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群雄進撃編
第114話 7.13の政変
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それから一月後、龍馬の紹介でピットたちは猿の姿をした『シンサク』と出島で会うことになった。
「きみ達が森を平定されたという御仁ですか?」
「僕の名前はシンサク、いまは長州藩で交渉事を任されちょります」
「今日は全体責任者の『ズラ』さんと、軍事担当の『マサ』さんを連れてきたかったのじゃが、急に公家の方たちと打ち合わせが入ってしまい来れのうなった」
申し訳ないと謝るシンサクに、問題ないと話しつつ概要を話す孔明。
「なるほど、坂本君はそんなこと言うちょりましたか…」
少し考えた晋作は、この国のことを話し出す。
「僕も坂本君の考え方には賛成だが、いかんせんこの国の者達は考え方が古すぎる」
「坂本君の考え方は海外を見てきたものならば理解できるのじゃけど、一度も出たことないやつらはどちらかに依存した考えに固執しすぎちょるからな」
「ではシンサク殿は海外に行かれたことがあるのですか?」
シンサクの言葉に孔明は質問した。
「僕はとなりの宋国に行っちょりました」
「宋国は魔族ってやつらが国民を隷属化し、逆らう奴らは皆捕まえっちょった」
「この国を魔族のいいようにさせない為にも、早く国内のゴタゴタを治めて富国強兵に努めねばならんちゃ!」
シンサクはこう答えると同時に、龍馬の考えについても意見する。
「あいつの考えは間違っちょらん」
「しかし坂本君の考え方を実現するには、この国では時間が足らんのです」
なるほど、この国は思想が完全に分かれており、この策を一つ一つ説いていくには時間が掛かり過ぎるのだ。
しかしそれでもシンサクは希望を捨てない。
「今我々の味方になっている公家の方たちに、まわりの公家や帝の説得をお願いしている」
「もう少しで帝の勅令も下りるだろうから、そのあとに佐幕派の人間から優秀な人間を登用していこうと僕は考えている」
この考えに同意する三名に、シンサクは話を切り替える。
「ピット殿達は実際魔族たちと戦ったわけですが、実際どんな感じでした?」
実際は個の力で圧倒しましたとは言えないので、孔明が濁した感じで話す。
「魔族は人間と同じで、そこまでの強さは感じませんでした」
「しかし、魔法や集団戦・ワイバーンを使った空戦部隊もあるので油断は禁物です」
なるほど、そうですかと晋作は頷く。
「あと、この世界には転生者が存在して、進化すると過去の記憶を取り戻し、圧倒的な力を出すものがおります」
「そうか、この前坂本君が「わしは進化して過去を思い出したから、リョウじゃなく坂本龍馬で呼んでくれ」と話していたのはこの事だったのか!」
納得する晋作に、ピットは進化をするかどうかシンサクに尋ねる。
「面白い!君を信じよう!」
この言葉と同時にシンサクは光だし、あばた顔の男が現れた。
「なるほど、これが進化か!本当に前世のことを思い出した!」
「ピット殿、礼を言う」
「これで仲間たちと一緒に今後の話を進めやすくなる」
晋作がお礼を言うと、孔明が再び尋ねる。
「ちなみに晋作殿は、誰か進化をするべきと思う人物に心当たりはありますか?」
晋作は少し考えて答える。
「それであれば薩摩の『キッチョム殿』でしょうね」
「キッチョム殿?」
「そうです、彼は薩摩の下級武士出身でありながら、その才を認められて、藩主を補佐する最高責任者になっております」
「キッチョム殿のことは前世の坂本君も高く評価しており、『小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く』と話しておりました」
「つまり、大きなことも小さなこともやってのける男と言う事ですな」
官兵衛の言葉に晋作はその通りと返事する。
「僕は直接知らないから、坂本君を通じてキッチョム殿に相談してみましょう」
そう話すと晋作は席を立ち、近いうちにまた連絡すると出島を後にした。
そして今、長州藩が古都を追放されたとの報告が入る。
また、都落ちする者の中に高杉晋作の姿はなかったと半蔵は報告する。
「ふむ、晋作殿は前世の記憶でこの政変は思い出しているはず」
「そのうえでまたこの事件が起こったという事は…」
孔明と官兵衛の考察は続く。
その中でピットは周りに対しての(僅かな)違和感をまだ感じとれずにいた。
次の日、幕府からの許可が下りたピットたちは、シフが共同経営を行っている『トーマト商会』の別荘へと移り住んだ。
「きみ達が森を平定されたという御仁ですか?」
「僕の名前はシンサク、いまは長州藩で交渉事を任されちょります」
「今日は全体責任者の『ズラ』さんと、軍事担当の『マサ』さんを連れてきたかったのじゃが、急に公家の方たちと打ち合わせが入ってしまい来れのうなった」
申し訳ないと謝るシンサクに、問題ないと話しつつ概要を話す孔明。
「なるほど、坂本君はそんなこと言うちょりましたか…」
少し考えた晋作は、この国のことを話し出す。
「僕も坂本君の考え方には賛成だが、いかんせんこの国の者達は考え方が古すぎる」
「坂本君の考え方は海外を見てきたものならば理解できるのじゃけど、一度も出たことないやつらはどちらかに依存した考えに固執しすぎちょるからな」
「ではシンサク殿は海外に行かれたことがあるのですか?」
シンサクの言葉に孔明は質問した。
「僕はとなりの宋国に行っちょりました」
「宋国は魔族ってやつらが国民を隷属化し、逆らう奴らは皆捕まえっちょった」
「この国を魔族のいいようにさせない為にも、早く国内のゴタゴタを治めて富国強兵に努めねばならんちゃ!」
シンサクはこう答えると同時に、龍馬の考えについても意見する。
「あいつの考えは間違っちょらん」
「しかし坂本君の考え方を実現するには、この国では時間が足らんのです」
なるほど、この国は思想が完全に分かれており、この策を一つ一つ説いていくには時間が掛かり過ぎるのだ。
しかしそれでもシンサクは希望を捨てない。
「今我々の味方になっている公家の方たちに、まわりの公家や帝の説得をお願いしている」
「もう少しで帝の勅令も下りるだろうから、そのあとに佐幕派の人間から優秀な人間を登用していこうと僕は考えている」
この考えに同意する三名に、シンサクは話を切り替える。
「ピット殿達は実際魔族たちと戦ったわけですが、実際どんな感じでした?」
実際は個の力で圧倒しましたとは言えないので、孔明が濁した感じで話す。
「魔族は人間と同じで、そこまでの強さは感じませんでした」
「しかし、魔法や集団戦・ワイバーンを使った空戦部隊もあるので油断は禁物です」
なるほど、そうですかと晋作は頷く。
「あと、この世界には転生者が存在して、進化すると過去の記憶を取り戻し、圧倒的な力を出すものがおります」
「そうか、この前坂本君が「わしは進化して過去を思い出したから、リョウじゃなく坂本龍馬で呼んでくれ」と話していたのはこの事だったのか!」
納得する晋作に、ピットは進化をするかどうかシンサクに尋ねる。
「面白い!君を信じよう!」
この言葉と同時にシンサクは光だし、あばた顔の男が現れた。
「なるほど、これが進化か!本当に前世のことを思い出した!」
「ピット殿、礼を言う」
「これで仲間たちと一緒に今後の話を進めやすくなる」
晋作がお礼を言うと、孔明が再び尋ねる。
「ちなみに晋作殿は、誰か進化をするべきと思う人物に心当たりはありますか?」
晋作は少し考えて答える。
「それであれば薩摩の『キッチョム殿』でしょうね」
「キッチョム殿?」
「そうです、彼は薩摩の下級武士出身でありながら、その才を認められて、藩主を補佐する最高責任者になっております」
「キッチョム殿のことは前世の坂本君も高く評価しており、『小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く』と話しておりました」
「つまり、大きなことも小さなこともやってのける男と言う事ですな」
官兵衛の言葉に晋作はその通りと返事する。
「僕は直接知らないから、坂本君を通じてキッチョム殿に相談してみましょう」
そう話すと晋作は席を立ち、近いうちにまた連絡すると出島を後にした。
そして今、長州藩が古都を追放されたとの報告が入る。
また、都落ちする者の中に高杉晋作の姿はなかったと半蔵は報告する。
「ふむ、晋作殿は前世の記憶でこの政変は思い出しているはず」
「そのうえでまたこの事件が起こったという事は…」
孔明と官兵衛の考察は続く。
その中でピットは周りに対しての(僅かな)違和感をまだ感じとれずにいた。
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