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群雄進撃編
第115話 作戦会議
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ここは宋国の都市・建康府。
今ここで10人の将軍による荊州攻略の軍議が行われている。
魔族将軍のコカ・メロウ・アンバサの三人と、豹の姿の副官鎮三山・青面獣・霹靂火の三頭と、名のない魔族将軍4人である。
「それで、荊州城の攻略にお前たちは意見があるとの事だが?」
不機嫌な口調で総司令官のコカは副官たちに訊ねた。
その不機嫌なコカに青面獣は説明する。
「現在我らの兵力は60,000、それに対して敵荊州の兵力は20,000足らずです」
「今回攻め入ります杭州は蘇州より、信州は洪州・江州の2州から、建康府は蘇州からほぼ全兵力を引き出しております」
「荊州攻略の際に万が一後ろを取られない為にも、少しでも城に兵は残しておくべきだと考えます」
「また、三方面からの進撃は各個撃破される可能性があります」
「更に、建康府は山岳を抜けて通ることになり、衝車などの工兵を進めるには不向きです」
「ここは建康府の工兵団を杭州・信州のどちらかに移動させ、建康府を歩兵中心の部隊とし、移動させた工兵団を主力部隊として進軍するべきだと考えます」
この進言に司令官のコカは訝しそうに返事をする。
「青面獣の言うことも分かるが、これ以上攻略に時間を掛けたら童貫様の指示にある短期決戦に支障が出るではないか?」
「それに奴らは城から一歩も出ていないと密偵からの情報が入っている」
司令官の言葉に青面獣はなおも食い下がる。
「司令官、事を急いではなりません!」
「噂によると荊州城で王を名乗る男はかなりの軍略家と聞きます」
「その様な人物がこの数か月間何もやっていないというのは逆におかしいです」
「ここは再度情報を得て慎重に物事を運ぶべきです!」
青面獣の執拗な進言に司令官は怒り出す。
「いい加減に黙れ!お前の考えなど我らがすでに考え対策を考えておる!」
「そもそも敵大将は過去にならず者の股をくぐって馬鹿にされていたような人物らしいではないか!」
「お前ら亜人共はいらぬ心配はせずに、俺たち魔族の言うことを正確に実行しておればよいのだ!」
この司令官の言葉に、青面獣の言葉はこれ以上続かなかった。
「出過ぎた真似を申しましてすみませんでした」
青面獣は司令官に謝罪すると、軍議が終わるまで一言も発することはなかった。
軍議が終了し、司令官室を出た青面獣に二頭の副官は声を掛ける。
「どうしたんだ青面獣?あいつらに何を言っても無駄ってことくらいお前も知っているだろう?」
「わかっているさ、そんな事」
「だが、俺たち軍の失敗で被害にあうのは実際住んでいる領民なのだ」
「あいつら魔族がどうなろうと知ったことではないが、せめて城にいる領民と兵として駆り出された宋兵は無事帰れるようにしてやりたい」
青面獣の言葉に二頭の副官も共鳴する。
「そう、俺たちは宋国の獣人であり将軍なのだ」
「なぜ我々が魔族と一緒になって人間や亜人と戦わねばならんのだ!」
「今の宋国は魔族と手を組んでからいよいよおかしくなった」
「このままでは宋国に未来はないな…」
肩を落とす二頭に青面獣は話す。
「せめてこの戦いだけでも勝てるように、そして出来るだけ多くの宋兵を家に帰してやれるようにせねばな」
三頭は決意を新たに、近々行われる荊州城攻略の準備を進める。
今ここで10人の将軍による荊州攻略の軍議が行われている。
魔族将軍のコカ・メロウ・アンバサの三人と、豹の姿の副官鎮三山・青面獣・霹靂火の三頭と、名のない魔族将軍4人である。
「それで、荊州城の攻略にお前たちは意見があるとの事だが?」
不機嫌な口調で総司令官のコカは副官たちに訊ねた。
その不機嫌なコカに青面獣は説明する。
「現在我らの兵力は60,000、それに対して敵荊州の兵力は20,000足らずです」
「今回攻め入ります杭州は蘇州より、信州は洪州・江州の2州から、建康府は蘇州からほぼ全兵力を引き出しております」
「荊州攻略の際に万が一後ろを取られない為にも、少しでも城に兵は残しておくべきだと考えます」
「また、三方面からの進撃は各個撃破される可能性があります」
「更に、建康府は山岳を抜けて通ることになり、衝車などの工兵を進めるには不向きです」
「ここは建康府の工兵団を杭州・信州のどちらかに移動させ、建康府を歩兵中心の部隊とし、移動させた工兵団を主力部隊として進軍するべきだと考えます」
この進言に司令官のコカは訝しそうに返事をする。
「青面獣の言うことも分かるが、これ以上攻略に時間を掛けたら童貫様の指示にある短期決戦に支障が出るではないか?」
「それに奴らは城から一歩も出ていないと密偵からの情報が入っている」
司令官の言葉に青面獣はなおも食い下がる。
「司令官、事を急いではなりません!」
「噂によると荊州城で王を名乗る男はかなりの軍略家と聞きます」
「その様な人物がこの数か月間何もやっていないというのは逆におかしいです」
「ここは再度情報を得て慎重に物事を運ぶべきです!」
青面獣の執拗な進言に司令官は怒り出す。
「いい加減に黙れ!お前の考えなど我らがすでに考え対策を考えておる!」
「そもそも敵大将は過去にならず者の股をくぐって馬鹿にされていたような人物らしいではないか!」
「お前ら亜人共はいらぬ心配はせずに、俺たち魔族の言うことを正確に実行しておればよいのだ!」
この司令官の言葉に、青面獣の言葉はこれ以上続かなかった。
「出過ぎた真似を申しましてすみませんでした」
青面獣は司令官に謝罪すると、軍議が終わるまで一言も発することはなかった。
軍議が終了し、司令官室を出た青面獣に二頭の副官は声を掛ける。
「どうしたんだ青面獣?あいつらに何を言っても無駄ってことくらいお前も知っているだろう?」
「わかっているさ、そんな事」
「だが、俺たち軍の失敗で被害にあうのは実際住んでいる領民なのだ」
「あいつら魔族がどうなろうと知ったことではないが、せめて城にいる領民と兵として駆り出された宋兵は無事帰れるようにしてやりたい」
青面獣の言葉に二頭の副官も共鳴する。
「そう、俺たちは宋国の獣人であり将軍なのだ」
「なぜ我々が魔族と一緒になって人間や亜人と戦わねばならんのだ!」
「今の宋国は魔族と手を組んでからいよいよおかしくなった」
「このままでは宋国に未来はないな…」
肩を落とす二頭に青面獣は話す。
「せめてこの戦いだけでも勝てるように、そして出来るだけ多くの宋兵を家に帰してやれるようにせねばな」
三頭は決意を新たに、近々行われる荊州城攻略の準備を進める。
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