118 / 317
群雄進撃編
第117話 中央軍の敗北
しおりを挟む
司令官のコカは混乱の境地にあった。
「荊州城の兵団は籠城戦の準備を行っている」
これが建康府を出陣した時に聞いた最後の報告だった。
コカにとって、荊州城での攻城戦をいかに早く終わらせるかが問題であり、途中で敵が30000の大軍に襲い掛かってくることなど想定していなかったのである。
そして今、山頂は敵襲を受けて大混乱となってしまった。
前方では穴に落ちた騎兵たちが焼かれ悲鳴を上げる。
後方では火の手が上がり、戦闘が行われているのか怒号と悲鳴が入り混じっている。
先ほどまで隊長たちに指示を与えていた青面獣は、敵将と思われる獣人と一騎打ちを始めてしまっていた。
「司令官殿!我々はどのように敵と対峙すればよろしいのでしょうか?」
「司令官殿!穴から敵兵と思われる兵団がこちらに向かってきております、ご指示を!」
「「司令官殿!」」
指揮系統を失った魔族兵たちは、司令官に指示を仰ぐが、敵どころか味方の状況すら把握できていないコカに、この場を指揮するのは不可能であった。
「お前たちは近くにいる敵兵を倒していけ!」
「俺は上空へ飛び状況を確認する!」
簡単な指示を出し、コカは背中からコウモリのような翼を出して一気に上空へ飛び立った。
ある程度の上空まで上がり見下ろすと、その惨状が一面に広がった。
山頂付近に大きく空いた穴、長い隊列からはあちこちから火の手が上り、隊列の後方は敵兵団により魔族兵が次々と斬り倒されている。
「何故だ…如何してこうなった?」
愕然と呟くコカに、誰かが後ろから声を掛ける。
「どうしてこうなった?成る様にして成っただけの話だ」
振り返るとそこには、黒装束の男が羽を出して宙に浮いていた。
「誰だ、貴様は!」
コカは焦って男に聞くと、男は笑って答えた。
「俺の名か?俺の名前は百地丹波、伊賀衆の頭領だ」
「敵か味方かは聞かなくてもわかるだろう?」
百地からただならない殺気を感じ取ったコカは、脱兎の如くその場を逃げ出した。
「やれやれ、次は鬼ごっこか…」
そう呟いた百地は、足元に小さな竜巻を発生させ、羽を収納するとその竜巻に片足を乗せ、コカの方へ一気に跳躍した。
急いで逃げるコカの背中に突然激痛が走り、前方へ吹き飛ばされた。
振り向き背中を確認すると、男の頭が自分の背にめり込んでいる。
「一体どこに行こうとしているのだ?」
百地の頭が背中から離れた瞬間、コカは血を吐きながら地上に落ちようとするが何とか耐える。
「貴様ら…いったい何者なのだ…?」
弱弱しく質問するコカに百地は答える。
「そうだな…お前ら魔族が世界を乱すのでそれを正しにきた者…とでも答えておこうか」
馬鹿な…と答えてコカは気を失う。
百地はチョーカーに付いた魔石を使い、コカを拘束する。
「魔族どもよ、よく聞け!」
「貴様らの司令官と副官、及び将軍共はすべて片付けた!」
「おとなしく投降すればよし!抵抗するものは皆殺しとする!」
上空から見え聞こえする百地の言葉と司令官の状況に、中央軍の魔族たちは戦意を失い全て投降した。
「荊州城の兵団は籠城戦の準備を行っている」
これが建康府を出陣した時に聞いた最後の報告だった。
コカにとって、荊州城での攻城戦をいかに早く終わらせるかが問題であり、途中で敵が30000の大軍に襲い掛かってくることなど想定していなかったのである。
そして今、山頂は敵襲を受けて大混乱となってしまった。
前方では穴に落ちた騎兵たちが焼かれ悲鳴を上げる。
後方では火の手が上がり、戦闘が行われているのか怒号と悲鳴が入り混じっている。
先ほどまで隊長たちに指示を与えていた青面獣は、敵将と思われる獣人と一騎打ちを始めてしまっていた。
「司令官殿!我々はどのように敵と対峙すればよろしいのでしょうか?」
「司令官殿!穴から敵兵と思われる兵団がこちらに向かってきております、ご指示を!」
「「司令官殿!」」
指揮系統を失った魔族兵たちは、司令官に指示を仰ぐが、敵どころか味方の状況すら把握できていないコカに、この場を指揮するのは不可能であった。
「お前たちは近くにいる敵兵を倒していけ!」
「俺は上空へ飛び状況を確認する!」
簡単な指示を出し、コカは背中からコウモリのような翼を出して一気に上空へ飛び立った。
ある程度の上空まで上がり見下ろすと、その惨状が一面に広がった。
山頂付近に大きく空いた穴、長い隊列からはあちこちから火の手が上り、隊列の後方は敵兵団により魔族兵が次々と斬り倒されている。
「何故だ…如何してこうなった?」
愕然と呟くコカに、誰かが後ろから声を掛ける。
「どうしてこうなった?成る様にして成っただけの話だ」
振り返るとそこには、黒装束の男が羽を出して宙に浮いていた。
「誰だ、貴様は!」
コカは焦って男に聞くと、男は笑って答えた。
「俺の名か?俺の名前は百地丹波、伊賀衆の頭領だ」
「敵か味方かは聞かなくてもわかるだろう?」
百地からただならない殺気を感じ取ったコカは、脱兎の如くその場を逃げ出した。
「やれやれ、次は鬼ごっこか…」
そう呟いた百地は、足元に小さな竜巻を発生させ、羽を収納するとその竜巻に片足を乗せ、コカの方へ一気に跳躍した。
急いで逃げるコカの背中に突然激痛が走り、前方へ吹き飛ばされた。
振り向き背中を確認すると、男の頭が自分の背にめり込んでいる。
「一体どこに行こうとしているのだ?」
百地の頭が背中から離れた瞬間、コカは血を吐きながら地上に落ちようとするが何とか耐える。
「貴様ら…いったい何者なのだ…?」
弱弱しく質問するコカに百地は答える。
「そうだな…お前ら魔族が世界を乱すのでそれを正しにきた者…とでも答えておこうか」
馬鹿な…と答えてコカは気を失う。
百地はチョーカーに付いた魔石を使い、コカを拘束する。
「魔族どもよ、よく聞け!」
「貴様らの司令官と副官、及び将軍共はすべて片付けた!」
「おとなしく投降すればよし!抵抗するものは皆殺しとする!」
上空から見え聞こえする百地の言葉と司令官の状況に、中央軍の魔族たちは戦意を失い全て投降した。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
インフィニティ•ゼノ•リバース
タカユキ
ファンタジー
女神様に異世界転移された俺とクラスメイトは、魔王討伐の使命を背負った。
しかし、それを素直に応じるクラスメイト達ではなかった。
それぞれ独自に日常謳歌したりしていた。
最初は真面目に修行していたが、敵の恐ろしい能力を知り、魔王討伐は保留にした。
そして日常を楽しんでいたが…魔族に襲われ、日常に変化が起きた。
そしてある日、2つの自分だけのオリジナルスキルがある事を知る。
その一つは無限の力、もう一つが人形を作り、それを魔族に変える力だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖獣達に愛された子
颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。
普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は.....
捨て子の生き様を描いています!!
興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる