拒絶者の行く世界

蒼華 スー

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魔妖学園

放課後

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    あれから特に何も無く、お昼を食べ終え、私は仕事に戻っていた。





    
    む?チャイムがなったな。って事は放課後か。




    ガラッ




    「失礼します。ヒョウ居る?」
    「ん?おー。鈴葉どうした?」
    「さっきは話せなかったから、放課後なら時間あるかなって。」
    「うん。少しなら大丈夫だよ。今日の分の仕事は終わっているし。」
    「それなら良かった。」




    鈴葉が訪れた時、ちょうど深瀬先生がいなかった事もあり、少し話す事にした。




    「こっち座って。」
    「うん。」
    「まずこっちも聞きたい事があってさ、鈴葉って印象変わった?」
    「あぁ、うん。そうかも。」
    「どったの?私と話している時は普段通りみたいだけど?なんかあった?」
    「あぁ、まぁね。実はぼ………俺、時期長に選ばれてからその………。」
    「………モテまくった?」
    「………まぁ、当たり。」
    「そして、その女の子の裏の顔を見たとか?」
    「それも当たり。けど、他にも理由があってさ………。」
    「おっ!分かった!暗殺?」
    「………正解。」
    「なるほどね。それで人間、妖怪不信にって事か………?」
    「そっ。緑志とかヒョウは平気なんだけどね。」
    「そりゃ仕方ないわ。
    というか、そんな事があったんなら私と一緒に訓練している時に教えてくれればよかったのに。」
    「あはは………。心配かけたくなくてさ。」
    「友人なんだから、心配させろ。気づいていないところで、傷つかれるのが一番嫌だし。
    愚痴とかならいつでも聞くしさ。」
    「ふふっ。相変わらずだね。」
    「おう。けどまぁ、こっちも愚痴とか聞いてもらうけどね。」
    「勿論。」




    私は近くの机に、亜空間から取り出したマカロンといちご大福、緑茶を取り出し、置いた。




    「今回の新作。」
    「おー。相変わらず美味しそうだね。」
    「こっちの箱は持ち帰って、緑志にも渡しといて。」
    「ん。分かった。
    ところで、羅泉さんはぐでっとしているけど、どうしたの?」
    「私が仕事している最中はつまらんって言って、寝てる。」
    「頭の上で?」
    「そ。」
    「重くない?」
    「もう慣れた。」
    「そっかー。
    あっ、そう言えばヒョウって、なんかした?」
    「ん?なんかって?」
    「いや、ヴァンパイアのなんとかって言う奴が、許さないとか呪ってやるとか、言ってたからさ。」
    「あぁ、そいつか。大丈夫だよ。呪おうとしても、あいつの技量じゃ、私は呪えん。むしろ、何倍にもして返してやるさ。まっ、正当防衛って事だね。」
    「ハハッ。さすがだね。」
    「後、はいこれ。」





    私は鈴葉に、ブレスレットを手渡した。
    ちなみに、ブレスレットのデザインはミスリルの鎖に紫の小さなスギライトとターコイズが着いている少し、クールなものだ。




    「何?これ。」
    「入学祝い。お守りだからいつもつけといて。」
    「へー。ヒョウのお守りなら効きそうだね。ありがとう、大切にするね。」
    「それなら良かった。」




    勿論、友人に渡した私のお守りがただの気休めの訳が無い。
    なんせミスリルのブレスレットだしな。
    まぁ、ブレスレットの正体はお察しの通り、魔道具だ。
    効果は、スギライトの方に[治癒力向上][浄化効果(中)]
    ターコイズの方に[幸運増強]
    ミスリルの方に[妖力操作向上(小)]
    である。
    勿論、私が魔道具を作れる事はできるだけ隠しておきたいので、効果は隠蔽している。その為、私より霊力や魔力、妖力が強いか、それらの扱いが上手い人しか魔道具だという事には気づけないのである。
    という訳で、ほとんど気づく奴はおらず、安全なのだ。




    まぁ、オリジナルとかが来たら分かんないけど………。
    これ以上この事を考えるのは、やめとこっ!フラグになりそう!




    「あっ、こっちは緑志に渡しといて。」
    「うん。分かった。………お揃い?」
    「デザインはね。嫌だった?」
    「いや、緑志も喜ぶなぁって。」
    「ふふっ。それなら良かった。もし長になったとしても、緑志と一緒に頑張れよ。」
    「うん。まぁ、もしじゃなくてほとんど確実になんだけどな。」
    「尚更頑張れ。」




    緑志用にと渡したブレスレットも、勿論魔道具だ。デザインは鈴葉と一緒だが、使ってある石がちょっと違う。
    緑志用のブレスレットに使ってある石は、アマゾナイトとカイヤナイトである。
    ちなみに、アマゾナイトの方は[精神力向上(大)]
    カイヤナイトの方は[従者の鏡](従者としての能力向上効果(大))
    ミスリルの方は[妖力操作向上(小)]
    である。




    それから他愛もない会話を続け、深瀬先生が帰ってきたので、解散となった。
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