拒絶者の行く世界

魔妖学園

○○○side？

    ───ここは昼も夜も関係なく薄暗く、地元住民すらも近ずかない通称［呪禁じゅごんの森］と呼ばれる場所───。
    そして更にここは、地元住民の間では有名な話だが私有地で、その森の奥にはその森の所有者が住んでいる館があるという噂が流れている。しかし、誰もその館を見た者も、［呪禁の森］に入る人も見たことが無いらしい。これらの話によって、地元住民達の間ではこの森には幽霊が住んでいるとか、ヴァンパイアが住んでいる等という噂が絶えない。




    しかしその噂をしている地元住民達自身も実際には、幽霊等はいないだろうと面白可笑しく話すだけだ。








    ───でも、本当に…………？















    「────ふむ、この妖力………。黒猫の奴が動き出したか……………。」




    ここは呪禁の森にある館の中………。その館の主が瞼をゆっくりと開き、不気味に輝く真紅の瞳が姿を現した。




    「……………フッ。久々に面白い事が起きそうだ………。なぁ？黒猫よ……………。」




    その館の主は自身の座っていた荘厳な椅子から立ち上がり、自身の部屋を出た。
    そして、近くにいたメイド姿のゴーレムに一言、こう言った。




    「出かけてくる。」




    メイドのゴーレムは抑揚のない声で返事をし、主を衣装部屋へと勧めた。




    「かしこまりました。マスター。でしたら、お召し物を変える事をお勧めします。どうぞ衣装部屋にお越しください。」
    「あぁ。分かった。」
    「ちなみに、どちらに向かわれますか？それにより、マスターのお召し物を替えねばなりません。」
    「日本だ。」




    そう館の主が告げると、ゴーレムは「かしこまりました。」とだけ言い、主を衣装部屋へ送り届けた。




    数分後、館の主は現代風の衣装に身を包み、衣装部屋から現れた。そして館の主は、自身の部屋へ戻り、とある大きな姿見の前に立った。その姿見は金と銀、そしてどんな材料かも分からない金属によって装飾されていた。
    そして、館の主がその姿見に触れるとその姿見は鏡の部分が真っ黒に染まり、館の主の手を飲み込んでいった。




    「────フッ。何百年ぶりの外室だろうな……………？







    ────嗚呼、これ程までに楽しみな事は久方ぶりだ。なぁ？黒猫？」






    そう館の主が告げると、その主は姿見の中へ飲み込まれていった。










    楽しそうな、それでいて不気味な笑い声を残して───。