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第103話 5人の王
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「ピット殿、韓信殿、一体これはどういうことですか?」
エルフの王二人は到着早々2人に詰め寄る。
「話は聞きました。なぜ私たちに相談もなくレッドキャップが許されているのですか?」
二人ともかなりご立腹の様子だ。
「アル・アノア女王お久しぶりです」
「初めまして、北西の王スール・セリオン殿」
ピットはとりあえずあいさつし、2人に席に付いてもらった。
「エルフの王たちに相談なく彼を許したことは謝ります」
「ただし、彼を許したことには、ちゃんとした事情があるのです」
セリオン王は、二人に訊ねる。
「では、なぜこの騒乱を起こしたレッドキャップを生かしておくのです?」
「奴は北東のエルフ王を含め、多くの者を殺してしまっているのですぞ?」
「それではどうやってレッドキャップが最初の進化をしたのかはご存じですか?」
ピットの言葉に二人のエルフ王は顔を見合い、再度ピットに質問する。
「それは魔族がやったのではないのですか?」
「それは違います、魔族は転生したレッドキャップの力を利用しただけです」
孔明がこの回答をすると、アル・アノアはもしやと思う。
「まさか…北東のエルフ王ギ・グリンが召喚したのですか?」
「左様でございます」
孔明の話に言葉を失くすエルフ王たち。
「実は彼…北東のエルフ王が召喚せねばならない事態になっていたのです」
ここで孔明は概要を説明する。
「実はこの森は5年前から『秦』に狙われている状況でした」
「秦の宦官であり最高権力者『趙高(ちょうこう)』は、この森を見逃す代りに、エルフの召還術を使い転生者を秦に渡せと取引を持ち掛けてきたのです」
「困った北東のエルフ王は、レッドキャップを召喚、ただ、あまりの強さにエルフ王は自分の配下にしようとしました」
「しかし、誰かの下につくことを嫌うレッドキャップは、勝手に呼び出した北東のエルフ王を殺し、咸陽を作り魔物たちを集めて住まわせたのです」
「また、弱い魔物たちの声を聞き、彼らを今まで虐げてきたもの達…つまりエルフや三秦を守っていた、ならず者たちを、敵討ちの名のもとに次々と殺していきます」
「結果、忠誠を誓ったもの・協力するもので構成されたのがレッドキャップの勢力なのです」
孔明の説明に静まり返る応接室。
「お二方とも気付いていたのではないですか?」
「レッドキャップを召還したのは北のエルフ王だったのではないかと…」
孔明の言葉にそれは…とスール・セリオン王が何かを言いかけてやめる。
そんな二人のピットと韓信が話す。
「お二方とも、我々はあなた達を責めているわけではありません」
「もし私共が同じ立場であったなら、やはり黙認していたかと思います」
「残念なことは、お二方に相談せず、北東のエルフ王独断で召還をやってしまったことです」
2人の話を聞き、アル・アノアはポツリと呟く。
「きっと…ギ・グリンは自分だけでやりたかったんでしょうね」
「そうだろうな…あいつは一度でいいから召還をやってみたいと言ってたからな」
セリオン王も言葉を続けた。
ピットはここで二人に願い出た。
「確かに召還した北東のエルフ王も、それを殺したレッドキャップも許されるものではありません」
「しかし、諸悪の根源は『秦国』の宦官である趙高です!」
「この男を倒さない限り、この森に平和は訪れません!」
「そしてレッドキャップ・・・項羽殿はこの男を討伐することを約束してくれました」
「この森の平和のために、我々に力を貸してください!」
頭を下げるピットに二人の王は起立して話す。
「ピット王よ、疑って申し訳なかった」
「ピット王がいなければこの森の未来はどうなっていたかわかりません」
「我々は感謝しているのですよ」
「あなたという英雄をこの森に誕生させてくださったことに」
「あなたにレッドキャップが必要という事であればそういう事なのでしょう」
「「どうか、共にこの森を魔族から守っていきましょう」」
