拒絶者の行く世界

蒼華 スー

文字の大きさ
上 下
67 / 69
オリジナル襲来

こんにちは、オリジナル。

しおりを挟む
     ん~。気になる。なんか羅泉が言った通り、気配が近づいてくる。




    私は、どんな奴が来たのかどうしても気になり、[千里眼]と[盗聴]の能力を使い、彼らを観察する事にした。





    ───あっ、こいつか。




    一目見てわかった。彼だ。
    近づいてくる彼の姿は、まさに王者の姿。並のモンスターでは無いと思っていたけど、[千里眼]で見たからこそよりその実力が分かる。





    ───なんて純度の高い魔力だろう。ここまでの魔力を持っているとは。




    羅泉と、いい勝負なのではないか?まぁ、羅泉の場合は妖力だけれど。
    うん。そしてこれで確信した。彼はオリジナルだ。なんのオリジナルかな?




    私はそう思い、[鑑定]してみた。




    ……………うん。よかった。当然だと思うけど、バレていない。ちょっと安心。





    そして、調べた結果彼はヴァンパイアのオリジナルである事が判明した。




    ……………見事にフラグ立ってたな………。まぁ、仕方ない。
    きちんと対面する前に、相手の正体を知れて良かった。これで少しは、テンパったりすること無く、冷静に対処出来るだろうしな。






    私は彼についてはほんの少しだけ分かったので、また様子を観察し始めた。





    ……………彼に向かって行った退魔師達は、彼に近づく前にことごとく吹っ飛ばされているな………。
    しかし、大きな怪我などはしていないようだ。この様子から、あまり好戦的では無いのかも知れない。………いや、ただ相手をするのが面倒なだけかもしれない。
    ……………それにしても、優雅に歩くな~。





    ほとんど足を止めること無く、彼は優雅に歩みを進めていた。
    ちなみに彼の外見は、見惚れるほどの美しい銀の長髪を後ろで一つにくくっており、瞳は濃いグリーンだ。容姿もとても整っていて、とても人間とは思えない。
    ………いや、実際人間では無いか。
    身長は結構高く、全体的に細いが、しっかりとしなやかな筋肉がついている。




    ……………ん?あの付けている金のブレスレットって魔道具?




    ふとそんな気配がしたので、また[鑑定]してみた。




    うん。やっぱり、魔道具だった。
    彼のつけている金のブレスレットの魔道具は、[結界]の効果があるみたいだね。
    あっ、さっき退魔師達が弾き飛ばされていたのは、この魔道具の効果か。




    そんな事を思いながら見ていると、とうとう、理事長室近くにまで来たようだ。
    その気配を感じ取ったのか、羅泉も紅茶を飲むのをやめ、じっと扉の方を見ていた。




    少し経つと、不意に扉が開いた。
    そして、そこには先程[千里眼]で見ていた彼が優雅に立っていた。
    彼は、羅泉の方を見るとフッと笑い、口を開いた。






    「久しいな、黒猫よ。」
    「おう。相変わらず白い顔してるな。ビィファニール。」






    羅泉は彼にそう返事をし、ニヤリと笑った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた

リオール
恋愛
だから? それは最強の言葉 ~~~~~~~~~ ※全6話。短いです ※ダークです!ダークな終わりしてます! 筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。 スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。 ※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...