拒絶者の行く世界

蒼華 スー

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魔妖学園

仕事一日目

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    よしっ。今から初仕事だな。えっと、確か私の直属の上司的な存在は………この学園の高等部保健医の深瀬ふかせ    みどりさんだったっけ?女性っぽい名前だけど、三十代前半位の立派?な男性だ。



    さっきの職員会議は主に、学年主任と教頭、校長、理事長との顔合わせだったのでまだ顔は合わせてないんだよね。
    っと、ここが高等部の保健室だね?




    「失礼します。深瀬    翠さんは、いらっしゃいますか?」




    私がノックをして、保健室のドアを開き、声をかけたら奥から返事が返ってきた。




    「おー。いるぞ。」
    「今日から、保健医助手として、こちらで働く事になった白崎    氷華です。よろしくお願いします。」
    「あー。お前が助手か。早速で悪いが、窓際の机がお前の机だから早速書類処理頼むわ。」




    そう言いながら、奥から緑の髪と深緑の瞳をした、繊細系の顔立ちの銀縁眼鏡をかけた二十代半ば位の見た目の青年が現れた。




    「はい。分かりました。」
    「………ん?話には聞いていたが、本当に子供だな。」
    「はい。ですが、安心してください。きちんと資格も持っているので、微力ながら力になれるかと思います。」
    「おう。それも聞いてるからまずは、小手調べという事で、これをあのパソコンに纏めといてくれ。後、分かんなかったら呼んでくれ。俺は裏で作業してるから。」
    「はい。分かりました。」




    という事で、私は自分の机へ向かった。そして、仕事を始めた。




   うん。ここっていいかも。日当たりも程よくて。けど、心地よくて油断したら眠りそうだな。気をつけないと。
    てか、なんでこんなに書類が溜まってんだ?まぁ、いいけど。
    それに、この量だったら一時間もあれば、能力もあるし、その能力を使いながらやれば何とかなるか。




    てか、保健医も攻略対象者だったわ。笑。かな?まぁ、確かに、整った顔立ちをしてたしな。けど、やっぱりどんな攻略対象者よりも、人化した羅泉の方がカッコイイな。
    あっ、そういや、羅泉はもうすぐ来るかな。……………あっ、来た。




    羅泉は窓をすり抜けて、私の机へ飛び乗った。勿論、他の人には見えていない。
    羅泉自身が姿を見せなくしているのもあるが、この学園には普通に妖怪やモンスター、妖魔が見える奴や、そのお仲間、陰陽師とかもいるからそいつら対策として、私が新たにイヤーカフ型魔道具(偽装,ステレス)を作って渡した。なので例え、お仲間の妖怪と出会ってその妖怪に、もしも姿が見られたりしたとしても、普通の黒猫に見えるのだ。まぁ、大体見える奴はいないけど。何せ、羅泉は二千年も生きている言わば強者だからね。




    あっ、パソコンに纏めるの終わったわ。




    うーん。まだまだ時間もあるし、ついでに頭の中で深瀬    翠について纏めておくか。ちゃんと仕事をしている風を装って。
    まず、彼は河童だ。というか、半分河童、半分人間の所謂半妖というやつだ。なので妖力(水)、霊力両方を少しずつ扱える。
    繊細な見た目に反して、口調はサッパリとしたざっくばらんな感じだ。
    ……………うん。こんくらいしか無いな。




    あっ、あとこの際だし、この世界の陰陽師とか、今まで話してなかった退魔師についても整理しておくか。
    まず、この二つは妖魔や、悪さをした妖怪やモンスターを退治するという点では同じだ。だが、方法が少し違う。
    陰陽師は、主に札などの補助具と霊力による攻撃等をメインとしている。
    そして退魔師は、槍や剣等直接攻撃力のある物に、霊力を使って作った聖水やら、聖銀やらを掛けて使っている。
    つまり、霊力をメインにしているか、補助として使っているかの差だ。



    まぁ、霊力を少しでも用いないと、妖魔とかを退治する事は出来ないので、退魔師も陰陽師も、その家系の人達は、幼い頃から霊力を鍛えているらしい。………この点も一緒だな。



    うん。こんくらいだね。
    時間も丁度いいし、報告に行くか。
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