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第39話 真の黒田武士
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鴻門の会が始まった。
部屋の上座にレッドキャップ・左右に亜父と屈強な熊が挟むように座る。
項羽から向かって左側にピットが座り、左右に官兵衛と母里太兵衛が獣化し丸腰で座る。
右側には、イワイの丞相である留侯とレッドキャップの部下と思われる熊が座る。
毒などが入っていないことを皆に知らしめるよう、中央で酒や肉を取り分け、使用人が配っていく。
「ピット殿、留侯殿、今日は皆心行くまで楽しんでくれ!」
レッドキャップの一言で宴が開催された。
宴も少し過ぎたころ、亜父はピットに尋ねる。
「ピット殿は虫の部下が多ございますな」
「如何でしょう?大王の部下とともに剣舞を舞ってみては?」
なるほど、剣舞を装い王の命を狙ってくるのか!
官兵衛は亜父の策を直感し、母里太兵衛に相手を命ずる。
「太兵衛、共に剣舞を舞って参れ!」
「承知!」
太兵衛は相槌を打ち、大王の前へと進み出る。
相手である熊が留侯の隣から立ち上がり、留侯と会釈をして大王の前に跪く。
「叔父上、母里太兵衛殿、二人の持てるものすべてを出し、皆を楽しませてくれ!」
「大王、お任せあれ!」
叔父の熊は挨拶をする。
「大王様、お願いがあります!」
太兵衛の言葉に館内は静まり変える。
「よい、申してみよ!」
大王の回答に、太兵衛は頭を下げたまま話す。
「我が種族・カマキリは酒が好物でございます」
「その中でも私はフカ(大酒呑み)でございまして」
「良い剣舞を舞うには少々酔いが少のうございます」
「御許可頂けますならば、その瓶に残っております酒を全て頂とうございます」
そう話し、さらに頭を下げる。
ざわつく館内で、大王は大笑いする。
「ハッハッハッ!これは面白いことを言う!」
「よし、この瓶の酒を全て飲めなければ私の配下になれ!」
「もし、すべての酒が飲めたなら、私が使うこの槍「日本号」をやろう!」
「承知いたしました!」
大王の言葉に太兵衛は大声で返す。
そしてここに、母里太兵衛が後に名を残す「黒田節」のやり取りがおこなわれる。
瓶を両手で持ち、太兵衛は一気に飲み始める。
そこにいる誰もが、そんなこと出来っこないと話している。
しかし、ピットたちは知っている。
母里太兵衛のすごさを。
瓶を口につけたまま、一向に口を離さず、瓶を傾けていく。
そして、官兵衛は唄い始める。
酒は呑め呑め呑むならば
ひのもといちのこの槍を
呑みとるほどに呑むならば
これぞまことの黒田武士
武士に二言はなきものと
手に取る名槍日本号
酔いあしかたく踏みしめて
舞うかひとさし黒田節
官兵衛が唄い終えると同時に太兵衛は全て飲み干した。
「大変うまい酒でありました!これでよい剣舞ができそうです」
太兵衛のこの言葉に、館内は歓声に包まれた。
「お見事!其方の飲みっぷりにいたく感服した!」
レッドキャップは後ろの部下に持たせた日本号を受け取り、太兵衛に渡す。
「私の愛槍だ、大事に使え!」
「ありがとうございます大王様、これは代々の家宝とさせていただきます」
日本号を大事に受け取り、外に待つ仲間に渡し、自身は2m程の棒を受け取る。
「それでは剣舞を舞わせて頂きます」
2人は大王に一礼し、剣舞は始まった。
部屋の上座にレッドキャップ・左右に亜父と屈強な熊が挟むように座る。
項羽から向かって左側にピットが座り、左右に官兵衛と母里太兵衛が獣化し丸腰で座る。
右側には、イワイの丞相である留侯とレッドキャップの部下と思われる熊が座る。
毒などが入っていないことを皆に知らしめるよう、中央で酒や肉を取り分け、使用人が配っていく。
「ピット殿、留侯殿、今日は皆心行くまで楽しんでくれ!」
レッドキャップの一言で宴が開催された。
宴も少し過ぎたころ、亜父はピットに尋ねる。
「ピット殿は虫の部下が多ございますな」
「如何でしょう?大王の部下とともに剣舞を舞ってみては?」
なるほど、剣舞を装い王の命を狙ってくるのか!
官兵衛は亜父の策を直感し、母里太兵衛に相手を命ずる。
「太兵衛、共に剣舞を舞って参れ!」
「承知!」
太兵衛は相槌を打ち、大王の前へと進み出る。
相手である熊が留侯の隣から立ち上がり、留侯と会釈をして大王の前に跪く。
「叔父上、母里太兵衛殿、二人の持てるものすべてを出し、皆を楽しませてくれ!」
「大王、お任せあれ!」
叔父の熊は挨拶をする。
「大王様、お願いがあります!」
太兵衛の言葉に館内は静まり変える。
「よい、申してみよ!」
大王の回答に、太兵衛は頭を下げたまま話す。
「我が種族・カマキリは酒が好物でございます」
「その中でも私はフカ(大酒呑み)でございまして」
「良い剣舞を舞うには少々酔いが少のうございます」
「御許可頂けますならば、その瓶に残っております酒を全て頂とうございます」
そう話し、さらに頭を下げる。
ざわつく館内で、大王は大笑いする。
「ハッハッハッ!これは面白いことを言う!」
「よし、この瓶の酒を全て飲めなければ私の配下になれ!」
「もし、すべての酒が飲めたなら、私が使うこの槍「日本号」をやろう!」
「承知いたしました!」
大王の言葉に太兵衛は大声で返す。
そしてここに、母里太兵衛が後に名を残す「黒田節」のやり取りがおこなわれる。
瓶を両手で持ち、太兵衛は一気に飲み始める。
そこにいる誰もが、そんなこと出来っこないと話している。
しかし、ピットたちは知っている。
母里太兵衛のすごさを。
瓶を口につけたまま、一向に口を離さず、瓶を傾けていく。
そして、官兵衛は唄い始める。
酒は呑め呑め呑むならば
ひのもといちのこの槍を
呑みとるほどに呑むならば
これぞまことの黒田武士
武士に二言はなきものと
手に取る名槍日本号
酔いあしかたく踏みしめて
舞うかひとさし黒田節
官兵衛が唄い終えると同時に太兵衛は全て飲み干した。
「大変うまい酒でありました!これでよい剣舞ができそうです」
太兵衛のこの言葉に、館内は歓声に包まれた。
「お見事!其方の飲みっぷりにいたく感服した!」
レッドキャップは後ろの部下に持たせた日本号を受け取り、太兵衛に渡す。
「私の愛槍だ、大事に使え!」
「ありがとうございます大王様、これは代々の家宝とさせていただきます」
日本号を大事に受け取り、外に待つ仲間に渡し、自身は2m程の棒を受け取る。
「それでは剣舞を舞わせて頂きます」
2人は大王に一礼し、剣舞は始まった。
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