二人のエルフ王の言葉に、ピット王・韓信は了承した。
これより5人の王で今後の話となっていく。
エルフの王二人は到着早々2人に詰め寄る。
「話は聞きました。なぜ私たちに相談もなくレッドキャップが許されているのですか?」
二人ともかなりご立腹の様子だ。
「アル・アノア女王お久しぶりです」
「初めまして、北西の王スール・セリオン殿」
ピットはとりあえずあいさつし、2人に席に付いてもらった。
「エルフの王たちに相談なく彼を許したことは謝ります」
「ただし、彼を許したことには、ちゃんとした事情があるのです」
セリオン王は、二人に訊ねる。
「では、なぜこの騒乱を起こしたレッドキャップを生かしておくのです?」
「奴は北東のエルフ王を含め、多くの者を殺してしまっているのですぞ?」
「それではどうやってレッドキャップが最初の進化をしたのかはご存じですか?」
ピットの言葉に二人のエルフ王は顔を見合い、再度ピットに質問する。
「それは魔族がやったのではないのですか?」
「それは違います、魔族は転生したレッドキャップの力を利用しただけです」
孔明がこの回答をすると、アル・アノアはもしやと思う。
「まさか…北東のエルフ王ギ・グリンが召喚したのですか?」
「左様でございます」
孔明の話に言葉を失くすエルフ王たち。
「実は彼…北東のエルフ王が召喚せねばならない事態になっていたのです」
ここで孔明は概要を説明する。
「実はこの森は5年前から『秦』に狙われている状況でした」
「秦の宦官であり最高権力者『趙高(ちょうこう)』は、この森を見逃す代りに、エルフの召還術を使い転生者を秦に渡せと取引を持ち掛けてきたのです」
「困った北東のエルフ王は、レッドキャップを召喚、ただ、あまりの強さにエルフ王は自分の配下にしようとしました」
「しかし、誰かの下につくことを嫌うレッドキャップは、勝手に呼び出した北東のエルフ王を殺し、咸陽を作り魔物たちを集めて住まわせたのです」
「また、弱い魔物たちの声を聞き、彼らを今まで虐げてきたもの達…つまりエルフや三秦を守っていた、ならず者たちを、敵討ちの名のもとに次々と殺していきます」
「結果、忠誠を誓ったもの・協力するもので構成されたのがレッドキャップの勢力なのです」
孔明の説明に静まり返る応接室。
「お二方とも気付いていたのではないですか?」
「レッドキャップを召還したのは北のエルフ王だったのではないかと…」
孔明の言葉にそれは…とスール・セリオン王が何かを言いかけてやめる。
そんな二人のピットと韓信が話す。
「お二方とも、我々はあなた達を責めているわけではありません」
「もし私共が同じ立場であったなら、やはり黙認していたかと思います」
「残念なことは、お二方に相談せず、北東のエルフ王独断で召還をやってしまったことです」
2人の話を聞き、アル・アノアはポツリと呟く。
「きっと…ギ・グリンは自分だけでやりたかったんでしょうね」
「そうだろうな…あいつは一度でいいから召還をやってみたいと言ってたからな」
セリオン王も言葉を続けた。
ピットはここで二人に願い出た。
「確かに召還した北東のエルフ王も、それを殺したレッドキャップも許されるものではありません」
「しかし、諸悪の根源は『秦国』の宦官である趙高です!」
「この男を倒さない限り、この森に平和は訪れません!」
「そしてレッドキャップ・・・項羽殿はこの男を討伐することを約束してくれました」
「この森の平和のために、我々に力を貸してください!」
頭を下げるピットに二人の王は起立して話す。
「ピット王よ、疑って申し訳なかった」
「ピット王がいなければこの森の未来はどうなっていたかわかりません」
「我々は感謝しているのですよ」
「あなたという英雄をこの森に誕生させてくださったことに」
「あなたにレッドキャップが必要という事であればそういう事なのでしょう」
「「どうか、共にこの森を魔族から守っていきましょう」」
二人のエルフ王の言葉に、ピット王・韓信は了承した。
これより5人の王で今後の話となっていく。
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