神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

文字の大きさ
上 下
104 / 317

第103話 5人の王

しおりを挟む
「ピット殿、韓信殿、一体これはどういうことですか?」

エルフの王二人は到着早々2人に詰め寄る。

「話は聞きました。なぜ私たちに相談もなくレッドキャップが許されているのですか?」

二人ともかなりご立腹の様子だ。

「アル・アノア女王お久しぶりです」
「初めまして、北西の王スール・セリオン殿」

ピットはとりあえずあいさつし、2人に席に付いてもらった。

「エルフの王たちに相談なく彼を許したことは謝ります」
「ただし、彼を許したことには、ちゃんとした事情があるのです」

セリオン王は、二人に訊ねる。

「では、なぜこの騒乱を起こしたレッドキャップを生かしておくのです?」
「奴は北東のエルフ王を含め、多くの者を殺してしまっているのですぞ?」

「それではどうやってレッドキャップが最初の進化をしたのかはご存じですか?」

ピットの言葉に二人のエルフ王は顔を見合い、再度ピットに質問する。

「それは魔族がやったのではないのですか?」

「それは違います、魔族は転生したレッドキャップの力を利用しただけです」

孔明がこの回答をすると、アル・アノアはもしやと思う。

「まさか…北東のエルフ王ギ・グリンが召喚したのですか?」

「左様でございます」

孔明の話に言葉を失くすエルフ王たち。

「実は彼…北東のエルフ王が召喚せねばならない事態になっていたのです」

ここで孔明は概要を説明する。

「実はこの森は5年前から『秦』に狙われている状況でした」
「秦の宦官であり最高権力者『趙高(ちょうこう)』は、この森を見逃す代りに、エルフの召還術を使い転生者を秦に渡せと取引を持ち掛けてきたのです」
「困った北東のエルフ王は、レッドキャップを召喚、ただ、あまりの強さにエルフ王は自分の配下にしようとしました」
「しかし、誰かの下につくことを嫌うレッドキャップは、勝手に呼び出した北東のエルフ王を殺し、咸陽を作り魔物たちを集めて住まわせたのです」
「また、弱い魔物たちの声を聞き、彼らを今まで虐げてきたもの達…つまりエルフや三秦を守っていた、ならず者たちを、敵討ちの名のもとに次々と殺していきます」
「結果、忠誠を誓ったもの・協力するもので構成されたのがレッドキャップの勢力なのです」

孔明の説明に静まり返る応接室。

「お二方とも気付いていたのではないですか?」
「レッドキャップを召還したのは北のエルフ王だったのではないかと…」

孔明の言葉にそれは…とスール・セリオン王が何かを言いかけてやめる。

そんな二人のピットと韓信が話す。

「お二方とも、我々はあなた達を責めているわけではありません」
「もし私共が同じ立場であったなら、やはり黙認していたかと思います」
「残念なことは、お二方に相談せず、北東のエルフ王独断で召還をやってしまったことです」

2人の話を聞き、アル・アノアはポツリと呟く。

「きっと…ギ・グリンは自分だけでやりたかったんでしょうね」

「そうだろうな…あいつは一度でいいから召還をやってみたいと言ってたからな」

セリオン王も言葉を続けた。

ピットはここで二人に願い出た。

「確かに召還した北東のエルフ王も、それを殺したレッドキャップも許されるものではありません」
「しかし、諸悪の根源は『秦国』の宦官である趙高です!」
「この男を倒さない限り、この森に平和は訪れません!」
「そしてレッドキャップ・・・項羽殿はこの男を討伐することを約束してくれました」
「この森の平和のために、我々に力を貸してください!」

頭を下げるピットに二人の王は起立して話す。

「ピット王よ、疑って申し訳なかった」
「ピット王がいなければこの森の未来はどうなっていたかわかりません」
「我々は感謝しているのですよ」
「あなたという英雄をこの森に誕生させてくださったことに」
「あなたにレッドキャップが必要という事であればそういう事なのでしょう」

「「どうか、共にこの森を魔族から守っていきましょう」」

二人のエルフ王の言葉に、ピット王・韓信は了承した。

これより5人の王で今後の話となっていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

聖獣達に愛された子

颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。 普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は..... 捨て子の生き様を描いています!! 興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

処理中です...