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第75話 咸陽の攻防(2)
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咸陽の戦いは混戦を極める。
左側に展開した次郎・三郎隊は市街戦となり、突然現れる敵兵たちと戦闘を繰り広げる。
「おい次郎、これマジできついな!」
「まったくだ」
「これ俺たちが想定していた兵数よりも多いんじゃないか?」
当初、北の砦に15000引き付け、咸陽は5000程度の守備兵になると読んでいたのだが、咸陽の守備を重視した亜父は10000しか連れて行かず、結果咸陽には10000の兵と、援軍である500の空挺部隊が守備していたのだ。
「他の奴らも2~3人で組んでいるとはいえ、けっこう苦戦しているだろうなぁ」
「せめて建物の中を隠れ蓑に出来れば少しはましな戦いができるのだが」
次郎の言葉に三郎は皮肉交じりに答える。
「仕方ないさ、民間人に害を与えてはならないと九郎様からのお達しだからな」
二人の会話に突然別の声が乱入してくる。
「ほう、民間人を盾にしないとは、魔族共よりもよっぽど好感が持てる敵だな!」
二人は慌てて振り向くと、後ろには斧槍を担いだ熊が立っていた。
「安心しろ!お前たちのその武士道精神に免じて、他の部下には手は出させん!」
「二人まとめてかかってこい!」
「「それじゃ、遠慮なく!」」
二人は声を揃えて、この城を守備する最強の熊武将に挑んでいく。
一方、右側に展開した佐藤兄弟隊も市街戦となっている。
ただ、左側と違うところは、こちらはコボルトやゴブリンの兵団で、規則正しい攻撃をしてくる。
佐藤兄弟たちも、最初は本気で対応していたが、やがて攻撃に殺気がないのに気づき、無駄に応戦をしなくなっていた。
やがて、奥から一人の熊武将が、2本の剣を持って現れる。
「ほう、これはピットの配下の皆さんかな?」
その言葉に忠信が反応する。
「もしかしてあなたが射陽侯殿か?」
うむ!と言って剣を抜き、継信と鍔ぜり合いになる。
「大丈夫、周りはすべて私の部下です」
「今から私に付いて来てくだされ」
小声で話す射陽侯に、佐藤兄弟は頷く。
ぱっと離れた両者は互いに剣を収め、残りの者に事情を伝えて、二人は射陽侯についていく。
中央は城の中でも最大の激戦区だ。
5000はいるであろう魔族兵の中に、弁慶は突撃して大鉈を振るう。
六郎は屋根の上を走りながら弓矢を次々と繰り出し、敵の弓兵団を狙撃する。
魔族兵も弓で応戦するが、壁や屋根を走り回る六郎を捕らえる事は出来ない。
更に途中で接近戦を仕掛け、討ち取った魔族兵の弓矢を盗んでいく。
弁慶は弓矢を食らっても、外皮が固いため体へ全く通らない。
「これはよい!いちいち敵を探さなくても、敵からこちらに近づいてくれる!」
大笑いしながら兵をなぎ倒す弁慶の無双ぶりに、敵熊武将はついに業を煮やす。
「お前たちは壁をちょこまかと走り回るやつに集中しろ!」
「この僧兵は俺が片付ける!」
そう号令をかけ、熊武将は僧兵と対峙する。
「ほう、後ろにこそこそ隠れていたやつに、この武蔵坊弁慶と一騎打ちをする度胸があるとはな!」
「ほざけ!ここは決闘場ではなく戦場だ!」
「持てる兵力全てを使って戦うのが礼儀であろう!」
なるほど、正論だなと弁慶は頷く。
「我が名は武蔵坊弁慶、熊武将よ掛かってこい!」
「我は名もなき熊武将!お前を地獄の業火に投げ込んでくれるわ!」
二人の大鉈と斧槍が激しく交錯する。
左側に展開した次郎・三郎隊は市街戦となり、突然現れる敵兵たちと戦闘を繰り広げる。
「おい次郎、これマジできついな!」
「まったくだ」
「これ俺たちが想定していた兵数よりも多いんじゃないか?」
当初、北の砦に15000引き付け、咸陽は5000程度の守備兵になると読んでいたのだが、咸陽の守備を重視した亜父は10000しか連れて行かず、結果咸陽には10000の兵と、援軍である500の空挺部隊が守備していたのだ。
「他の奴らも2~3人で組んでいるとはいえ、けっこう苦戦しているだろうなぁ」
「せめて建物の中を隠れ蓑に出来れば少しはましな戦いができるのだが」
次郎の言葉に三郎は皮肉交じりに答える。
「仕方ないさ、民間人に害を与えてはならないと九郎様からのお達しだからな」
二人の会話に突然別の声が乱入してくる。
「ほう、民間人を盾にしないとは、魔族共よりもよっぽど好感が持てる敵だな!」
二人は慌てて振り向くと、後ろには斧槍を担いだ熊が立っていた。
「安心しろ!お前たちのその武士道精神に免じて、他の部下には手は出させん!」
「二人まとめてかかってこい!」
「「それじゃ、遠慮なく!」」
二人は声を揃えて、この城を守備する最強の熊武将に挑んでいく。
一方、右側に展開した佐藤兄弟隊も市街戦となっている。
ただ、左側と違うところは、こちらはコボルトやゴブリンの兵団で、規則正しい攻撃をしてくる。
佐藤兄弟たちも、最初は本気で対応していたが、やがて攻撃に殺気がないのに気づき、無駄に応戦をしなくなっていた。
やがて、奥から一人の熊武将が、2本の剣を持って現れる。
「ほう、これはピットの配下の皆さんかな?」
その言葉に忠信が反応する。
「もしかしてあなたが射陽侯殿か?」
うむ!と言って剣を抜き、継信と鍔ぜり合いになる。
「大丈夫、周りはすべて私の部下です」
「今から私に付いて来てくだされ」
小声で話す射陽侯に、佐藤兄弟は頷く。
ぱっと離れた両者は互いに剣を収め、残りの者に事情を伝えて、二人は射陽侯についていく。
中央は城の中でも最大の激戦区だ。
5000はいるであろう魔族兵の中に、弁慶は突撃して大鉈を振るう。
六郎は屋根の上を走りながら弓矢を次々と繰り出し、敵の弓兵団を狙撃する。
魔族兵も弓で応戦するが、壁や屋根を走り回る六郎を捕らえる事は出来ない。
更に途中で接近戦を仕掛け、討ち取った魔族兵の弓矢を盗んでいく。
弁慶は弓矢を食らっても、外皮が固いため体へ全く通らない。
「これはよい!いちいち敵を探さなくても、敵からこちらに近づいてくれる!」
大笑いしながら兵をなぎ倒す弁慶の無双ぶりに、敵熊武将はついに業を煮やす。
「お前たちは壁をちょこまかと走り回るやつに集中しろ!」
「この僧兵は俺が片付ける!」
そう号令をかけ、熊武将は僧兵と対峙する。
「ほう、後ろにこそこそ隠れていたやつに、この武蔵坊弁慶と一騎打ちをする度胸があるとはな!」
「ほざけ!ここは決闘場ではなく戦場だ!」
「持てる兵力全てを使って戦うのが礼儀であろう!」
なるほど、正論だなと弁慶は頷く。
「我が名は武蔵坊弁慶、熊武将よ掛かってこい!」
「我は名もなき熊武将!お前を地獄の業火に投げ込んでくれるわ!」
二人の大鉈と斧槍が激しく交錯する。
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