2 / 2
春にめざめて
しおりを挟む
アリスは料理も得意だけれど。不思議なものを作るのも上手。
棗はそう思いながら自分がここにいる意味を考えた。
「僕ってなんでここにいるのかな」
ソファに横になりながらアリスに問う。
「運命だからじゃないかしら?」
アリスはその問いにあっさりと答えてしまう。
「私は棗と出逢えなかったら、なんて考えたくないもの。」
コポコポとフラスコに緑の液体を流し込みながら恥ずかしい事を口にするアリス。
「はい、できた。胃薬よ。ちゃんと一気飲みして!いい?おいし~い!!て言うのよ?」
「な、何その理不尽!」
「はい!飲んで!おいし~い!」
ふ、と悟った表情をしながら、棗はぐいっと飲み干した。
「お、おいし~い・・・」
とても不味い。
深い眠りから目覚めたのは、アリスが薬を作ってくれたからだ。
アリスが救ってくれた。
彼女より目覚めるのが遅かったのと年齢の所為もあり、棗は身長がアリスよりも低い。
アリスはすらっとした手足。歩き方すら優雅。
「背、伸びないかな・・・」
「伸びたら・・・どうするの?」
悪戯っぽく彼女は笑う。
「女の子より低いなんて嫌だ!!」
「だってまた15歳じゃない」
「私なんてもう18歳よ。」
三つ離れていてこの身長差・・・。
「大丈夫よ、小さくても私は棗に惹かれていたしずっと一緒にいる。」
「・・・うん。でも身長は絶対抜かす。」
ぎゅっと抱きしめられて、先ほどまで氷を触っていたからか、冷たい指先が首筋にあたった。
暑い、暑い、夏。冷たい、冷たい、彼女の手。
「前も言ったけど、お祭り行きましょう。明日、あるの。」
「アリスって最近、町の人と仲いいね。」
「やっぱり色々なお話しが耳に入って楽しいの!」
アリスは目を細める。
「行くでしょう?皆さん棗に会いたがってるのよ?」
「うん、行きたい。お肉屋さんのおばさんに会いたい。」
棗は頬を赤らめた。
「ふふ、そうね。熟女マニアなんだから棗ったら。」
「ち、ちが!お肉安くしてもらったから!お礼を言いたくて!」
慌てふためく棗をどうどう、となだめながら、
「大丈夫、棗がいくら熟女マニアでも私はー」
「アリス!!」
棗の顔は真っ赤だった。
「ごめんなさい、棗があんまり可愛かったから・・・ふふっ」
「子供扱いしないでっていつも言ってるだろ!!」
「ごめんなさい」
額に柔らかい感触。
「ね?」
「う・・・」
これを誘惑と言うのだろう、と棗は思った。
棗はそう思いながら自分がここにいる意味を考えた。
「僕ってなんでここにいるのかな」
ソファに横になりながらアリスに問う。
「運命だからじゃないかしら?」
アリスはその問いにあっさりと答えてしまう。
「私は棗と出逢えなかったら、なんて考えたくないもの。」
コポコポとフラスコに緑の液体を流し込みながら恥ずかしい事を口にするアリス。
「はい、できた。胃薬よ。ちゃんと一気飲みして!いい?おいし~い!!て言うのよ?」
「な、何その理不尽!」
「はい!飲んで!おいし~い!」
ふ、と悟った表情をしながら、棗はぐいっと飲み干した。
「お、おいし~い・・・」
とても不味い。
深い眠りから目覚めたのは、アリスが薬を作ってくれたからだ。
アリスが救ってくれた。
彼女より目覚めるのが遅かったのと年齢の所為もあり、棗は身長がアリスよりも低い。
アリスはすらっとした手足。歩き方すら優雅。
「背、伸びないかな・・・」
「伸びたら・・・どうするの?」
悪戯っぽく彼女は笑う。
「女の子より低いなんて嫌だ!!」
「だってまた15歳じゃない」
「私なんてもう18歳よ。」
三つ離れていてこの身長差・・・。
「大丈夫よ、小さくても私は棗に惹かれていたしずっと一緒にいる。」
「・・・うん。でも身長は絶対抜かす。」
ぎゅっと抱きしめられて、先ほどまで氷を触っていたからか、冷たい指先が首筋にあたった。
暑い、暑い、夏。冷たい、冷たい、彼女の手。
「前も言ったけど、お祭り行きましょう。明日、あるの。」
「アリスって最近、町の人と仲いいね。」
「やっぱり色々なお話しが耳に入って楽しいの!」
アリスは目を細める。
「行くでしょう?皆さん棗に会いたがってるのよ?」
「うん、行きたい。お肉屋さんのおばさんに会いたい。」
棗は頬を赤らめた。
「ふふ、そうね。熟女マニアなんだから棗ったら。」
「ち、ちが!お肉安くしてもらったから!お礼を言いたくて!」
慌てふためく棗をどうどう、となだめながら、
「大丈夫、棗がいくら熟女マニアでも私はー」
「アリス!!」
棗の顔は真っ赤だった。
「ごめんなさい、棗があんまり可愛かったから・・・ふふっ」
「子供扱いしないでっていつも言ってるだろ!!」
「ごめんなさい」
額に柔らかい感触。
「ね?」
「う・・・」
これを誘惑と言うのだろう、と棗は思った。
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
辺境伯令嬢に転生しました。
織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。
アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。
書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
妖精王オベロンの異世界生活
悠十
ファンタジー
ある日、サラリーマンの佐々木良太は車に轢かれそうになっていたお婆さんを庇って死んでしまった。
それは、良太が勤める会社が世界初の仮想空間による体感型ゲームを世界に発表し、良太がGMキャラの一人に、所謂『中の人』選ばれた、そんな希望に満ち溢れた、ある日の事だった。
お婆さんを助けた事に後悔はないが、未練があった良太の魂を拾い上げたのは、良太が助けたお婆さんだった。
彼女は、異世界の女神様だったのだ。
女神様は良太に提案する。
「私の管理する世界に転生しませんか?」
そして、良太は女神様の管理する世界に『妖精王オベロン』として転生する事になった。
そこから始まる、妖精王オベロンの異世界生活。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる