神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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第68話 泣いた馬謖は許される

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麓で戦況を見ていたピットたち。

やがて、山頂付近の地面が盛り上がり、2頭の獣が2つの何かを背負って降りてきた。

次の瞬間、山頂で大爆発が起きる。

「これはいけません!」

「ウェザーコントロール!」

孔明は山頂に大雨を降らせ始め、やがて山頂の火災は鎮火したようだ。

孔明はすぐさま山頂残った生存者の確認に、ホブゴブリン兵とコボルト兵を向かわせた。

山を下りてきた2頭はすぐさま人の姿に戻り、コボルトたちに捕虜を縛らせ報告を行う。

「林冲・姜維2名、只今捕虜2名を連れて戻りました!」

「二人ともご苦労様でした」

二人に礼を言い、狐の司令官をビンタでたたき起こす。

1発で起きた司令官だったが、その後も孔明はなぜか20発ほど撃ち込んだ。

「ず...ずみばぜん」

泣きながら謝る狐を光が包み、進化が終わる。

「ううう…ハッ!じょ、丞相?!」

男は慌てて礼を取る。

「失礼いたしました、馬謖・幼常、ただいま記憶が戻りました!」

一生懸命礼を取る馬謖を孔明は冷たい目で言い放つ。

「お前はなぜそれほどまでに、山の上に陣を張るのが好きなのですか?病気なのですか?」

孔明の言葉に馬謖は慌てて釈明する。

「ち、違います!」
「私も前世での失敗で学んでいたのです!」
「しかし…目の前に山があると…どうしても登ってしまうのです!」

皆、二人の会話を唖然とした顔で聞く。

孔明はため息をつき、ピットに説明する。

「この者は馬謖と申しまして、かつて私が可愛がっておりました家臣でございます」
「こう見えましても戦略眼や調略などは目を見張るものがございます」
「しかし、司令官としての器は全くなく」
「前世でも先ほどのような訳の分からない陣を引いて大敗いたしました」

孔明は説明が終わると、改めてピットに願い出る。

「ピット様、願わくはこの馬謖を私の世話係にすることをお許しください」
「私も前世で、仕方なかったとはいえ、この馬謖を切り殺してしまいました」

「えっ!切り殺したの?」

驚くピットに孔明は答える。

「はい、軍律を守る為、命令無視を行った彼を処刑せねばなりませんでした」

声を失うピット。

「現世では必ずお役に立てますよう、私が鍛え上げますので…」

馬謖もピットに願い出る。

「ピット王!知らなかったとはいえ、魔族の手先となり危害を加えようとしたこと申し訳ありませんでした!」
「これからは少しでもお役に立てますよう、誠心誠意忠誠を尽くしますので宜しくお願い致します!」

頭を下げる馬謖にピットは苦笑いで答える。

「まぁ、馬謖殿も前世ではいろいろあったようですが」
「現世ではどうか後悔が無いよう生きてください」

「ありがとうございます!」

こうして馬謖は前世の汚名を返上すため、今後も孔明に教えを乞うのであった。

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