大堅である。
この二人の特技は「一度見た字を再現する」と「一度見た印を作成できる」である。
それと同時期に、禁軍総司令・童貫の使者を取り押さえ(こちらは伊賀衆に建康府の道路を見張らせていた)、童貫の字を真似て「建康府に魔族兵を集結させ、短期間にて荊州城を攻略」とした偽書簡を敵指令コカに渡していたのだ。
童貫の文体で書かれた偽の作戦指示書を本物と判断したコカは、健康府よりの出撃を決定する。
更に敵密偵を逆手に取り、ピットと項羽から借り受けていた兵15000をそのまま城へ配置し、こちらは何も行っていない姿を見せておき、自身の兵団は山のあちこちに罠を仕掛けまくっていたのである。
その後、韓信たちの策に踊らされてしまった結果、コカは城と兵団全てを失ってしまうことになる。
「信州城・建康府・杭州城、蘇州城・揚州城・洪州城・江州城は今後の戦略上とても重要な拠点となってまいります」
「まずはこの度手に入れた領地で治世を行い、時機を見て建康府より北上を狙っていく方針です」
韓信の方針に皆賛同する。
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