神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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第60話 祭りの前夜

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砦内の戦闘が終了し、ボウイとツキノが率いる戦闘団と、官兵衛・ホブゴブリン兵500が入場する。

官兵衛はホブゴブリンに命令する。

「討ち取った魔族兵は全て我らの食料にする」
「ゴブリン兵たちは死体を回収し、すべて燻製にしておくように」

ゴブリン兵は頷き、食料の回収を始めた。

官兵衛は長政達にねぎらいの言葉をかける。

「皆の者、ご苦労であった」
「長政、実に見事な采配だったぞ」

官兵衛の言葉に、長政は感極まる。

「有難き幸せ!」
「父上に褒めて頂きましたこの日を、私は生涯忘れませぬ」

長政はそのまま一礼し、官兵衛に代わり他の者に処理の指示を与える。

「ボウイ様、ツキノ様、官兵衛殿、お待ちしておりましたぞ!」
「陳平殿、ご無事で何より!」

陳平は3人の下に挨拶し、砦内の報告を行う。

「砦内部の報告ですが、結界用の魔石は破壊し魔族兵も全て討ち取っております」
「また、砦の司令官と20名の家臣はそのまま拘束しております」
「また、私が連れてきた500名の『反乱軍』は乱戦に巻き込まれぬよう、門の外に待機させております」
「敵の増援6000は明日の昼頃に到着かと思われます」

以上を報告後、陳平はボウイたちに敵司令官の助命を願い出る。

「彼は大王に一度逆らい、投降した際に部下を皆殺しにされております」
「彼はその責任を感じてか、私へ自身に起きた過去を話し、眠り薬が入っていると分かりつつも酒を飲んだのです」

「わかった、俺がその男と会ってみよう!」

ボウイはそう話し、ツキノと一緒に縛られた司令官たちの前に立つ。

縛られた司令官は、部下の助命を乞う。

「どうか私の命だけで、後ろの部下たちは助けてほしい」
「私は大王に投降し、見せしめとして殆どの部下を殺され、生き残ったのは20名だけになってしまいました」
「私のせいで死んでいった部下の為にも、今回は私の命で部下たちを救っていただきたい」

司令官の言葉に部下は泣きながら訴える。

「司令官!私たちはあなたに忠誠を尽くしております」
「ラビット様!どうか私たちの命を差し出しますので、司令官をお許しください!」

謝罪しながら、部下や主の命を懇願する姿を見て、ボウイは告げる

「お前たち….最高だぜ!!」
涙を流しながら親指を立てるボウイは司令官たちの縄を解く。
「お前たちは今日から俺の部下だ!」
「共に上腕二頭筋を鍛えようぞ!」

「上腕二頭筋?」

司令官たちの体は光りだし、進化が終わる。

「ボウイ様、命を救っていただき感謝します」
「我が名は『章邯(しょうかん)』と申します」
「他の砦を守っております『司馬欣(しばきん)・董翳(とうえい)』も私と同じ境遇」
「直ちに私が説得を行いますので、両名にも寛大なご処置をお願いします」

ボウイは彼をいたく気に入り、章邯たちと共に宴会場に残った酒を飲み干し、皆すぐに寝た。

ツキノはあきれながら話す。

「こんなのが明日の先鋒務めてもいいの?」

官兵衛は笑いながら話す。

「大丈夫ですよ、ツキノ様」

「明日は敵も味方も忘れられない日になるでしょう」

官兵衛の意味深な言葉をよそに、次の朝が訪れた。
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