拒絶者の行く世界

蒼華 スー

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オリジナル襲来

予期せぬ訪問者

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    ゾッとするような気配の元を辿ると、どうやらその存在は学園の正門前に居るようだ。





    どうやら、この気配は流石に、学園にいる妖怪やモンスター達も気がついたようだ。
    一気に外が騒がしくなるかと思ったが、大半の人がこの強い気配に圧倒されて動けないで居るようだ。
    まず一番に理事長が正気を取り戻し、椅子から立ち上がり焦った口調で言った。




    「深瀬くん!君は学園に居る退魔師と陰陽師の教師のみを、正門に集める様に通達してくれ!!
    そして、妖怪やモンスターの教師陣には、学生諸君が寮や学園校舎なら出ないように見張っておくよう伝えてくれ!!急げ!!!」




    その声に、ハッと正気を取り戻した深瀬先生は返事をした後、直ぐに理事長室から出て行った。




    そして、理事長は私の方を見て質問してきた。




    「白崎くん。君は先程、自衛の手段は持っていると言っていたが、どの程度だ?
    もしかして、自衛の手段と言うのは、君の頭に乗っている化け猫の事か?というか、その化け猫は一体何者なんだ?
    本来ならもっと聞きたいが、今は緊急事態だ。簡潔に答えてくれ。」
    「はい。分かりました。では、簡潔に言います。
    まず、自衛の実力はどう言い表したら良いのか分からないので答えようがありません。
    そして、自衛の手段と言うのは、この頭に乗っている化け猫の事ではありません。
    最後に、この妖怪の正体は、この妖怪自身に聞いて下さい。」
    「………分かった。白崎くん、君はここに居てくれ。正直、君にも来て貰いたいが、どれほど戦えるか分からない以上、はっきり言って足でまといになる可能性もある。
    すまないが、君の身の安全の為にも、私が戻るまでここで待機していてくれ。」
    「分かりました。ですが、流石に何時間もここにいる訳には行かないと思います。」
    「………分かった。出来る限り早く戻るようにしてみるが、一時間経っても戻らなかったら、寮の方に戻ってくれて構わない。」
    「分かりました。」





    そう会話をした後、理事長は勢いよく理事長室の扉からから飛び出して行った。




    私は、開けっ放しになっていた扉を閉め、理事長室のソファーに座り、スマホで本を読む事にした。




    すると、羅泉が頭から降り、私の座っているソファーの前にあるテーブルに、こちらを向いて座った。





    「ククッ。これは面白い事になるぞ……………。」
    「ん?羅泉どうしたの?急に?」
    「いやぁー、あの引きこもりが出てくるとはなぁー。
    俺が動いた事が分かったのか………。」
    「羅泉、もしかして今来たのって、羅泉の知り合い?」
    「あぁ。古き友人だな。」
    「誰?」
    「まぁ、それはあとのお楽しみさ………。どうせやつの侵入を、止められるやつ等いやしないのだから俺が狙いだとすれば、いずれここへ来る。」
    「そっか。ならいいけど。」




    確かに、先程感じた気配は只者では無かったし、下手したら………いや、ほぼ確実に羅泉と同格クラスの気配を感じた。つまり、理事長ですら敵わない。勿論、学園の退魔師、陰陽師達が束になっても確実に敵わないだろう。





    う~ん。ここで少し、推理して見るか?
    ……………いや、何となく気配からモンスターだということは分かっているしまぁ、いっか。それより、本を読もう!!!
















    ───あっ、学園の結界抜けたな。流石、羅泉の友人。でも、周りにいる者達にとっては恐怖でしかないだろうな……………。





    ……………漫画等のヒロインとかだったらここで、理事長室を飛び出したりするんだろうけど、漫画じゃねぇし飛び出さないよ……………。
    いくら羅泉の友人であろうと、見ず知らずの私を攻撃して来ないとも限らない。
    自身の身すら守れない奴に、他人は守れん!!!……………だと思うしな。……………多分。





    それに、見えている事はバレてもいいが、あまり自身の手札までは明かしたくないって気持ちもあるからさ。
    さーて、続きを読むかな。羅泉は………テーブルの上で、猫の姿のまま器用に前足を使い、ニコニコしながら私の作ったアップルパイと紅茶を楽しんでいた。






    喜んでくれているようで、何よりだね。
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