神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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第67話 美少女戦士・ツキノ

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山頂に布陣する緑の狐の司令官と魔族将軍。

「狐の司令官よ、なぜ隣の崖に布陣せんのだ?」
「此方よりはあちらの方が安全に攻撃できたのではないか?」

不思議そうに聞く魔族将軍に、司令官は不敵な笑みを浮かべて語る。

「フフフ、わかりませんか、この布陣の意味が?」
「私はこの陣を敷いた時、すでに勝利を確信いたしましたよ?」

馬鹿にされたと考えた魔族将軍は、下に見られまいと頭をフル回転にして考える。
そして、魔族将軍は不敵に笑い返す。

「フフフ、…なるほどな」
「つまり…そういう事か!」

何かに気付いた風の魔族将軍に,司令官は称賛を送る。

「さすがは魔族将軍!この考えを見抜かれるとは…あなたのような方が、いずれこの国を背負って立つ宰相となられるのでしょう!」

司令官の言葉に気をよくする魔族将軍。

「そうであろう!気に入ったぞ司令官!」
「わしが宰相になった暁には、お前を魔族の大元帥に任命してやるからな!」

3人が上がってくるまで、ふたりは超ご機嫌な会話をしていた。

「大変です!麓から2頭と一人がここまで登ってきました!」

見張りの兵からの報告を受けて、魔族将軍は慌てて司令官に問う。

「おい、大丈夫か?」
「ここから下の敵に襲い掛かるための布陣であったのだろう?違うのか?」

焦る魔族将軍を横に、司令官は不敵に笑う。

「フフフ、見事に掛かりましたね」

「!」

なんだってー!と言わんばかりの魔族将軍の顔。
そんな彼に司令官は説明を続ける。

「この布陣を見たら、もはや少数で決戦を仕掛けてくるに違いないと読んでおりました」
「そして現実、その通りの光景となったわけです」

「すばらしい!」
「神算鬼謀とはもはや貴殿の為にある言葉だな!」

魔族将軍は感心と畏怖の眼差しで司令官を見る。

「して、このあとは?」

魔族将軍がそれを言ったと同時に、2人の人間が目の前に現れる。

「こいつですかね?孔明殿が話していた司令官は?」

「緑の狐と話しておりましたので、おそらく彼ではないかと…」

林冲の言葉に姜維が返事をしていると、魔族将軍が笑い始める。

「はっはっは!貴様ら!まんまと罠にはまったな!」
「お前らがここまで来るのはすべてお見通しよ!」

魔族将軍の言葉を聞いた二人は、隣の男に訊ねる。

「お前がこの軍の司令官か?」

魔族将軍の横の男は笑みを浮かべながら答える。

「フフフ、いかにも私がこの軍の司令官である」
「お前たちは見事私の罠…」

「御免!」

全てを言い終える前に、林冲の高速ボディブローが司令官にさく裂した。

「ぐはっ!」

林冲の一撃を受けた司令官は、そのまま意識を失う。

「な、なんなんだ貴様らは?」

怯える魔族将軍の後ろに、姜維が回り込んで首トンをする。

「くはっ…」

気を失った司令官と魔族将軍を、2人は獣となり背に担ぎ、そのまま急いで山を駆け下りていった。

次の瞬間、兵団の周りに10mほどの土壁が完成する。

騒然とする兵団たちの前に、ツキノはなぜか輝きながらゆっくりと空から降りてくる。

なんか服装も、ブレザーから露出度高めなヒロイン物の服に替わっている。

「私の名前は愛と勇気の美少女戦士・ラビット・ツキノ!」
「世界を混乱に陥れる魔族共!」
「私のかわいいピットの為に」
「ツキノが代って正義執行!」

静寂に包まれる敵陣内…。

やがて、あちこちから罵声が巻き上がる。

「この人間風情が何を言ってやがる!」

「何が美少女戦士だ!自分で言ってて恥ずかしくないのか!」

「てめーおりて来い!メチャクチャにしてやるから!」

「ブス!」

いや、年頃の女の子にそんなこと言ったらだめでしょ!
しかも何気にブスとか言っている奴いるけど、ツキノちゃんはアイドル並みにカワイイぞ?
魔族は美意識が違うのかもしれんが…
うわぁ~ツキノちゃん目のところが暗くなって、「ゴゴゴゴゴゴ…」て音が聞こえてくるんですけど」

「へ~面白いねーあんたたち」

ツキノはチョーカーを兵団に投げ込んだ。

「ラビットチョーカー・エクスプロージョン!」

チョーカーが地面に着いた瞬間に大爆発を起こし、壁の中は炎に包まれた。

壁の中の炎を見下ろすツキノ。

そしてツキノはかわいくポーズを決めて、今後使うであろう決め台詞を言った。

「ジャスティス執行!この世に悪は栄えない!」
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