拒絶者の行く世界

蒼華 スー

文字の大きさ
上 下
63 / 69
魔妖学園

放課後

しおりを挟む
    あれから特に何も無く、お昼を食べ終え、私は仕事に戻っていた。





    
    む?チャイムがなったな。って事は放課後か。




    ガラッ




    「失礼します。ヒョウ居る?」
    「ん?おー。鈴葉どうした?」
    「さっきは話せなかったから、放課後なら時間あるかなって。」
    「うん。少しなら大丈夫だよ。今日の分の仕事は終わっているし。」
    「それなら良かった。」




    鈴葉が訪れた時、ちょうど深瀬先生がいなかった事もあり、少し話す事にした。




    「こっち座って。」
    「うん。」
    「まずこっちも聞きたい事があってさ、鈴葉って印象変わった?」
    「あぁ、うん。そうかも。」
    「どったの?私と話している時は普段通りみたいだけど?なんかあった?」
    「あぁ、まぁね。実はぼ………俺、時期長に選ばれてからその………。」
    「………モテまくった?」
    「………まぁ、当たり。」
    「そして、その女の子の裏の顔を見たとか?」
    「それも当たり。けど、他にも理由があってさ………。」
    「おっ!分かった!暗殺?」
    「………正解。」
    「なるほどね。それで人間、妖怪不信にって事か………?」
    「そっ。緑志とかヒョウは平気なんだけどね。」
    「そりゃ仕方ないわ。
    というか、そんな事があったんなら私と一緒に訓練している時に教えてくれればよかったのに。」
    「あはは………。心配かけたくなくてさ。」
    「友人なんだから、心配させろ。気づいていないところで、傷つかれるのが一番嫌だし。
    愚痴とかならいつでも聞くしさ。」
    「ふふっ。相変わらずだね。」
    「おう。けどまぁ、こっちも愚痴とか聞いてもらうけどね。」
    「勿論。」




    私は近くの机に、亜空間から取り出したマカロンといちご大福、緑茶を取り出し、置いた。




    「今回の新作。」
    「おー。相変わらず美味しそうだね。」
    「こっちの箱は持ち帰って、緑志にも渡しといて。」
    「ん。分かった。
    ところで、羅泉さんはぐでっとしているけど、どうしたの?」
    「私が仕事している最中はつまらんって言って、寝てる。」
    「頭の上で?」
    「そ。」
    「重くない?」
    「もう慣れた。」
    「そっかー。
    あっ、そう言えばヒョウって、なんかした?」
    「ん?なんかって?」
    「いや、ヴァンパイアのなんとかって言う奴が、許さないとか呪ってやるとか、言ってたからさ。」
    「あぁ、そいつか。大丈夫だよ。呪おうとしても、あいつの技量じゃ、私は呪えん。むしろ、何倍にもして返してやるさ。まっ、正当防衛って事だね。」
    「ハハッ。さすがだね。」
    「後、はいこれ。」





    私は鈴葉に、ブレスレットを手渡した。
    ちなみに、ブレスレットのデザインはミスリルの鎖に紫の小さなスギライトとターコイズが着いている少し、クールなものだ。




    「何?これ。」
    「入学祝い。お守りだからいつもつけといて。」
    「へー。ヒョウのお守りなら効きそうだね。ありがとう、大切にするね。」
    「それなら良かった。」




    勿論、友人に渡した私のお守りがただの気休めの訳が無い。
    なんせミスリルのブレスレットだしな。
    まぁ、ブレスレットの正体はお察しの通り、魔道具だ。
    効果は、スギライトの方に[治癒力向上][浄化効果(中)]
    ターコイズの方に[幸運増強]
    ミスリルの方に[妖力操作向上(小)]
    である。
    勿論、私が魔道具を作れる事はできるだけ隠しておきたいので、効果は隠蔽している。その為、私より霊力や魔力、妖力が強いか、それらの扱いが上手い人しか魔道具だという事には気づけないのである。
    という訳で、ほとんど気づく奴はおらず、安全なのだ。




    まぁ、オリジナルとかが来たら分かんないけど………。
    これ以上この事を考えるのは、やめとこっ!フラグになりそう!




    「あっ、こっちは緑志に渡しといて。」
    「うん。分かった。………お揃い?」
    「デザインはね。嫌だった?」
    「いや、緑志も喜ぶなぁって。」
    「ふふっ。それなら良かった。もし長になったとしても、緑志と一緒に頑張れよ。」
    「うん。まぁ、もしじゃなくてほとんど確実になんだけどな。」
    「尚更頑張れ。」




    緑志用にと渡したブレスレットも、勿論魔道具だ。デザインは鈴葉と一緒だが、使ってある石がちょっと違う。
    緑志用のブレスレットに使ってある石は、アマゾナイトとカイヤナイトである。
    ちなみに、アマゾナイトの方は[精神力向上(大)]
    カイヤナイトの方は[従者の鏡](従者としての能力向上効果(大))
    ミスリルの方は[妖力操作向上(小)]
    である。




    それから他愛もない会話を続け、深瀬先生が帰ってきたので、解散となった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜

月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。 ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。 そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。 すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。 茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。 そこへ現れたのは三人の青年だった。 行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。 そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。 ――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

猫のち人間、時々メイド

家具屋ふふみに
ファンタジー
私は猫である。名前はリンネ。とある家族に飼われる、しがない一匹猫だ。 けれど私には、飼い主さえ知らないある秘密があって…? これは一匹の化け猫が織り成す、騒がしい日常を描く物語。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...