神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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第83話 馬謖の奸計

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咸陽についた従弟熊は、その城壁を見て愕然とする。

「大王の城で…別の旗が翻っている!」

城壁を見上げると、そこには何本ものラビット国の旗が揺らめいていた。

「まことに…咸陽は落ちたのか」

がっかりとする従弟熊に、捕まっていた陸賈が入り口で礼を取り出迎える。

「お前はイワイの使者の…」

従弟熊がすべてを言い終える前に陸賈が話し出す。

「使者殿、お待ちしておりました。ささ、中へ」

「丞相(孔明の役職)も御史大夫(陳平の役職)もお待ちです」

なんの事かわからずに中の貴賓室へと案内される従弟熊。

そこには孔明と陳平が、豪華な料理を用意して待っていた。

「使者殿、お待ちしておりましたぞ!」
「ささ、上座の方へ!」

訳も分からぬうちに上座に座らされた従弟熊。

孔明は酒を注ぎながら語り掛ける。

「…それで、亜父殿はどのようなご用件であなたを使わされたのです?」

?となった従弟熊

「いえ、私は大王の使者で来たのだが…」

「フフフ、警戒しておられるのですね?」

「大丈夫です、ここには私たちしかおりませんので安心してお話しください」

二人は従弟熊に話しかけながら、ある書簡を見せる。

そこには亜父と古参熊たちが、各砦及び咸陽の戦力を事細かに記して、どの様に配置・対応してくるかを詳細にまとめてあった。

「これは…亜父たちは裏切っていたのか!」

この言葉を聞いた孔明と陳平は、ぱっと飛びのき従弟熊に告げる。

「まさか…本当に大王の使者だったとは!」

「者ども!出合え出合え!」

その一言で一斉に駆けつける護衛兵たち。

捕まってはなるものかと、護衛団を突き飛ばし、城内から脱出する従弟熊。

その逃げ出した姿を見つめる2人に、馬謖が入ってきて話しかける。

「うまくいったようですね」

その言葉に、孔明は満足そうに答える。

「馬謖、見事です!」
「あなたはやはり、兵を率いるよりこちらの才能を伸ばした方がよいようです」

陳平も答える。
「私の策の概要をよく理解して脚本できた、馬謖殿の才は素晴らしいですね」

二人の誉め言葉に、馬謖は謙遜しながら答える

「いえいえ、これは使者に問題があったのですよ」
「ただ考えが回る使者であれば、策は見抜かれていたかもしれません」

思惑通りに事が運び、三人は胸をなでおろす。

「さて、これでこちらの手札は切った」
「あとはレッドキャップがどう動いてくるかだな」

孔明は次の策に移る準備をする。
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