51 / 317
第50話 狡兎死して...
しおりを挟む
政務室の席で一人考え込むイワイ。
扉を開けて入ってきた留侯は、彼にやさしく話しかける。
「まだ悩んでいるのかい?私の報告だけじゃウサギの王様のことは信用できないかい?」
「留侯…君を疑っているわけじゃないんだよ」
「ただ…どうしても王という者たちが信用できないんだ」
イワイはため息交じりに話す。
「僕らにはどうやら過去があり、そのことが思い出せないのは留侯も知っているだろう?」
留侯は改まって答える。
「そうですね」
「イワイ様の考え通り、私たちには前世があったと思います」
「つまり君は前世にあったことが引っかかって、ピット王との共闘を拒んでいるのかい?」
留侯は少し呆れた顔をする。
「わかっているのだよ、留侯」
「この戦いが終われば、きっとまた私は恐れられる」
「狡兎死して良狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵され、敵国敗れて謀臣亡ぶ」
「私は…また切り捨てられるのが怖いのだよ」
悩むイワイに留侯は少し悪戯っぽく話す。
「では…今から直接お話してみたらいかがですか?」
「今からだって?」
イワイは慌てて顔を上げる。
それと同時に扉の外から笑い声が聞こえた。
「ハッハッハッ!かつて『国士無双』と恐れられていたあなたの、そのような情けない顔を見る日が来るとは思ってもおりませんでしたぞ!」
声と共に4頭が中に入ってきた。
「あなたは…先生!」
「今までどこにお隠れになっていたのですか?」
イワイの言葉に蒯通は笑って答える。
「いやいや、私がどれほどナインテールと共闘しなさいと説いても、あなたが一向に聞き入れませんでしたので出奔しただけのことですよ」
「出奔?」
蒯通の言葉にイワイは後の言葉が続かない。
「左様です」
「いくら私や留侯が進言しましても、あなたが全然決めきれないので、私は他の主を求めたまでです」
「そして私は素晴らしい王と巡り合いました」
「そんな…先生が私を見限っていたとは…」
肩を落とすイワイに蒯通は問いかける。
「如何です?ピット王と話してみては?」
顔を上げたイワイはピットの顔を見る。
「イワイ殿、宜しければ私たちの今後の未来の話をしませんか?」
イワイは少し考えて
「…分かりました」
「先生が評価する王と、私は話してみたくなりました」
イワイは奥の応接室に4人を招く。
ここに2国間の会談が始まった。
扉を開けて入ってきた留侯は、彼にやさしく話しかける。
「まだ悩んでいるのかい?私の報告だけじゃウサギの王様のことは信用できないかい?」
「留侯…君を疑っているわけじゃないんだよ」
「ただ…どうしても王という者たちが信用できないんだ」
イワイはため息交じりに話す。
「僕らにはどうやら過去があり、そのことが思い出せないのは留侯も知っているだろう?」
留侯は改まって答える。
「そうですね」
「イワイ様の考え通り、私たちには前世があったと思います」
「つまり君は前世にあったことが引っかかって、ピット王との共闘を拒んでいるのかい?」
留侯は少し呆れた顔をする。
「わかっているのだよ、留侯」
「この戦いが終われば、きっとまた私は恐れられる」
「狡兎死して良狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵され、敵国敗れて謀臣亡ぶ」
「私は…また切り捨てられるのが怖いのだよ」
悩むイワイに留侯は少し悪戯っぽく話す。
「では…今から直接お話してみたらいかがですか?」
「今からだって?」
イワイは慌てて顔を上げる。
それと同時に扉の外から笑い声が聞こえた。
「ハッハッハッ!かつて『国士無双』と恐れられていたあなたの、そのような情けない顔を見る日が来るとは思ってもおりませんでしたぞ!」
声と共に4頭が中に入ってきた。
「あなたは…先生!」
「今までどこにお隠れになっていたのですか?」
イワイの言葉に蒯通は笑って答える。
「いやいや、私がどれほどナインテールと共闘しなさいと説いても、あなたが一向に聞き入れませんでしたので出奔しただけのことですよ」
「出奔?」
蒯通の言葉にイワイは後の言葉が続かない。
「左様です」
「いくら私や留侯が進言しましても、あなたが全然決めきれないので、私は他の主を求めたまでです」
「そして私は素晴らしい王と巡り合いました」
「そんな…先生が私を見限っていたとは…」
肩を落とすイワイに蒯通は問いかける。
「如何です?ピット王と話してみては?」
顔を上げたイワイはピットの顔を見る。
「イワイ殿、宜しければ私たちの今後の未来の話をしませんか?」
イワイは少し考えて
「…分かりました」
「先生が評価する王と、私は話してみたくなりました」
イワイは奥の応接室に4人を招く。
ここに2国間の会談が始まった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる